ラスボスはお母さん   作:ラスボスはゴッドウソップ

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エレジア編 グランドルート③

麦わらのルフィとゾロ、死の外科医トラファルガー・ローが金獅子のシキと壮絶な戦いを繰り広げている中、麦わらの一味はダグラスバレットを中心とした混合軍と交戦していた。

 

「ほぅ、元七武海に四皇幹部か。こいつは面白い!!!」

「ふんっ!そう言えばインペルダウンで顔を合わせたことがあったのぅ。どうした?あの時とは違い随分と饒舌ではないか!」

「ビリビリする。けど、カイドウ(クソ親父)ほどじゃない!」

「テメェ!ルタちゃんに何かしてねぇよな!してたら許さねぇ!!!」

 

激しい覇気がぶつかり合い、

 

「きゃあ!何ですかこれは!?私の体に、腐った肉片のようなものが!!!」

「いったい何十年生きているというの!?」

 

ブルックはスケルトンからゾンビへと変貌しかけ、

 

「ストロングライト!」

「くぅ!やはりホームグラウンドではないとやりずらいな!」

「このっ!どいてくれ!俺たちはお前達の相手をしてるほど暇じゃないんだ!」

 

テゾーロとNEO海軍の数に手こずっている様子。

 

「でも数は多いけど、そこまで強い相手じゃない」

「時間稼ぎが目的かしら?」「いや、違う。俺たちが強くなりすぎたんだ」

 

だが、新参とはいえ彼らは四皇幹部。加えてヤマトまでいる現状、時間はかかるだろうが脅威とは言えなかった。

唯一、ダグラスバレットだけは油断を許さない状況だが、倒すことが目的ではない。

 

本人がどれだけ拒絶しようと、もはや彼らの認識では一味に加入しいることになっているルタの救出と、その母親を救い出すことが目的だった。

 

「それにしても、なんでこんなヤベー連中が島に集まってるんだ?あのバレットってやつは海賊ぽいけど、海軍みたいなやつらと世界一の金持ちが共闘してるのが意味分からねぇ」

「何か目的があるのかしら?」

 

一足先に包囲網を突破したウソップとナミはこの島に入ってから感じる妙な違和感について話し合っていた。

 

「ルフィ達はウタに会えたといいけど、この分だとあっちにも何かありそうよね」

「まぁアイツらなら問題はないだろ。ヤバイのはルタだ。こっちの方角にいる筈なんだが」

 

縮み上がっていたビブルカードは元の半分ほどの大きさまで復元を終えていた。どうやら危機は脱したらしいが、あんな強敵達をルタが相手にして平気だとは思えない。

 

反応も徐々に強くなっている。もうすぐだ───「あれ?」

「これはどういう事?」

 

先ほどまで北を指していたビブルカードが南を指している。まさか入れ違いになったのかと、一歩下がると今度は北を指した。

 

「この下?いや、何もねぇ」

「まさか壊れちゃった?」「壊れたって、紙だぞ?」

 

何が起きているというのか。二人は首を傾げる。

 

 

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

「うわー、みんな寝てる!」

「こいつらは……」「おいおい、なんて寝顔してんだか」

 

一方の赤髪海賊団。

麦わらの一味を含め、名だたる海賊達が大の字で寝ている異様な光景を前にしていた。

 

「あれか?ライブ前にウタを誘拐しようとしてウタワールドに取り込まれたのか?」

「NEO海軍と海賊達の寝ている方向をみるに敵対してたのかもしれないな」

「て、ことはNEO海軍がウタの護衛をしてた?なんでまた?」

「NEO海軍はあれだろ?元大将のゼファーが率いてたってやつ。世界政府のやり方に納得がいかなくて離反したそうだが、一般市民のウタを守るってならあり得ない話ではあるめぇ」

「普通は海軍がやることだが、ウタのファンは過激だからなぁ。反世界政府派も多い」

 

口々に話し合うが、審議のほどは分からない。

 

