ラスボスはお母さん 作:ラスボスはゴッドウソップ
しーん。
「ウゲェェ……グフッ」
胃の中の物を吐き出し、獣人形態から人へと戻る。
「完全に酔いが覚めた。正に最後の一撃ってやつか……
カイドウの言うそれは、撃ち抜かれる瞬間にルタがセルセルの能力で血統因子その物を揺らした結果だった。
意識的にやったのか無意識なのかは定かではないが、世界で二番目の天才ことシーザー協力の下に生み出されたこの技は、食らうと反動で暫く能力が使えなくなるばかりか、吐きそうになるほど気持ち悪い。
正に能力に慢心しているようなやつには致命的な技……ではあるが、覇気至上主義のカイドウには能力の使用可否など些細なことだった。
彼は自身の眼下でうつ伏せになるルタに、言葉を投げ掛ける。
「ルタ……てめぇも難儀なやつだ。お前は自由に憧れ、何ものにも縛られぬ最高の死に様を求めていたが、その実、どこまでも己の血に縛られた人生だった」
一度目は見逃し、二度目は制裁を与えた、そして三度目に俺がお前に与えるのは絶対なる死だ。
少し前、バカ正直にも自身の目の前でルフィ達を治療するという裏切りの様を見せつけたルタにカイドウが言い放った言葉だ。
血は裏切れぬというが、血のせいで死んだというのがカイドウのルタに対する総評である。
少しでも息があれば、直ぐに能力で全快して見せる彼女。そんな彼女を確実に葬るべく、能力で底上げした腕力に加え、覇王色の覇気を上乗せした一撃を浴びせた。
「おい、嘘だろ!?目を覚ませよルタ!!!」
彼は能力が解けて全身血塗れとなったルタを抱き上げて狼狽しているルフィに目を細める。
「残念だが現実だ。
見聞色を極めたお前になら分かる筈だ。こいつは死んだ。特殊な
鼓動は完全に止まっている。全身の骨は粉々で、何千、何万と殺しているうち、いつの間にか聞こえるようになった命が砕ける音をカイドウは聞いた。
これで復活するならもう、それはヨミヨミのような死を前提とした能力に期待するしかない。
「お前ー!!!!」
それを理解したのか、激昂したルフィはギア4となり、カイドウへと殴りかかる。がそんな感情任せな攻撃を食らうほど四皇の名は優しくない。
「……麦わら、俺はお前を恨むぜ」
「ふざけんなぁ!お前が!お前がルタを!!!!」
「こいつには、うちでやっていく才能があった。その能力は飛び六砲として申し分なく、部下達とも早期に打ち解け、自由に生きる……その為なら他の不幸を許容する強かさがあった。こいつがいればうちはもっと強く、そして面白くなってただろう。それが……お前のせいで台無しになっちまった」
確かに手を下したのは自分かもしれないが、その原因を作ったのはルフィだというカイドウ。
「ッッ…………ゴムゴムのぉ~!」
「
「バオファン、鬼ヶ島中に結果を報じろ」
彼らは海の底へ落ちていった。
もう死んでいるであろうルタはともかく、あれでは麦わらも助かるまい。
せめてもの弔いとして、飛び六砲の一席は永久欠番とし、この鬼ヶ島をルタの墓標とする。
そう告げたカイドウの顔は失意に沈んでいた。