ラスボスはお母さん 作:ラスボスはゴッドウソップ
これはホビホビの能力により、モンキー・D・ルタが束の間の休息を謳歌していた2年前の話。
「なんだろ……これ?」
今日も今日とてファン達の為に自慢の歌声を披露しようと映像電伝虫をセッティングしていた歌姫ウタは一冊のノートを取って首を傾げる。
「ゴードンのかな?……でも私の字だよね」
何気なしに開いて見ると、それは日記だった。
最初はゴードンの物かと思ったが、それにしては文字が可愛らしい。と言うか私と同じだ。
だがこんな物を書いた覚えはない。誰かが筆跡を真似たのだろうか?ならば何故……と降ってわいた疑問は自然と日記の中身を読み解くことで謎を解明しようと目線を動かし、一ページ目、二ページ目と読み進めていく内、歌姫は今日のライブの事が頭から抜け落ちていった。
ルタって誰?
私の娘……全く覚えがない。
えっ、ルフィと私の子供かもしれない?
検査は出来ないし、確証はないけど………あれだけしか経験はないし…「別に誰が父親でもいい、ルタが私の娘であるなら」ってどういうこと?
ルタが………ルタ……ルタって…………
そして半分ほど読み進めた時であろうか。
ウタは自分の頬から一筋の雫が流れていることを知って、唖然とする。
どういうこと?
こんなの……知らないのに。どうして胸がこんなに苦しいの?
存在する筈がない私の娘。
どれだけ過去を振り返っても、この日記の内容と類似するような思い出はない。
だからウソの筈。なのに……心が苦しくてたまらない。
もう見るのを止めてしまおうかとウタは次の一節を見て、鳥肌が立った。
『ルタがいなくなった。ルタの部屋はまるで新品みたいに綺麗になっていて、今まで書いた日記もこれを残して全部無くなったみたい。
どうして。どうしてなの……ルタ。私はただ貴方と一緒に…………ウタワールドで永遠に生きたかっただけなのに』
これを最後に日記は白紙になっていた。
なんて唐突で不気味な終わり方だろうか。
これでは私は実の娘と心中を計ろうとしたばかりか、その存在を忘れて、今の今まで呑気に生きてきた事になる。
実の家族同然だと思っていた赤髪海賊団に裏切られたショックを知る私が、よりにもよってだ。
未だこの日記に書かれていることが本当だとは思えないが……後味の悪い締めくくりであった。
「きっと誰かのイタズラ……だよね。うん、そうに決まってる……」
このエレジアには自分とゴードンしかいない。
そしてゴードンはこんな事をする人間ではないと分かっていたが、そうでも思い込まないと、その時のウタはどうにかなってしまいそうだった。
「……そうだ。ライブを始めないと……私にはファンの皆が待っているんだ」
とても笑顔で歌うような気分ではなかったが、皆には迷惑をかけられないと自身に活をいれる。
「3、2、1…………皆ー!ウタだよー!」
エレジアの真実を知った時、彼女は架空の存在かもしれないルタに依存するようになる。
「ねぇねぇ!とうきにんぎょうのお姉ちゃん!また歌って!」
「はは、朝早くからどうもすいません。どうやらこの子が貴方の歌声を痛く気に入ったようでして」
「フフフ……良いですよ。お嬢さんお名前は?」
「レベッカだよ!そしてこっちは兵隊さん!」
「そっか。レベッカちゃん……なら今日は特別に私が大好きで大得意な曲を聞かせてあげる。これは
「ほんと!?」
「うん。なら歌うね……ヨホホホ~」
ドレスローザの郊外。
それはそれは楽しそうに歌う陶器人形とそれに瞳を閉じて聞き入る少女と片足のブリキの兵隊。
世界の歌姫がその歌声で世界を魅了する中、こんな一幕があったんだとかなかったんだとか。
現在のルタ
四将星(仮)→ビッグマム海賊団
飛び六胞(仮)→百獣海賊団
麦わらの一味(仮)→麦わら海賊団
海賊王を目指す五番目の皇帝と世界の歌姫の娘