伝説のポケモン大豪邸!   作:くるみもち

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5 皆でドロドロお食事会!?

ウォーグルの意外な勝利から1週間後。

今日もまたポケモンバトルの日がやってきた。

 

「今日も勝てる……。俺なら勝てる……!」

 

ウォーグルはなんか1人暗示をかけていた。そんなに自信がないのかな……。

僕は海斗、ゼブライカと一緒に話していたら、奏がどこかそわそわした様子でやってきた。

 

「どうしたの、奏」

「あのね、今日ちょっと会わせたい子がいるんだぁ」

「「会わせたい子?」」

 

僕たちは突然の発言に首を傾げる。

代表としてゼブライカが質問をする。

 

「会わせたい子って……朝はそんなこと言ってなかったよな?」

「うん、なかなか言い出せるタイミングがなくって……。良いですかぁ?」

 

よくわからなかったけど、別に悪いことではないからと僕たちは頷く。

 

「ありがとうございますぅ。出てきて!」

 

奏はニンフィアとはまた別のボールを出す。

出てきたポケモンは……。

 

「こ、こんにちは……」

「「お、オンバーン!?」」

 

なんと、奏のもう1匹のパートナー、オンバーンだった。

僕たちはオンバーンがバトル嫌いということを知っていたため、より驚いた。

 

「へぇ、久しぶり!春休み以来だから……1か月ぶりくらいだね!」

「そ、そうですね」

「うふふ、オンバーン、緊張しなくていいんですよぉ」

「き、緊張なんて……!」

 

オンバーンは、ニンフィアの言葉に反発していたが……どう見ても緊張している。

オンバーンは人見知りというか内弁慶らしく、奏たちと僕たちでどうも対応が変わってしまうようだ。

ちなみにこれでも随分と話せるようになった方だ。

 

「でも、どうして急に学校に来たの?」

「そ、それは……。まあ、色々あってまたバトルが出来るようになったらなって思って……」

「色々?」

 

もしかして、先週の進路の話のことなのかな?あれ、本気にしてたんだ……。

オンバーンの言葉を聞いて海斗が意気揚々とやってきた。

 

「お、じゃあ、オンバーンと戦えるのか!?」

「い、いえ、それはまだ……。今日は見学で皆の戦ってるところを見ようかと……」

「なんだそっかー。ま、楽しんでくれよな!」

「ありがとうございます」

 

オンバーンはそう言って少し微笑む。

あ、そうだ。

 

「おーい、ウォーグルー」

「俺は強い俺は強い俺は強い……」

「……ウォーグルー?」

「は!?べ、別に何もしてねぇぞ!何もしてねぇからな!!」

「はいはい。それより……」

 

僕はオンバーンのいる方向を見る。

ウォーグルもつられて視線を動かして……。

 

「おおう!?オンバーン!?」

「久しぶりですね……」

「わ、悪ぃな、気づかなくて」

「いえ、気にしてないですけど……。なにしてたんですか?」

「へ!?い、いや、その……せ、精神統一だ!」

「お、やる気満々ですね」

「ま、まあな……」

「今日は皆のバトルを見学するために来ました。貴方の活躍、期待してますね」

「お、おう!や、やべぇ……」

 

ウォーグル、突然の背水の陣だった。

そして、今日の相手も……。

 

「ウォーグル。先週は不覚を取ったから今日はリベンジだ」

「やっぱゼブライカかぁ……!!」

 

頑張れウォーグル!

 

 

 

――バトル終了

 

結果は……。

 

「くぅう……せ、先週のが奇跡だったみたいにボロ負けかよ……」

 

ゼブライカ圧勝だった。

これにはさすがのゼブライカも苦笑いだった。

 

「うぉ、ウォーグル?今日の動き、いくらなんでもぎこちなくなかったか?」

「そ、そんなこと!」

「もしかして、オンバーンの期待にプレッシャーで……」

「うっ……」

「図星か……。でも、グラエナの時はそうでもなかっただろ?」

「そ、そうなんでけどさ……」

 

ウォーグルはちらっとオンバーンの方向を見る。オンバーンは、少し申し訳なさそうな表情をしていた。

 

「すみません。期待が重かったですよね……」

「そ、そんなことないって!ごめんな、勝てなくて」

「俺がいなければもっと活躍できたはずなのに……」

「大丈夫だって!……ほら、グラエナはこんなことならないだろ?」

「た、確かに……」

 

これにはゼブライカも納得していた。

そう、オンバーンはとにかくネガティブなのだ。確かにこれはプレッシャーになるなぁ……。

そんな様子のオンバーンに奏たちが近づいてきた。

 

