伝説のポケモン大豪邸!   作:くるみもち

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ウォーグルは決して悪い子じゃないんです!(断言)


3 ツンデレウォーグルとヤンデレニンフィアфある日の日常

「今日からお前たちも3年生だ。進路のことも考え始めろよ。では、今日はこれで終わり。明日から授業もある。教科書忘れんなよ」

「起立、礼」

「「さようなら」」

 

学校初日。まあ、これと言って変わったこともなく無事に一日が終わった。

 

「ああー終わった終わった!ったく、集会の校長の話も担任の高峰の話も相変わらず長いし、だるいなー」

 

海斗が伸びをしながら早速愚痴る。面倒くさがり屋な海斗にとっては校長、そして高峰先生のダブルコンボはかなり身に染みたのだろう。

 

「海斗って馬鹿なのに態度だけは真面目風だもんね。周りほとんど寝てたのに」

「はっきり馬鹿って言うな!そして風じゃなくて本当に真面目なんだ!」

「私はずっと妄想してたよぉ。演奏中も……むふふ……」

「奏は相変わらずだな……」

 

奏の妄想癖には海斗も呆れていた。

この妄想少女は古川奏。吹奏楽部に所属しているから今朝は会えなかったけど、帰りはいつも通り一緒に帰ることにした。

 

僕たちは校舎についたところで再びそれぞれのポケモンを出す。

 

「お、レイ。今日はもう終わりなのか」

「今日は授業はないからね。さて、そろそろイベントも終わるしここからが〆の課金戦争が……」

「まったく、学校終わった途端ゲームかよ――」

 

「ウォーグルさぁん……!」

 

「おわ!?」

 

呆れているウォーグルの首に突然謎のリボンが巻きつかれた!

 

「うふ、私ですよ、ウォーグルさん……。春休みの間会えなくて寂しかったですよぉ……」

「に、ニンフィア……!ひ、久しぶりだな、はは……」

 

このウォーグルも苦笑いになってしまうほどデレッデレなのは奏のパートナー、ニンフィア。

俗にいうヤンデレだ。

そして、どことなく喋り方が奏に似ている。子は親にいるとはよく言ったものだ……。

 

「さすが、ウォーグル。相変わらず好かれているな」

「ぜ、ゼブライカ!感心していないで助けてくれよ!」

「俺は他人の恋路を邪魔する気はないさ」

「ウォーグルさぁん……。よそ見しないでくださぁい。ウォーグルさんはぁ、私だけぇ、見てればよいんですよぉ……」

「や、やめ!近い!顔が近い!!お、おいカナデ!トレーナーなら止めろよ!」

「ウォーグルとニンフィアのカップリングはいつ見ても美味しい……むふ、むふふふ……!」

「おいぃいいい!?」

 

この人たちは公共の場で何をしているんだろうか……。

しょうがない、ここはいつも通り止めよう。

 

「はーい、ここまで。白昼堂々ふしだらな行為はやめてね」

「べ、別に俺は好きでやってんじゃねぇよ……!」

「うふ、そんなにツンツンしなくていいんですよぉ……」

「わ、わかった!わかったから今は離れてくれ!」

「もう、しょうがないですねぇ……」

 

ニンフィアはしぶしぶといった感じでようやくウォーグルから離れた。

 

「重すぎる愛も罪だねぇ」

「まったくだ……」

 

そういうと、ウォーグルはなぜかため息をついた。

 

「はぁ……愛か……」

「どうしたの?そんなアンニュイな雰囲気出して」

「べ、別になんでもねぇよ!」

「?」

 

相変わらずウォーグルは変なところで怒るなぁ。

 

 

 

「じゃ、零とはここまでか」

 

道の途中の分かれ道。僕と海斗たちとはここで帰路が変わる。

 

「ウォーグルさぁん、明日もまた会いましょうね……。うふ、うふふ……」

「お、おう。またな……」

 

ニンフィアも名残惜しそうにしながらもウォーグルから離れる。

 

「じゃ、またねー」

「おう、またなー」

「またあしたぁ」

 

それぞれ挨拶を交わしながら別れる。

 

