ラスボスはお母さん   作:ラスボスはゴッドウソップ

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ワノ国 二幕目

△月◯日

お前ら一列に並べー!

そんで片手を出して…………だだだだだだだ連続ハイタッチだ!

「わ、あァ……」

「うォ」

「おおおおおお!!!!」

「んぅっ……!?」

「これは……奇跡か、幻か!?」

 

ふはは、どうだ私は凄いだろ!この国全てのSMILE患者を連れてこい!私がこの国を救ってやる!!!!

 

 

 

……流石にここまでスピード解決出来た訳ではない。

 

セルセルの能力ならSMILEによって変質した細胞を活性化させてほぼ元通りにすることは出来るけど、どう急いだって、一人30分ぐらいは掛かってしまう。

更にはかなりの集中力を要し、ちょっとミスれば最悪患者が死んでしまうというプレッシャーの中、主にカイドウへの討ち入りに参加してくれる侍を優先して私は治していった。

 

ちなみに、

トコちゃんは一番最初に治して、私に治して貰いたい患者で長蛇の列が出来上がる中、少し遅れて現れたトコちゃんのお父さんである康イエさんも治そうとしたのだが、「俺は最後で構わねぇさ!」とのこと。

 

それよりもトコを治してくれて有り難うと深く頭を下げられ、俺に出来ることはないかと疲労困憊な私に寄り添ってくれた。

 

……優しい人だ。

 

オロチのクソ野郎なんかに処刑されていいような器ではない。出来れば死んで欲しくないけど、この人がいたからこそ、あれだけの侍が集まったって事実もあるし……難しい話だ。

 

今は私に出来ることをしていこう。

 

追記

チョッパーが医者としてジェラシー感じちゃってるのか私の袖をしきりに引っ張るので、康イエさんに追い出して貰った。

これで治療に専念出来る。今夜は徹夜だ!

 

 

 

△月◯◯日

おいてめぇ、俺が出した薬はちゃんと飲んでんだろうな!

とローさんが来た。

……もちろん飲んでる。でも昨日は飲めなかった。

あれ?その前も飲んでいなかったような……

 

と、どうやら追加で薬を持ってきたらしい。

 

そう言えばオペオペでSMILEの症状は治せないのだろうかと尋ねたが、毒素を抽出するだけならともかく、変質した脳細胞を再生させることはオペオペの能力では出来ないらしい。

 

私のセルセルも小さい傷を塞いだり、免疫力を高めて病気を治すことは出来るが、癌やポリープを取り除くことは出来ないので、適材適所というやつだろう。

 

 

 

△月◯✕日

今日もSMILE患者の治療中。

 

どうやら勘違いしていたみたいなのだが、てっきりSMILEの症状に侵された人々は国中にいると思っていたが、えびす町の外はそれほどでもないんだとか。

 

だからこのペースで行けば明日の朝には全員治し終えるらしい。

 

なーんだ、なら休み休みやれば良かったと思うこの頃である。

 

追記

えびす町の人達が振る舞ってくれた、おうどんがとっても美味しかった。

原作読んでても思ったけど、えびす町の人達優しすぎな。いくら私が治してあげたからって、自分達が一番お腹空いているだろうに、ない物を出しあって、こんな美味い物を食べさせてくれるとか………こんなん絶対好きになってしまうやつじゃん。全部終わったら移住してやろうか?この野郎!

 

 

 

△月□◯日

えびす町にいる住人の治療を終えたのでぼう太の調教を再開。

なかなかにクセのあるやつだが、私にとっては最後の希望である以上、根気よくやっていくつもりである。

 

追記

こいつ、人の記憶を勝手に取り出して食べやがった。

直前の記憶だったからいいもの……全く、人の記憶を何だと思ってるんだ。

 

 

 

△月✕✕日

今日はナミさん達と湯屋に。

お湯のせいで力が抜けて6歳児ボディに戻ったら、ロビンさんが驚いていた。

そう言えば私の6歳ボディを見たことがあるのはルフィとナミさんとチョッパー、サンジさん、あとローさんぐらいであった。

 

どうりでナミが気にかける訳だわ……と得心がいったような顔をするロビンさん。

……ナミさんは子供好きだからね。

 

ちなみに男でも女にでも成れる私だけど、性自認は一応女である。

今回は混浴だったからあんまり関係ないが、男湯と女湯が分かれていたら女湯の方を選ぶのが私だ。

 

えっ?なら能力が解けた時はどっちかって?