「オンバーン、今日は楽しめた?」

「あ、まあ……。でも、俺のせいでウォーグルが……」

「そんなことないってぇ。もう、せっかく来たんだからもっと楽しまないと」

「そ、そうだよな。でも、見学自体は楽しかったよ。よかったら、来週も……」

「うん、楽しい気持ちを思い出して、またバトル出来るようになろうねぇ!」

「うふふ、楽しめてたみたいで良かったです……。あ、私はウォーグルさんを慰めに行ってきますねぇ」

 

ニンフィアはそう言うといつものようにウォーグルにリボンを巻きつけていた。

 

「ニンフィア、学校でもあんなだったのか……」

 

自分のパートナーの衝撃の姿を公共の場でも目にしたオンバーンはさすがに呆れていた。

 

 

 

――数日後

 

「起立、礼」

「「さようならー」」

 

今日は週末、明日は休み!

いつもは2人とも部活だから帰りはウォーグルだけとのことが多いけど、今日は教師たちの会議のため、全部活が中止となっている。つまり、珍しくも放課後にみんなと帰れる日なのだ!

いつもならすぐ家に帰って週末フィーバータイムでゲームをやりまくるところだけど、せっかくだから今日はいつもと違うことをしようと思っている。いや、さっき思いついた!

校舎を出たところでそのことをみんなに切り出す。

 

「ねぇねぇ、海斗、奏。今日家でご飯食べない?」

「「え?」」

 

突然の言葉に二人とも驚く。

 

「まあ、俺は大丈夫だけど……零は大丈夫なのか?」

「私も良いですけど、そうですよぉ。大丈夫ですかぁ?」

「OKOK!だって、秋月家はお金持ちだからね!」

「自分で言うことかよ……。ま、今日はせっかくの週末だし、零もそう言ってるから行くか!あ、グラエナも連れて行きたいからちょっと時間かかるけどいいか?」

「大丈夫だよー」

「あ、じゃあ私もオンバーン連れて来ないとぉ。それに着替えたいし、急がないと!私、先急ぎますねぇ」

「お、じゃあ俺も急ぐか!行くぞ、ゼブライカ!じゃ、零、また後でな!」

「待ってるよー」

 

そういうと、二人は僕たちより先に帰って行った。

 

「お、おい。そんなこと俺も聞いてないぞ?いや、俺だけじゃない……。このままじゃ、ルカリオたちも俺達分しか作らないだろ?」

「大丈夫、今電話するから」

「今から!?」

 

驚くウォーグルを尻目に僕はスマフォを取り出し自宅に電話する。

 

プルルルルル……プルルルルル……ピッ!

 

「あ、もしもし?零でーす」

『零?どうしたの?』

 

電話に出たのは予想通りルカリオだった。

 

「今日、海斗たち計6人家に来るから夕食6人分追加で」

『え、ええ!?今から!?そ、そんな急すぎるよー!』

「材料は余ってる?」

『え、えーと……。うん。昨日買い物したから足りると思うけど……』

「じゃあ、作って!執事でしょ!!」

『そ、そういうときだけ執事呼ばわりしないでよ!うう……でも来るんでしょ?わかったよ……』

「さすが零信者!」

『信者じゃないよ!!じゃあ、急いで作るから切るよっ』

 

ピッ!

 

「お坊ちゃまらしく我がまま全開みたいだったけど……どうだったんだ?」

「うん、つくってくれるって。すごく怒ってたけど」

「だろうな!まったく、ルカリオが怒るだなんて珍しいぞ?」

「うん、反省なう☆」

「その面構え、反省する気なしだな……。ま、帰るか」

 

ウォーグルに呆れられつつも帰宅した。

ほどなくして、家に到着。

 

「「ただいまー」」

 

家に帰ると、ルカリオは大急ぎに、タブンネはいつも通りマイペースに料理をしていた。

僕はいったん部屋に戻り、私服に着替え、ゲームを持ってリビングへ戻っていった。

ソファに座ってゲームをやろうとしたところでウインディに話しかけられた。

 

「あ、ウインディ。どうしたの?」

「レイ、今日いきなりカイトくんたちが来るだなんて……。俺たちは歓迎するけど、どうして朝に言わなかったんだ?」

「んー、帰りのホームルーム中に思いついたからかな」

「やっぱりな……。でも、もう今日みたいなことはもうなしだぞ?ルカリオ達も迷惑してるんだし」

「わかってるって。このままじゃ糞主人公って思われちゃうし」

「そうだな……」

 

否定されなかった、ピンチ!

