第一陣営~1~
《1》
――
紹介が150文字と少しで済むような、そんな
そんな彼の趣味は読書と古本屋巡りという、これまた
仕事終わりの金曜日の午後七時――明日は休日だということで少しばかり年季の入った『
購入する際に常連客が妙な本を持ってきたためか、店主の
朔は帰宅後すぐさま『悪魔の召喚方法』を開き、早速読みにかかる。
読んでみると手順は案外簡単らしく魔法陣のようなものを血や水銀などを用いて描き、指定の呪文......と思われるものを読み上げるだけ。
「鯨肉の血ってそんなにあるか......?」
――この男、悪魔を召喚するのに鯨の肉から出てくる微量の血で済ませようとしていた。
それを止める人間もいないため大真面目に、鯨肉の量を冷蔵庫を覗きに向かったが――
「まあ、無理だよな......」
勿論、足りるわけもなかった。
――足りたとしても食用鯨肉の血では薄すぎて悪魔など呼べたものではないだろうが。
「明日にでも鶏血藤......じゃだめだよな、締めてウサギ......鶏の方が安価で済むのか?」
――水銀や宝石を溶かしたものでも構わないと書かれているが、
明日は幸いにも休日であるため今日は身体を休めよう。
子供のころから一流になることができず様々な習い事をはじめては辞めて、というものを繰り返していたため切り替えというのが得意になってしまっているのだ。
《2》
先代であった一
また一の家は古く由緒ある魔術の名家でもあり、そちらの技術においてもとても優れた一族で会った。
――そんな務の息子である一
学業、運動ともに優れまた容姿は端麗な好青年へと育ち、魔術の道においてもその才は一族のなかでも特に秀でていた。
「ねえ、祖父さん。ちょっと話せる?」
そのように染が問いかけると、録画していたと思われるバラエティー番組を見ていた老人がムクりと身体を起こし、
「それは儂の貴重な隠居生活の時間を割くほどのことなのか?」
元大企業の社長をやっていたのか疑わしい、或いは元大企業の社長をやっていたからこそ出てくるのであろう言葉を吐き捨てる。
「いや、なんか手の甲に『令呪』みたいなのが出てきて」
「あぁ――そういや
後半は独り言のようなものだったのだろうか、染の耳に届くことはなっかた。
「にしても、何で俺が?」
「いつも言っておろう......――染、お前は一の家で一番の才を持っておるよ」
「でも実力なら父さんの方が――」
「あぁ――選ばれるのがお前より後、という可能性もあるぞ?
「ていうか参加を止めないんだね、
染がお
それに対して繋は動じた様子もない。
「別に務と染――二人とも参加した場合、務ならばお前を殺さんように手加減したとて勝つだろうよ」
「はっきり言うなぁ......」
複雑な笑みを浮かべながら返す。
「まぁ、務の聖遺物の選択にミスがなければじゃがな。――ああ。お前の聖遺物は儂の方で用意しておいてやる、参加するならな」
「俺は......」
「遊び半分なら参加しない方がいいと思うぞ......務なら手加減するじゃろうがほかの輩は本気で殺しに来る。あと一年と少し、よく考えるんじゃな――」
そう言った繋の目は「聖杯戦争を降りるべきだ」と訴えるようなものだったが、その思いに気づかなふりをし――
「ちょっと、考えるよ」
重々しく、そう吐き捨ててその場を後にした。
《3》
――コケ―!コケ―!
柊朔は家で鶏を絞めていた。
昼の時間帯といえども近所迷惑であるが、朔は「悪魔」という未知との邂逅を前にしてそこまで頭が回っていない状態にある。
“
鶏を絞め、その血を抜き瓶につめる。
借りているマンションのため汚しすぎないように、マットを敷き『悪魔の召喚』に載っていた通りに魔法陣を描く。
そして魔法陣が完成し、昨日から何度も読み、暗記した詠唱を唱える。
《4》
「本当にやるのか――?」
「うん、
「にしても聖遺物の用意も拒むとはな――」
「聖遺物を用意しなかったら波長の合う
「原則、英霊召喚には触媒を使わなきゃいけないんだが――まあ、いいじゃろう。では始めるぞ」
《4》
素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ
繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!
《5》
「――問おう」
「君が、僕のマスターかい?」