「あーあ。明日から早速授業か。今から萎える……」

「そういえば、ポケモンバトルは明日あるのか」

「うん、あるよ」

 

だいたいの学校にはポケモンバトルという科目が設けられている。楽しめてバトル技術も着実に上達する人気のある授業だ。

しかし……。

 

「げ、マジかよ……」

 

ウォーグルは嫌そうな表情をする。それもそのはず。

 

「ウォーグルの相手は色んな意味で手ごわいのが多いからね」

「ああ……。ゼブライカとは相性的に不利だしニンフィアはなんかまあ……って感じだし」

「なんかまあって」

「いやだって、『ウォーグルさぁん……。私に愛の鞭を叩いてくださぁい……』って。逆にやりづらいじゃねぇか……」

「毎回決着つかずに終わるよね」

「しかも、終わったら終わったで、『ウォーグルさん、どうして叩いてくれないんですか?私のことが嫌いなんですか?ねぇ、ねぇ……!』って。もう怖いのなんの……」

 

ウォーグルはそう言いながら小刻みに震えていた。ニンフィアのウォーグル愛恐るべし。

 

「まあ、なんだかんだで嫌いではなんでしょ?」

「え?そ、そりゃあまあ、そうだけどよ……。って、なんでそんなこと聞くんだよ!」

 

ウォーグルは顔を赤くしながら怒る。

黙っていれば普通にかっこいいけど、このツンデレっぽいところが可愛さも出している。だから、毎回怒らせたくなっちゃうんだ☆

 

「お、家着いたぞ」

「はーい、今日もありがとう」

 

僕はそう言い、ウォーグルの背中から降りて頭を撫でる。

 

「い、いちいち撫でんなって!もう子供じゃあるまいし……」

「可愛いね、ウォーグルは」

「うがぁー!可愛くねぇよ!この馬鹿!!」

 

とうとうウォーグルの怒りが爆発した!今日は彼にとってはとてもとても濃い一日だったからなぁ……。まだ昼だけど。

ウォーグルはギャーギャー騒ぐ声を聞きつけてか家の扉が開いた。

 

「レイ、ウォーグル?な、なんでそんなに大声出してるの……?」

「あ、ルカリオ。いや、ちょっとからかいすぎちゃって」

「やっぱりからかってたのか!!」

「こ、ここがいくら田舎だからって騒ぎすぎるのは……。えっと……もう、子供じゃないんだから……ね?」

 

ルカリオの一言にウォーグルはハッと目を覚ます。

 

「ご、ごほん!そうだよな。俺はもう子供じゃない……うん」

「相変わらず子ども扱いされるの嫌いだね」

「当たり前だ!まったく、進化してから1年以上経つというのに全然対応変わってねぇし……」

「ワシボンのときはまんざらでもなかったのにね」

「そ、そのことは蒸し返すな!」

 

またウォーグルが怒りそうになったので、なだめつつ家の中に入る。

 

「あ、おっかえりーレイ!」

「ただいま、ダイケンキ」

「あれ?ウォーグルお疲れ気味?」

「ま、まあな……」

「大丈夫?代わりに明日俺が学校行ってやってもいいんだぞ?ていうか、行きたい!」

「お前はレイと一緒にいたいだけだろ?」

「当たり前じゃん!ウォーグルは違うの?」

「ち、ちげぇよ!俺はその……手伝いだ!トレーナーであるレイの手伝いをするのはパートナーとして当然のことだろ!」

 

ダイケンキはウォーグルの言葉に「なるほど」と感心していた。

 

「あ、じゃあ俺も何か手伝いたい!レイ、何かすることはあるか?」

 

ダイケンキが無邪気な目でこちらを見つめてくる。

ダイケンキも黙っていればかっこいいのに見た目、年齢共に不相応な性格をしている。そんなところも好きなんだけど。

 

「ダイケンキは、ずーっと今のままでいてくれればいいんだよ」

「えー?それだけ?」

「現状維持っていうのも大切だからね」

「そっか……なるほど!わかった!」

 

本当に分かっているのだろうか。でも、単純な性格をしているダイケンキ可愛い。

僕がダイケンキも愛でていると、キッチンからタブンネが出てきた。

 

「お昼ができましたよ~」

 