僕は今日の反省を胸に刻んだところでゲームを開始しようとしたら、今度は調理中のタブンネに話しかけられた。

 

「レイ~、今日カイトくんたちが来るってことはカナデちゃんたちも来るのかしら~?」

「うん、そうだよ」

「ということは……あの女も来るのかしら~?」

「あの女って……またニンフィアのことをそんな風に……」

 

タブンネが少し黒い笑みを浮かべていた。

そう、タブンネはなぜかニンフィアのことを毛嫌いしているのだ。別にウォーグルを取り合ってるというわけではないのに……。

 

「あの子には真心たっぷりポイズンクッキングを作ってあげないと~」

「うん、やめて。まったく、どうしてそんなにニンフィアのことが嫌いなの?」

「あら、別に嫌いだなんて言ってないわよ~。ただ、ああいう幸せそうな女を見てると踏みにじってあげたくなっちゃうの~」

「怖い!鬼畜メイド!!」

 

秋月家のメイドは隠れドSのようです。

これ以上タブンネの思想を聞くと今晩が修羅場になりそうだから料理に戻ってもらうことにした。

ようやくゲームを開始できてから30分後。インターホンが部屋に鳴り響いた。

 

「あ、来たみたい」

 

ゲームを中断して扉を開けると、暇そうにしていたダイケンキがついてきた。

 

「俺も行くー!」

「出迎えるだけだけど……。ま、いいか」

 

僕はダイケンキと一緒にドアに向かい、お客さんを出迎える。

 

「いらっしゃーい」

「よ、来たぞー。お、ダイケンキも一緒か!」

「へへ、ようこそー!」

 

先に来たのは海斗たちだった。

僕は海斗たちを誘導して、部屋に入れる。

 

「やっぱりいつ来ても開放的でくつろげるなー!」

「おい、カイト。ここは他人の家だぞ。しかも大豪邸。もうちょっと身をわきまえるんだ」

「そうですよご主人様。親しき仲にも礼儀あり。身の程を知ってください」

「相変わらず辛辣だなぁ俺のパートナーは!」

 

相変わらず海斗パートナーは毒舌だった。海斗不憫……。

ゼブライカ、グラエナはダイケンキたちと会話を、海斗は僕とゲームをすることにした。

そして、数十分後。

 

ピンポーン。

 

「お、奏じゃないか?」

「そうかも、ちょっと待っててね」

 

僕は再びゲームを中断。玄関には予想通り奏たちがいた。

僕は同じように部屋に連れてきた。

 

「おじゃましますぅ。は、さっそくウインディが目に!むふふ、いつみてもカッコいいですぅ」

「こ、こらカナデ!あ、おじゃまします」

「あ、ああ。ようこそ」

 

さっそく興奮気味の奏にはウインディも苦笑いだった。

 

「ご飯はもう少しかかるからゲームとかしてよ」

「うん、今日こそせめて海斗くんには勝てるようにしないと!あ、そうだぁ。これ、ママが零くんにって」

 

そう言って奏が渡してくれたものは木の実の詰め合わせだった。

 

「えー、そんな気を遣わなくていいのに。でも、ありがとうね」

「えへ、どういたしまして!」

「お、そうだ。オレもあるんだった。グラエナ、教えてくれよー」

「いえ、ご主人様がいつ気づくか試させていただいてました」

「いつの間にか試されてた!?」

 

忠実なポケモンが主人を試すだなんて……この子、できる!

海斗がくれた物はネイティオこけしのマトリョーシカだった。なぜ……。

頂き物を片付けてから僕たちはしばしパーティゲームを楽しんだ。

数十分楽しんだところでルカリオたちが食べ物を運んできた。

 

「お、おまたせしました……」

 

緊急発注にもうすっかり疲れ気味のルカリオ。でも、料理はいつも通り完璧だった。やっぱりこの子プロだ!

