ラスボスはお母さん 作:ラスボスはゴッドウソップ
それとも……バギーに期待の眼差しを向けてみる。
どうしてその選択肢を選んだのか、正直自分でもよく分からない。けど私は生まれて初めて誰かを頼るという選択を選んだ。
これでダメなら死んでやる。
そんな思いを込めてウタちゃんに抱きしめられたまま、シャンクスに拘束されているバギーへと助けを乞うような目を向ける。
「……いや、普通に無理だが?」
……ですよね。
まぁ分かってたけど、うん。
無敵のキャプテンバギーでもこうまで地獄な空気&シャンクスに拘束されてるという詰みな状況ではどうしようもないみたいだ。
「……そりゃおめぇの生まれには同情するが、流石に金獅子やシャンクスをいとも簡単に洗脳しちまうような鬼ヤベぇお前の母ちゃんとは関わりたくねえ…………と言うわけでなんで、俺は関係ないから帰してくれませんかね?」
「……私が海賊を野放しにするとでも思った?」
それに貴方はルタにとって、重要な人みたいだし。とボソリと呟くウタちゃん。
彼女はシャンクスに命じて、地下牢にでも閉じ込めているようにと告げる。
「さて、ルタはどうしたいのかな?」
改めて聞こうと言うのだろう。私を抱き締める力がぎゅっと強くなる。
「私は……」
もう、どうすればいいのか分からない。
ポキリとその時、私の心は完全に折れた。
もう何も考えたくない。心を空っぽにして、ウタちゃん……お母さんにとって都合の良い人形になってしまおうと全身から力を抜いた。
「えっ」
その瞬間、何かに胸ぐらを捕まれて引っ張り出される。
「ルタッ!」
えっ?
一体何が、と胸元を見ると片手が宙に浮いている。
「ぶわはは!!!馬鹿め!俺を本気で拘束したいなら海楼石の鎖でも持ってくるんだったな!」
狼狽したウタちゃんの姿、バラバラになったバギーを捕まえようと躍起になっているシャンクスの姿、そして高笑いしながら出口に走るバギーが、私を。
「おい!小娘!ハデに逃げるぞ!」
なんで、助けた。
一人で逃げればいいのに、それに私がここで逃げたらウタちゃんは……。
「知るか!さっきも言ったがおめぇの家庭事情なんて俺は知らねぇ!だがここから逃げるにはお前の能力が必要だからな!そんなクソ食らえな関係からは――海賊らしく奪ってやるんだよ!」
……なんて、滅茶苦茶な。そして理不尽だ。
これは状況が状況なら一種の告白というやつでは?と普段の私なら怪しんだが、あまりにも強引で、利己的な勧誘に度肝抜かれていた。
「あーくそ!動かねぇなら抱えてでも走るからな!」
その直ぐ背後からは剣を抜いたシャンクスの姿がある。
彼は私を抱えて逃げるというが、子供一人を背負って逃げきれるほど相手は甘くないだろう。
「チクショー!あの野郎、完全に俺を殺す気だー!」
私には分からないが、多分バギーの反応からしてシャンクスは覇王色の覇気を纏っているらしい。
……少しぐらいなら時間稼ぎになる筈だから、私を捨てて逃げれば?
「断る!俺は一度自分の物にしたもんを他人に奪われるのが死ぬほど嫌いなんだ!」
よく分からないが、私はバギーに惚れられでもしたのだろうか。それとも海賊らしく大胆で臆病で、ガキみたいな理由で我を突き通そうとする、こういう性格だから四皇に成れたんだろうか。
セルセル……。
何か情けないというか、哀れに思えて、私はぼう太を巨大化させて、バギーと乗り込む。
「へ!やっとてめえも逃げる気になったか!」
「違う。一旦逃げてお姉ちゃんを救う方法を考えるだけ」
「そりゃいい!戦略的撤退って言葉は俺の座右の銘でもあるんだぜ!俺たち意外と気が合うかもな!」
それから、なんやかんやでエレジアを脱出し、なんやかんやでエレジアをバギーの縄張りにして、ウタちゃんと折り合いをつけつつ、最終的にバギーを海賊王にしましたとさ。
ちゃんちゃん
ONE PIECE FILM RED バギーの章~完~
BADエンド1:バギーに期待の眼差しを向ける
「私が居ないとこの人は……」
モンキー・D・ルタ 懸賞金 一億三千万ベリー
ウタちゃんに刺された事が若干トラウマになって、包丁を見ると顔がひきつる。
数ヶ月後ぐらいにバギーを説得しクロスギルドの幹部達とウタちゃんと和解しようとしたが、失敗。
燃やした筈のトットムジカを歌ってしまったウタちゃんは原作と同じような末路をたどり…………「ルタ、生まれてきてくれてありがとう」心がぶっ壊れる。
結果的に持ち直したが、バギーを海賊王にすることを自身の夢の果てにした。
多分このルートでルフィが海賊王になれなかった最大の原因にして元凶。
覇気は習得不可。
心は折れているし、顔に出して笑えないが、本人曰く楽しくない訳ではない。
あの日から一度も歌っていない。歌うと母や父と過ごした日々を思い出すから。
BADエンド理由 ラスボスから逃げきってしまった。