ラスボスはお母さん 作:ラスボスはゴッドウソップ
ウタちゃんに刺された、と言うか殺されかけた。
海楼石のナイフでろくに抵抗も出来ぬまま一方的に。あれはウタちゃんが見せた夢だとは分かってはいるけど……怖かった。
ほんとの本当に怖かった。
どれぐらい怖かったって、そりゃ目の下の傷が疼くぐらい。
これはルフィみたいだからと敢えて能力で消していない傷だが、ウタちゃんが癇癪を起こして、それを止めようとした時に爪で引っ掻かれて出来たものだ。
今まで疼いたことなんて一度もなかったけど、まるで今になって傷口が開いたみたいにズキズキする。
いや……待って、本当に痛いんだけど。
堪らず私は片目を抑えた。
「……ルタ?」
それを不審に思ってかウタちゃんは私に歩み寄る。
すると傷の痛みが増した。
「来ないで……」
「えっ?」
「来ないでよ!」
能力が暴発して、プラズマ化したエネルギーが家を滅茶苦茶にする。
ウタちゃんはシャンクスが守ったようだ。
バギーはこれ幸いと逃げ出した。
「もううんざりだ……もう嫌なんだ。もうこれ以上、私のせいで誰かが傷つくのを見ていたくないんだ!だから記憶を消して一人で死のうと思ったのに!」
ぼう太をけしかけると……ほら、やっぱり。シャンクスが止めた。つまりウタちゃんは初めから記憶を消させるつもりはなかったんだ。
「ルタ……落ちついて、これにはちゃんと訳があるの」
「……訳?」
ウタちゃんは徐に取り出した映像電伝虫を起動し、ライブ会場の映像を映し出す。
『ごぼほぼぼ』
『ジハハハ!!何れだけ能力が強かろうと、能力者が海水に触れちまえばどうってことねぇ!あのロックスですら死因は溺死だったのさ!どうだ麦わら!その四皇の座、俺に譲り渡してみるかぁ?』
『ルフィ!!』
『ここは戦場だぜ。他人の心配をする暇が何処にある?』
『皆!この金粉に触れてはダメだ!』
『イッツショータイム!』
すると劇場版のラスボス達を相手に意外にも追い詰められているのは麦わらの一味で、(何故かヤマトもいたが)ウソップは血だらけで地面に倒れ付していた。
「シャンクスにバギー、そしてルフィ。あとは黒ひげっていう、この海で悪さをしている海賊を全員倒してね、この
フェスタがいるんだからまさかとは思ったが……ラフテルへのエターナルポースはウタちゃんが持っていたようだ。
そして分かった。どうやらウタちゃんはウタちゃんなりに
だからこんな強引な手段を取ったのだろう。
私が例え一生エレジアに帰って来ることがなくても……いや、この規模を考えれば、たった数ヶ月で用意出来る代物ではない。
恐らくは日記か、記録映像かで私の存在を知り、そして幸せにしてあげようと思った。
しかし何処にいるかも分からない相手を幸せにするなどどうすればいいのだろうか。
ウタワールドに人々を取り込んで自害し、心だけの存在となって永遠に過ごすという原作のルートでは私を取り零してしまうかもしれない。だから現実そのものの事象をどうにかしようと考え、そしてよりによって自身が海賊王となって作る新しい世界を新時代とした、そう言う事だろう。
「さっきのはウソじゃないの。でも今記憶を抜かれると……私の決意が揺らいでしまうかもしれないから、もう少しだけ待って欲しい」
そして、そう。
この計画は私という存在があってこその物。
私を忘れるなんて事になれば、最悪崩壊する。
「私はどれだけルタに嫌われてもいい、でもルタは幸せになって欲しいの。だから……ね?」
ぁぁ……。
つまりこれは私のせいで、ウタちゃんの新時代に多少の変更はあったもののウタちゃんが壊れていない証明だ。
傷の痛みがすうっと引いていく。
「……分かったよ。ありがとうお母さん」
「良かった。分かってくれたんだね」
「私勘違いしてた。でもお母さんと話してちゃんと理解したから……記憶を消すのは止める。それでごめんなさい、私はお母さんと暮らすのは合わないみたいだから、これからは自由な旅に出るよ、それが私の夢だったから」
「そっか……うん。どうか気を付けて」
私は自殺した。
Trueエンド:自殺するorウタちゃんと会話を試みる
「やっと……」
モンキー・D・ルタ 懸賞金なし
何の気兼ねなく自殺する。
ルフィ達はまぁ何とかなるだろうと思っている→尚、本当に何とかなった模様
刺される夢を見る前ならもう少し踏み込んだ話をしたが、ウタちゃんという存在そのものがトラウマになりつつあったので、早期に切り上げてしまった。
自殺した理由はまたルフィに認知されたり、自身の出生のせいでこれ以上誰かに迷惑をかけたくなかったり、何より他人の人生を大なり小なり振り回した責任を取ろうと思っていた為。
……こんなことで責任など取れる訳もないのだが、残念ながらそれを教えてくれる存在は彼女の側にはいなかったようだ。
Trueエンド理由 ルタが一番望んでいた最後