ラスボスはお母さん 作:ラスボスはゴッドウソップ
◯月✕日
今日から日記を書くことにした。
理由は……他でもない。
赤髪海賊団のような偽物じゃない本当の家族がもうすぐ生まれるから。
定期船に乗っていたお医者さんの話では小さい私の身体では出産に耐えられるか分からない、もしかしたら死んでしまうかもしれないと言っていたので、もし私が死んでしまった時の為にこの日記を書き残しておく。
◯月△日
……お腹痛い。
◯月♡日
昨日はお腹が痛くて、殆ど何も書けなかったけど、今日は何と産まれてくる子供の名前について考えてみた。
その名前と言うのは……ルタ。男の子でも女の子でもいいように私と多分この子の父親になってしまうんだろう男の子から一文字ずつ取って付けた。
最初に謝っておく。
もしルタが将来アイツと出会うような事があってもどうかあの子を恨まないでやってほしい。
あの子がルタの存在を知らないのは私が悪い。だからあの子の態度にむしゃくしゃしたら私のお墓に当たって下さい。
△月✕日
ドラム王国からお医者さんが来た。
Dr.くれはという元気そうなお婆さんだ。
いよいよ風船みたいに大きくなった私のお腹を見て、もう3ヶ月は早くお呼び!とゴードンを蹴飛ばしていたけど大丈夫だろうか?
△月◯日
Dr.くれは曰く、もうルタはいつ産まれてもおかしくないらしい。そしてあまり産まれる時期を遅らせると母体の中で子供が成長して、出産のリスクがより高くなると言っていた。
「母子共に健康でありたいなら……今日生ませるのがベストだろうね」
もうすぐ生まれるんだろうなと考えて、この筆を取ったのだが、まさか日記を書き始めて数日でこんなことになるなんて考えてもいなかった。
ゴードンもビックリして「本当に今日なのか!?」とくれはさんに何度も尋ねていたけど、アンタは邪魔だと叩き出されて―――なんといつの間にかルタは私の腕の中にいた。
くれはさんは「頑張ったね」て優しく頭を撫でてくれたけど……興奮や歓喜する思いよりも先に戸惑いが強く出てしまう。
怖かったけど、死ぬ覚悟だってしていたのだ。
なのに、こんなあっさり……でいいんだろうか?
△月✕日
くれはさんはそれから半年ほど私の育児のサポートをしてくれた後、残された国の財産の半分を報酬として支払おうとするゴードンに「私はただ子供を取り上げただけさ。医者が治療もしてないのに患者から金を巻き上げるわけにはいかないよ」と返した後、子供の為を思うなら三食キチンと栄養の取れた食事を取るように私に言い聞かせた。
それと辛くなったら周りの人間を頼るんだよ、と私の瞳を見ながら。
✕月◯日
子育てって本当に大変だ。
くれはさんが山のように残してくれた育児ノートを片手に悪戦苦闘する毎日。
ルタは普通の赤ん坊に比べたら夜泣きは少ないし、理由もないのに泣いたりはしないんだけど、兎に角落ち着ける暇がない。
少しでも目を放したら、死んでしまいそうで不安だ。
✕月△日
産まれてきた時は地肌を覗かせるほど薄かったルタの髪は気付けばふさふさになっていた。
私の赤とあの子の黒で半々に分かれた髪色は、ちょっとヤンチャなイメージを抱かせる。
顔立ちは私に似て可愛らしい、けど笑った顔はあの子にそっくりだ。
将来はきっと笑顔が素敵で宝石や花の似合う絶世の美少女になるに違いない。
私の子ってことはやっぱり歌が好きになるんだろうか?
もし叶うならこの子と大きな舞台でたくさん歌ってみたいな。
✕月✕日
今日はゴードンと喧嘩した。
喧嘩の理由は……ルタに私が母親であることを話すべきか否か。
当然私は本当の家族なのにウソをつくなんてあり得ないと強く反対したけど、ゴードンが言っていることも理解出来なくはない。
18歳だ。私が18になるまでルタは私の妹として育てる。
△月✕日
昨日はそうは言ったが、ルタはまだまだ赤ちゃんだ。
私がいなければ何も出来ない。
だから物心つくまでは私はこの子のお母さんであり続けようと思う。
△月◯日
シャンクス達の夢を見た。
今の私にとっては憎々しい人たちだけれど、大人になったルフィを前に、ルタを抱っこする大人の私を背にして、「おい、ルフィ……覚悟は出来ているんだろうな?」
「あぁ、責任は取る!」
「そうか。……ならば俺達の屍を乗り越えて行け!」
「はぁ!?」
とルフィと大喧嘩する様には大声を上げて笑ってしまった。
これが夢でなければもっとよかったんだけど……
△月✕日
ルタが熱を出した。
ゴードンは直ぐにくれはさんに連絡を入れようとしたけど、この嵐で電伝虫が上手く繋がらないらしい。
そして繋がっても、この海の荒れようじゃ直ぐに駆けつけることは難しいとゴードンは言っていた。
どうしよう
どうしよう
どうしよう
どうしよう
どうしよう
どうしよう!
ゴードンさんは普通に顔が怖いので物心付く前のルタを抱っこすると高確率で泣かれる模様