 

それを知りたくばラフテルへ行け。

多分答えはないけど、海賊王にはなれるぞ。

 

 

△月♡□日

今日は康イエさんに呼び出され、改めて有り難うと深く頭を下げられた。

SMILEの症状は治っているから、とても真面目な顔をしていて、何だがちょっぴり身構えてしまう。

 

だが何故このタイミングで感謝の言葉を告げに来たのか察せられないほど鈍感ではない。

このおこぼれ町には昨日からオロチの私兵が雪崩れ込むように配備されている。そして日報にてこの国一番の花魁と名高い小紫の葬儀を行うと……。

つまりは原作でいう彼の処刑のタイムリミットが迫っているのだ。

 

私は死ぬつもりなんですかと康イエさんに尋ねると、それで国が救えるなら、と即答した。

 

……うん。

 

私は黙って戸の襖を開ける。するとそこには大粒の涙を浮かべているトコちゃんと般若のお面を付けたナミさんの姿が。

 

「うぇぇぇん!!!お父ちゃん死んじゃやだー!!!」

「なっ!?トコ、何故ここに!?」

 

知らないのか?地獄ってのはより強い方が勝つ。

私の地獄を前にはお前らの地獄など天国よ。ってことで天国にしてくれるわ!

 

 

 

 

△月✕日

えびす町の人達が殺された。

全員ではない……急いで助けにいったんだけど間に合わなくて……何人も殺された。

銃やナイフで急所を一刺しにやられた訳ではない。じわりじわりとなぶるように殺されたんだ。

 

それでも、えびす町の人達は最後まで笑って逝ったらしい。

 

反旗の芽を隠す為に。

 

SMILEの呪縛からまだ逃れられていないのだとカイドウとオロチを騙す為、それだけの為に。 

 

笑って……。

 

 

 

追記 

こんなに誰かを殺したいと思ったのは初めてだ。

 

 

 

△月✕✕日

と言うわけでルフィの元へと訪れた。

どうやら私が治療している間に採掘場での諸々は終わってしまったらしく、今は流桜を極めているところらしい。

 

そこで私はルフィに宣言した。

決戦には私も出ると。

 

「……ダメだ。お前は連れていけねぇ」

 

ならいいよ。勝手について行くから。

予想は出来た返答の為、そっぽを向いて歩くと肩を強く掴まれた。

 

「オレの言うことが聞けねぇのか!」

 

何故かルフィは本気で怒っていた。

 

「昨日まで笑い合って、一緒に飯を食った人達が殺されたんだ!何もしないなんて出来る訳ないじゃん!」

 

そして私も何故かキレた。朝お薬を飲まなかったのがいけなかったのだろうか。

 

「なら俺を頼れよ!」

「カイドウに一発殴られて気絶したやつが偉そうに言うな!私は役に立つ、カイドウに何がなんでも勝ちたいなら利用してみろよ!海賊なんだろ!」

「っっ……俺が掲げたドクロは自由の証だ!誰かを支配するつもりなんてねぇし!お前に戦えなんて言いたくねぇ!」

 

今にして思えば、初めて親しい人を亡くして私は動揺していたんだろう。

今まで何とかなったら、今回も何とかなると思っていたから余計に取り乱していたんだと思う。

 

「だいたいお前は!俺が来るなって言ったのにカタクリとの戦いに助けにきてくれるしよう!ただ親子ってだけで俺のことをろくに知らないのにドフラミンゴから守ってくれるしよう!対して強くもないくせに危ないことに首を突っ込み過ぎたんだよ!!!ちょっとはこっちの心配する気持ちも考えろ!!!」

「うるさい!うるさい!うるさい!私は強いんだ!私が全部悪いんだ!だから私が責任を取らなくちゃ……私がカイドウに触れたら龍になれなくなって弱体化するんだ!私は最強だ!」

「そんなぐちゃぐちゃのまま戦いに出てみろ!絶対に死ぬぞ!」

「別に!私は死んだっていい存在だもん!」

「ッゥ!?」

 

その時、ルフィの体が動くのが見え、私はビンタされるんだと身構えた。

流石に言い過ぎた。今のは私が悪い。

ルフィはルフィなりに私の事を自分の子供として見てくれているのに、そんな相手に対して……あぁやっぱり私クソだな。

 

急速に冷めていく思考の中、どうせ原作通りならルフィ達はカイドウに勝つのだ。置いていかれるなら、その間にエレジアに帰ろうと、考えを改める。

 

けれど身構えた後に訪れたのは鋭い痛みとは程遠い暖かい物で……。

 

「頼むから、それだけは言うな」

 

抱きしめられた。

 

 

 

「豁サ縺ォ縺溘>!!?」

 

幸福、罪悪感、自己嫌悪、安堵、絶望、歓喜、恐怖

 

私の脳は膨れ上がる複数の感情を制御出来ず、強制シャットダウンした。

 

 

 

 

 

追記

これのお陰かどうかは分からないけど、能力が覚醒した。

やっぱり最後に勝つのは愛じゃよ、愛。ひいじいちゃんも言ってた。

今の私なら汚染した土壌や川を聖域レベルに清めることが出来る。やった……ぜ?

 

 

 

 

 

 

△月□◯日

このタイミングでぼう太の調教に手応えを感じ始める。

 

 

さては……試されているのだろうか。

 

 

 


 

一方その頃

 

「あ、あのぅ……」

「おのれ、トラファルガー・ロー!儂の可愛い孫娘(会ったことはない)を拐うとは、絶対に許さーん!」

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