「ともかく、ウタワールドはウタが寝たら解ける。今のうちにこいつら縛り上げとくぞ」

「あ、そう言えばこの島にはネズキノコが生えてたんじゃなかったか!?」

「何っ!?それは不味い!直ぐに解毒薬を調合しねぇと!」

 

「にしし!それについては大丈夫V!!!私がひんしゅかいりょーしたから、疲れたら勝手に眠っちゃうよ!」

 

「おお!マジか!?」「流石はうちのコックだぜ!」「コックじゃないよ!」

「お前の能力は便利だな。もしかしたらお頭の腕も生やせるのか?」

「生やせるよ!!!!」

 

「「生やせるの???」」

 

両腕さえあればあの鷹の目と剣で並び立つとされるシャンクスだ。とある事情で失ってしまったが、『あれ』を取り除いた状態で復元出来るなら願ったりかなったりだった。

 

「うん!りょーきんは15億ね!!!」

 

「高っ!?いや、普通はありえねぇし、妥当ではあるのか?」

「おい、今うちって何れぐらい金有ったっけ?」

「船にあるのは3億ぐらいだ。かき集めれば足りると思うが……ルタぁ。オイラの肉分けてやるから少しまけてくれねぇか?」

 

「分かった!!!じゃあ50ベリー!!!」

 

「……完全にお前の匙加減なのかよ。大丈夫か?結構リスクのある技だったりとかするなら遠慮するが」

「ううん!私がぶわーってしたら生えるの!こうね!付け根を触ってサワサワ~てすると」

 

にょきっと肘の長さまで腕が生えた。

 

「「「つぅ!!?」」」

 

「お、今日は何だか調子が良いや!ガンをせつじょしたからかな!この調子で手まで~」

 

あまりに異様な光景に一同は息を飲む。だがこれで船長の腕が元に戻るのだと固唾を飲んで見守る中、能力を発動させようと手を伸ばすルタの手をシャンクスが止めた。

 

「止めろ!」

「ひぇッ」

 

覇王色は纏ってはいない。だが額に青筋を浮かべて本気で怒っていた。

 

「おい、どうした。こいつはお前の腕を治そうとしてくれたんだぞ」

 

ベン・ベックマンは怯えた様子のルタを見てシャンクスの行動を咎める。

 

「……理由は分からない。ルタが俺の腕を治した途端、身体の穴という穴から血を噴いて倒れる未来が見えた」

 

「は?」

 

とベックマンが見れば、ルタは鼻血を垂れ流していた。

あれ?と不思議そうにしつつ、フラフラとしだしたルタをホンゴウは抱き抱える。

 

「成る程な。転移でもねぇのに全身に癌腫瘍が出来てるのは可笑しいと思っていたが、能力の代償か」

 

恐らくルタは能力を使うたびに何らかのデメリットを負っている。

それを本人は能力を使って治していたみたいだが、それではイタチごっこだ。最終的に治せない悪性腫瘍だけが残ってしまったのだろう。

ここに来る前の島で能力を使ってから、精神的に幼くなったように思えたが、脳にまで影響があるのかもしれない。

 

「止めて正解だ船長。恐らく普段は段階を踏んで能力のリスクを最小化してたんだろうが、頭がパーになった今、そのリミッターを外して能力を行使しちまった。このまま無理やり治そうとすれば取り返しのつかないことになってただろう」

「間に合うか?」

 

どこか不安そうなその問いに必ず間に合わせると豪語して、その場で医療キットを展開した。

出来れば船の医務室で看たかったが、事態は一刻を争う。

 

「あー?うぅ……」

 

朦朧とした意識の中、ルタはルフィを見つけた。

 

 

「パパ……」

 

手を伸ばす。だがその手が届く筈もなく。彼女は極度の疲労で意思を失った。

 

「────そう言うことか」

 

能力が解けた彼女の姿はウタそっくりで、どこかルフィを思わせた。

シャンクスは小さく呟いて、己の罪を悟った。

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