ラスボスはお母さん   作:ラスボスはゴッドウソップ

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パパが現れた

陶器人形になってから、あっという間に6年経った。

もう原作はとっくの昔に開始して、何なら2年後で、麦わらの一味は既にドレスローザへ上陸している。

確かドレスローザ編は一日の出来事だったから、このまま行けば夕方頃には全部決着が付くんだろう。

 

……いや、あの壮大な物語が一日の出来事なのかよ!

 

とツッコミをいれたい所だが、残念ながらそれは出来ない。

今の私は唄う陶器の人形。肉親であるウタから受け継いだ才能とゴードンの指導により開花した天使のような歌声(自画自賛)で人々を魅了する、しがない客引き玩具だ。

 

自由に動けないこともないが、あまりにらしくない行動は取れないようになっている。

 

「ん?」

「どうしたルフィ」

「おい、お前。どっかで会ったか?」

 

そう、私はホビホビの能力を受けた後、シュガーに二つ契約を結ばされたのだ。

 

一つは言わずもながらドンキホーテファミリーに敵対しないこと。

二つ目は、自身の得意としていることでファミリーの役に立つこと。

 

契約を結ぶ前に逃げようだなんて、まぁ狙っていなかった訳ではないが、案外この生活も悪くないんじゃないかと思う自分がいる。

玩具になって、折角食べた悪魔の実の力が使えないなどの不便はあるものの、ここにあったのはONE PIECEの世界で生き生きと生きる私の夢だった。

玩具でいれば、生きているだけで胃をキリキリさせることもないし、人前で歌って褒められて、稼いだお金で新聞や映像電伝虫を買い、大海賊時代のうねりの様を見物しながら過ごす……何とも言葉では言い表せないぐらい素晴らしい物だった。

 

「えっ?会ったことですか?……いや~会ったことはないですね~」

 

「ししし!!……そうか。何か懐かしい感じがしてな!」

 

……別に目の前のルフィをパパと呼んではいけないような縛りはないが、前に言ったように、それは私を含めて誰も望んでいない展開である。

 

正直、ルフィには私の存在は死ぬまで認知していて欲しくない。

 

だからこのまま一生玩具のままがいいのだが……う~ん。やっぱりずっと考えてたんだけど、気絶したシュガーを速攻で起こして再度玩具にして貰うしか方法はないんじゃないだろうか。

 

そうしないと麦わらの一味が詰むし。

それまで6年間も一人娘の存在を忘れていたウタちゃんの精神が持つか……だが本当の本当に幸いなことに今日はウタちゃんが配信ライブを行う日なのだ。

 

私のプレゼントした電伝虫では新世界まで電波は届かない筈なので、劇場版の流れ通りベガパンク製の電伝虫を拾ったんだと思うが、その人気はやはり爆発的であり、ここ二年で急激に名を上げてきたらしい。

 

お陰で自分で用意しなくても誰かしらが聞いているので、今日がライブの日であることを聞き耳で知る事が出来ていた。

 

ネズキノコを食べてないウタちゃんは一曲能力を使って歌っただけで眠ってしまうような貧弱?体力しかないので、上手いことタイミングさえ合えば、ウタちゃんが眠っている間に全てを終える事が出来る。

 

そのタイミングを合わせる為にはシュガーの近くにいなければならないが、何も6年間ただ歌っていただけでなく、あの原作にあった交易港の場所ぐらいは知っている。

 

 

だからゴタゴタしてきたタイミングでアッチに乗り込めば……

 

「なあなあ、今度は違う曲歌ってくれよ!」

 

 

……まだ居たのかパパ。

 

いや……うん。別に一曲ぐらいならいいんだけど、妙に食い付いてきたな。アンタ、歌とかに興味あるタイプとかじゃなかっただろ。

 

「オーケー、オーケーよ!何かリクエストとかありますか?」

 

「う~ん……なら、あれがいい!ウタが酒場で歌ってたやつ!」

 

あぁ、『風のゆくえ』ね。アニメで見た。

それならよく歌ってるから大丈夫。

 

「ふぅ…………この風ー」

 

「おいおいウタってやつが誰だか知らねぇが、そんだけでこいつが何を歌えばいいか分かる訳ねぇだろ」

 

……危っねぇ!!!!

危うく怪しまれる所だった。サンキューフランキー……バレてねぇよな?

 

「おっとそうだな。確かぁ~世界の大革命とか言ってたような」

 

いや、絶対言ってない。どういう記憶力してんだ我が父君は。

 

「って、こんな所で道草食ってる場合じゃねぇぜ」

「そうだ!エースのメラメラの実!歌の上手いやつ!また今度な!」

 

こうして嵐のように去っていったルフィとフランキー。

これが私がルフィ(パパ)と交わした最初で最後の言葉だった……となることを祈ろう。

 

間違っても「お前、俺の船に乗れよ」的なルートにはなってはいけない。

 

もし私の正体がバレでもしたら確定で麦わらの一味の関係に亀裂が走る。そして同情の余地はあるとはいえルフィの対応次第によっては子供大好きなナミさんにルフィが殺されかねない。

 

それは何というか、死ぬほど申し訳ない。

前世の唯一の心残りはONE PIECEを完結まで見届けられなかったことと迷わず答えるぐらいこの世界を愛していた私が、他ならぬ私の存在によって一味を無茶苦茶にしてしまうのだと思うと、本当の本当に……死んでも死にきれないのだ。

 

今日私のするべきことは気絶したシュガーを起こしてもう一度玩具にして貰うこと。

そしてもう気絶することがないように、そもそもルフィ達とシュガーを接触させない。

接触してまたウソップに気絶させられるようなことになったら、また起こして玩具にして貰う。

 

セルセルの実の力なら意識を覚醒させることぐらいは出来る筈……気合いを入れろ私!ここを乗り越えれば気負いなくONE PIECE世界を満喫出来る夢の陶器人形生活が待っているぞ!

 

 

 

◯月✕日

 

なんと ルフィが起き上がり 仲間に入れたそうにこちらを見ている




ちなみにルタの歌唱力は普通に歌が上手い人レベル。
しかし声質はウタにかなり似てる。

ドレスローザで6年暮らしていたが、本当にただ暮らしていただけなのでドレスローザ組とは殆ど交流はない。
キュロス(兵隊さん)と軽く挨拶した程度。
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