その言葉にダイケンキは「わーい!」と言いながらリビングへ走っていく。

その背中を追うように僕たちもリビングへ向かった。

 

 

 

「ごちそうさま。タブンネ、今日もおいしかったよ」

「うふ、よかった~。次は何作ろうかしら~」

 

料理大好きなタブンネは早速新しい献立を考えに行った。趣味で始めた料理がここまで成長しようとは……。

 

「ウォーグル、今日は本当に疲れてるみたいだな……。まだ昼だぞ?」

 

ウインディが食後のウォーグルを気遣う。ウォーグルは「まあな……」とだけ短く返していた。

僕はふとウインディの身体にある傷に気づいた。

 

「あれ、ウインディ。この傷……」

「ああ、今朝ダイケンキと勝負したんだ。また負けちゃったよ……」

 

ウインディは苦笑いしながらそう言う。

 

「ダイケンキ最近どんどん強くなってるもんね。特に炎タイプのウインディは……」

「そうだな。でも、ダイケンキと戦ってると……ちょっと楽しいって思えるんだ」

「あれ?珍しいね」

 

ウインディは元々平和主義な部分があってあまり戦いを好まない。ウインディが学校に行かないのは、みんなの面倒役というほかにもこの理由があるからだ。

 

「確かに、前までバトルというよりかは遊び感覚でしてたんだけどな。でも、今日全力で戦ったらなんだか楽しくて……。俺ももっと強くなりたいって思えるようになったんだ。あ、でも、やっぱり他の家のポケモンと戦うのはまだちょっと気が引けるかな」

「でも、そう思えるようになってくれて嬉しいよ、トレーナーとしては。特にウインディはポテンシャル秘めてるんだからガンガンバトルしなきゃ!」

「ガンガンか……。まだ、そんなに積極的には無理かな……。バトルは少なからずどちらかが傷ついちゃうし……」

「ウインディは優しいなー。でも、そのうち学校でウインディでバトルしたいな!」

「ま、機会があればな。基本的にはウォーグルに任せるよ」

 

ウインディがウォーグルに振ると、なぜだかむっとした表情になった。

 

「おいおい、その言い方じゃまるで俺に押し付けてるみたいじゃねぇか?」

 

ウォーグルは多分冗談で言ったつもりなんだろうけど、純粋な性格を持つウインディはどうやら真に受けてしまったようだ。

 

「あ、ごめん……。そんな風にとらえられるだなんて思ってなくて……。そうだな、よく考えたらこれただの押しつけだったな……。ごめん……」

「え!?い、いや、その……」

 

やはり冗談で言ったようで、ウォーグルも戸惑ってしまった。

 

「駄目だよウォーグル。ウインディ真に受けやすいうえに落ち込みやすいんだから」

「そ、そうだったな……。ウインディ、ごめん!今の冗談!落ち込まないでくれ!」

「ごめんな、気まで遣わせるようなこと言わせちゃって……」

「うう……ホントごめん……」

 

なんだかんだで仲間思いなウォーグルも凹んでしまった。なんだこの負のスパイラルは。

そんなマイナスオーラが漂う地帯に能天気にやってきたポケモンが1匹。

 

「あれ?ウォーグル、ウインディ、どうしたの?」

 

救世主、ダイケンキ!

何も事情を知らないダイケンキは無邪気に笑う。

 

「何があったかわからないけど、喧嘩したなら仲直りしないと!」

 

まさに子供のような言葉に二人は呆然とする。

そして、お互いの顔を見合わせ、ふっと笑った。

 

「別に喧嘩してたわけじゃないんだが……。でも、そうだな……。ウインディ、ごめん。変なこと言っちゃって」

「いや、俺こそごめん。俺ももうちょっと冗談を受け入れられるようにならないとな」

 

2人ともダイケンキから元気を分け与えられたかのように笑顔に戻った。

ダイケンキのパートナーとしてのお手伝いは……やっぱりこれだよね。

 

「じゃ、何して遊びたい?」

「これ!これがしたい!」

 

今日一日はダイケンキのしたいことをみんなで目いっぱい楽しんだ。

 

……お母さんとお父さんは今はいないけど……でも、毎日楽しいな。

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