 

「あーあ、あとちょっとだったのになぁ。あ、すごい!これ美味そう!」

「一応零たちも近所のスーパーの品だけで作ってるんだよな?なのにどうしてこんなにオレん家と差が出るのか……」

「一応前まで住んでた本物の執事さんメイドさんから教わったので……」

「あ、いたいた!執事の赤城さんとメイドの皆藤さん!またメイド服着たいなぁ」

 

奏たちはメイドたちの話で盛り上がっていた。

僕が中2の冬の頃。両親が単身赴任で家を離れることになったとき、一緒に2人も行ってしまったのだ。でも、それこそルカリオとタブンネがお手伝いの心得を教わっていたため、生活には困らなくてすんでいる。

タブンネもルカリオと一緒に料理を持ってくる。……が、それはニンフィアの分だった。

そして、どこか色が禍々しい気が……。

 

「はい、どうぞ~」

「あらぁ?タブンネちゃん、なんだか私の料理、色がおかしくないかしらぁ?」

「うふふ、ごめんなさいね~。ちょっと失敗しちゃった~。でも、味は問題ないから美味しく召し上がれ~」

 

このタブンネ……ホントにやりおった!よくもまあ、他人のポケモンに堂々と……。

一応、タブンネも料理の腕前は一級クラスだから味は大丈夫だと思うけど……。

 

「ち、これじゃあウォーグルさんにあーんできない……やっぱり早いうちに消しとくべきですかねぇ……」

 

なんか今、ニンフィアの不穏な声を聴いてしまった気がする。全面戦争だけはやめてね。

いつもはニンフィアの行動に困っているウォーグルも今回ばかりは庇おうとしていた。

 

「お、おい、タブンネ。さすがにあれは……」

「あら~?これであの子からはあ~んされなくなる。良いことじゃないかしら~」

「それはそうだけど……。でも、相手はお客さんだし……」

「何か文句でも?」

「い、いや文句とかじゃなくて……なんでもないです、はい」

 

タブンネのブラックスマイルに気圧されていた。このヘタレ!

というか、ウォーグル以外あの料理を気にも留めないってどういうことなの……。

友達同士がひとたび集まれば修羅場だなんてもしかして、僕たちの関係って複雑なのでは?

……考えたくもないからもう食べ始めることにした。

 

「よ、よし!じゃあ、食べよう!いただきまーす」

「「いただきまーす」」

 

なんとか食事に持ち込むことが成功。みんな食べ始めては会話なり感想なりを言い合う。

僕も会話に混じりながらもオンバーンたちと食べてるニンフィアをちらりと見る。

 

「ニンフィア、美味しいか?」

「ええ、そうですねぇ。とってもヘルシーで健康に良さそうだわぁ」

「ああ、その通りだな。やっぱりタブンネの料理は美味しいな」

「うふふ、本当、オンバーンの言うとおりですねぇ……」

 

怖い!ニンフィアが上面だけの笑顔で黒い物体食べてる!そして、その様子を見てるオンバーンがニコニコしてる!なんなの!

もはや気にしたら負けな気がしたから僕は本題を話し出すことにした。

 

「ねぇ、来週末から3連休あるじゃん?その日にみんなでピクニックとか行かない?」

「お、本当か?それはいいなぁ!」

「私も行きたいですぅ」

 

僕の意見には海斗たちだけでなく僕のポケモンたちからも賛成の声が上がった。

 

「俺も行きたい!みんなでバトルしたりご飯食べたりバトルしたり!」

「相変わらずダイケンキはバトルだらけだな。でも、いいんじゃないかな。俺も賛成だよ」

「ボクも良いと思うよ。ちゃんと事前に言ってくれたしね」

「じゃ、決定ってことでOK?」

 

みんなから賛成という声が沸く。良かった、断られなくて!

親がいたときは外出の制限が厳しくてあまりこういうことが出来なかったため、今から楽しみになってきた。

その後もなんとか和気あいあいを会話することができ、20時にお開きすることとなった。

 

「じゃ、みんな気を付けて帰ってね」

「ああ、おじゃましました!」

「おじゃましましたぁ」

 

こうして無事お食事会は無事終わることが出来た。

みんなを見送った僕が部屋に戻るとウォーグルが話しかけてきた。

 

「まさか、インドア派なレイがピクニックなんてな」

「別に僕だってインドア一本なわけじゃないからね。今までだって出かけるときはゴルフとか釣りとかしてたし」

「ま、それもそうか。来週が楽しみだな」

「そうだね。ニンフィアとウォーグルの関係急上昇のチャンスだしね!」

「い、いや別に俺とニンフィアはそういう関係じゃないから!」

「そうよ~。ご主人のポケモンに近づく雌豚は駆逐しないといけないわね~」

「待てタブンネ俺はそこまで言ってない!!」

「うふふ、今のはさすがに冗談よ~」

 

何か言えばすぐ翻弄されるウォーグル可愛い。

 

「じゃ、片付けしないと。急な注文したからちょっとは手伝わないとね」

「あら、助かるわ~。じゃあ、早速やりましょ」

 

僕とタブンネはルカリオがせっせと頑張ってるところに混ざって一緒に食器を運んだ。

来週、楽しみだな……。

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