ラスボスはお母さん 作:ラスボスはゴッドウソップ
「うわー!見てみて!あれがエレジアだよー!」
「あー、分かったら急かすな」
思いもよらない事件に巻き込まれつつも七日目。
赤髪海賊団は無事エレジアへと到着しようとしていた。
「いっぱい船が浮かんでるね~!」
「民間の船や海賊船も結構あるな」
「海賊船!?それは大変だよシャンクス!ウタちゃんは海賊が大嫌いなのに!」
「ぅ……ん。そうなのか。それは困ったな」
使いすぎるとバカになるというセルセルの実。先日島一つを対象にして能力を使用とする特大のアホウを噛ましたルタは未だアホアホの実の全身地雷人間であった。
「しかし……少し妙だな。まだ夜明け前だってのに明るすぎる」
「ふふふ!バカだなぁシャンクスは。そんなの灯りをつけているからに決まってるじゃん!」
「それはそうだが……」
シャンクスの目線の先にある、ライトアップされたエレジアの姿。
トットムジカがエレジアを崩壊させてから12年。
これだけの年月と、それなりの蓄えさえあれば復興することは十分に可能だろう。
別にシャンクスはゴードンにエレジアを復興するなとは言っていないし、定期的に宝を流していたから不可能ではない……のだが、何というか嫌な予感がした。
「そう言えばルタは、少し前までエレジアで暮らしていたんだよな?」
「うん!お姉ちゃんとゴードンと暮らしてたよ!」
「他に移民……いや、他の島から引っ越してきた人はいなかったのか?」
「居なかったと思うよ?私が出てってから大分経つからその後のことは知らないけど……」
シャンクスから見て、目の前のルタという少女は6歳ほどにしか見えない。彼女はエレジアで育ち、訳あって島を離れることになったそうだが、年齢からして島を離れてから大分経つと言っても、せいぜい一年か二年の話だろう。
彼女が暮らしていた頃のエレジアは崩壊した後の物であったと言うし……果たして二年ほどでここまで復興出来る物なのかと、シャンクスはウタウタの能力でウタワールドに取り込まれた可能性を疑った。
まぁ実際、ルタが島を離れたのは6年前なのだが、エレジアの街並みは崩壊する前以上の輝きを取り戻していた。ルタもIQが戻れば同じ結論に達するだろうし、何も知らないシャンクスが幻想であると疑うのも無理はない。
「あー!見て見て!シャンクス!ピカピカのお船!」
「……おいおい、あんなやつまでウタのファンなのか?」
シャンクスの呆れたような声。
ウタの歌声はあの"
船と言うより巨大な街のような黄金船が島の裏手からひょっこり顔を覗かせていた。
「シャンクス大変!あそこで出店してる人、海軍だよ!」
「な…………いや、あれは違うぞ」
「あれ?そうなの?シャンクス達捕まらない?」
「それは分からないが……資金集めでもしてるんだろうか?」
元海軍本部大将ゼファー率いるNEO海軍。
海賊撲滅を掲げた過激派組織の末端の兵士が、何故か出店を開いていた。
「シャンクス!あそこー!船が飛んでる!!!」
「…………ウタのファンだよな。ファンであってくれ」
今度は海賊として、大海賊時代を迎える前から海賊王の船に乗っていた者として、
もしあれがエレジアで暴れようものなら……それは腕の一本や二本で済む話ではない。
「シャンクス!これ見て!」
「次は…………このライブの企画担当がブエナ・フェスタだと?アイツは海王類に食われて死んだ筈じゃ」
一体全体、これはどういう状況だと言うのか。
新世界の怪物にNEO海軍に金獅子海賊団に祭り屋フェスタ。
皆が皆、この海に荒波を立てる猛者達だ。
彼らがウタのファンでライブを見に来ただけならいいのだが……何だが頭痛がしてきた。
シャンクスは見聞色の覇気でルタが次にまた何かを発見して、報告してくる未来を見てしまったが、正直もう聞きたくない。
「シャンクス!」
「ルタ、お前に俺はもう何も聞きたくないことを教える」
「でもでも!シャンクス!あれー!」
なるべく見ないようにと目を細めて、ルタの指差す先に視線を向けるシャンクス。
するとそこにあったのは、バギー海賊団の船であった。
「……何だ、バギーか」
バギーなら別に問題ないなと、一息つくシャンクスであった。