残機無限転生者、老衰で死す   作:Calく

2 / 2
Re:一から始まる異世界放浪

この世界に転生――と言っても生まれ直した訳では無い――した時、私は深い森の中に座り込んでいた。

 

 果たしてこれで何度目の蘇生だったか。

 

 最初の時と同じように世界に生成された私は、いつも通りの手順を踏む。

 万が一がないように。

 自分の存在を確かめるように。

 何度も死んで生き返る私が、果たして私と言えるのか――。

 少々容姿と肉体を弄ったので、黒髪赤目の、西洋人に近い顔立ち。性別はどちらにでも取れるよう、性差を感じさせない身体つき。

 歳の頃は、大体前世で18歳程の姿か。

 服は……この世界で一般的な麻布の服。多少着心地は悪いが、仕方ない。

 取り敢えず人里に降りようと、近くに落ちていた荷物を拾う。大きめのポーチを探ると、地図と多少の食料、それなりの路銀を見つけた。

 これまでの経験から、ある程度の地理は把握している。しかしその記憶も数年から数十年の間隔があり、ましてや再生を繰り返していると、その記憶も曖昧になってくる。

「……行くか」

 取り敢えず、記憶にある最初の村か町に寄ろう。そんなことを考えながら、深い森の中を進む。

 

 今回の人生は、より良いものになると信じて。

 

 

 ☆☆☆☆☆☆

 

 

 太陽が真上に昇るよりも前に、

 無事森の中の村にたどり着いた。

 最初に立ち寄った村では、旅人として振舞った。

 特に怪しまれることも無く村の門番に通される。

 牧歌的な村。

 村人の他にも、皮鎧姿の冒険者の姿もある。

 それなりの数の冒険者が出歩いているところを見ると、私の記憶と違い少し発展しているようだ。

 先程の門番との世間話で分かったが、私の記憶では10年程の間隔が空いていたと思っていたが――実際には30年程経っていた。もっとも、来た時の記憶もさほど思い出深いものではなく、今回と同じようにふらりと立ち寄っただけだが。

 …まず、目覚めてからやることは、

 そう。

「情報収集と行こうか」

 冒険者の出入りもそれなりにあるからか、村にあった小さな酒場へと入る。昼前だと言うのに、既に酒場の席の多くは埋まっていた。

 酒場の喧騒を避けるように、ひとり席へと座る。

 注文を聞き付けにやってきた従業員に、ここ最近の情勢を尋ねる。

「良いですよ! ああ、でもその前に…」

 ほら、となにやら目配せをする。

 一瞬呆けた後、あぁと思い当たる。従業員は色々と教える代わりにチップをねだっているのだ。

 半ば不文律と化しているとはいえ、前世では馴染みのなかったチップ文化は変わらず慣れない。

 限られた路銀を支払う悔しさを飲み込み、必要経費として割り切る。

 従業員が語る話に耳を傾けながら、物思いに沈む。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。