「まー、ちゃん...?」
「そうだよ、真だよっ!覚えててくれたんだね、りーちゃん!」
聞きたいことはきっと、お互いたくさんある。
だけど良かった。りーちゃんとまた会えた。約束、守れたんだ。
話を聞くためにも、一旦場所を...
「今さら...何をしに来たんですか...。」
え...?
「今さら来て何をしようと言うのですか!助けて欲しかった時に、あなたはいなかったのに!!」
りーちゃんは泣きそうな顔で、私にそう言い放った。
「いな、かった...。」
「何で今なんですか...!引き返せないのに、私はこんな...!」
「ま、待ってりーちゃん...!話を...!」
『マスター!』
意識外から振るわれた刀を無理矢理防ぐ。
「うぐっ...!」
「なかなかの馬鹿力だ。」
さっきの、赤い人...!
「何でりーちゃんを...!」
「何故だと?そいつが犯罪者だからだ。」
「犯罪者って...だったら捕まえるんじゃないんですか!?あなたさっき、りーちゃんを切ろうと...!」
「会話するつもりは、ない!」
がら空きの胴体に蹴りを放つ。
避けられず命中するが、後ろに下がるだけで地から足は離れない。
後ろにはりーちゃんがいるんだ!離されたら今度こそりーちゃんを守れない...!
『相手が剣で来てんだ。こっちも剣で相手するぞ。いい加減、覚悟決めやがれ!』
「剣...」
武器。人を傷つける為のモノ。
使わなきゃ、りーちゃんが...。
「隙だらけだ!」
すかさずクレアが真に肉薄する。
容赦はない、邪魔すると言うならば貴様も...!
「...させない。」
クレアを目掛け魔力砲が突き抜けてくる。
先ほどのリーゼのとは違う、暴力的なまでの魔力量。
避けきれず障壁を張るが、結局押し飛ばされてしまう。
「あ、あの子たちは...!」
工場の穴が空いた天井から、二人の少女が見える。
「...そいつは」
「私たちの獲物でーす♪」
「イズナちゃんと、ミラちゃん...!?」
真を襲撃した謎の魔導師、イズナとミラであった。
「ミラ!」
「らじゃー。」
ミラがクレアに魔力砲を連射する。
先ほどと違い、所謂ガトリングのような弾丸だ。
「ちっ...邪魔が入り過ぎだ!」
回避しつつ、工場の外へ移動する。
ミラはそのままクレアに射撃を続ける。
「これで邪魔は入らないのです。」
イズナが真の近くに降り立つ。
「あ、ありがとう。助かっ」
「!」
イズナの回し蹴りが真に命中する。
「助けたわけないですよ。お前は私たちが狩るのです。さっきは邪魔されましたが、あの閃光は今いない。仕事はその日に終わらせる。私はできる女です♪」
そう告げてチェーンソーを構える。
「っ...何でこんなに。」
当たり前のように人を傷つけるのだろう。
おかしい、おかしいよ。
その力は誰かを守る為の...。
『マスター。お前の幼なじみ、いなくなってるぞ?』
「!?」
りーちゃん!?あんなケガしてたのに、一人で逃げられるわけが!
「無視するなぁ!」
イズナが真に迫り、片手でチェーンソーを振り回す。
「っ!」
ガントレットで何とか捌くが、高速回転する刃に真の装甲が削れていく。
「それだけじゃないですよ!!」
空いた片手からゼロ距離で真の腹に魔力弾を喰らわせる。
「がふっ...!?」
強い衝撃と共に、再び壁面に叩きつけられる真。
追い討ちとばかりに、頭上から魔力の雨が降り注ぐ。
「うわあぁぁっっ!?」
直撃。
真は壁ごと、工場外に投げ出されてしまった。
「...決まった。」
「ナイスですよ、ミラ!」
クレアは退却したのか、ミラが合流する。
2対1。
たった1の差だが、絶望的な戦力差だ。
「う、ぁ...っ」
何とか立ち上がろとする真だが、ダメージに足の力が入らない。
「さあ、今度こそぶちまけタイムですよ。」
イズナが構え、駆け出す。
「何、で...」
『マスター武器だ!このままじゃお前...!』
私は、りーちゃんに会いたくて、話をしたかっただけなのに。
今の私なら守れるって、そう思ったのに。
何で信じてくれないの、何で頼ってくれないの。
何でみんな、ワタシ、私の大切ナモのを傷つけるの?
傷ツケテ、じゃまシテ...
ナにヲ、わラッテイル...!!
グジュジュッ!!
「っ、お前何を...!」
迫るチェーンソーを、真は掌で受け止めた。
肉が裂け、血が飛び散る。
加害者であるイズナですら困惑する残酷。
異変はすぐに起こった。
真を黒い影のような魔力が包み込む。
まるでコーティングするかのように魔力が満ちる。
そして、最後に真の瞳が真っ赤に爛々と輝く。
その瞬間
「あaaァaAaaぁaaァaアーーーッッ!!!」
真だったモノが咆哮する。
チェーンソーを乱暴に掴み、イズナの腹に膝蹴りを叩き込む。
メキッ!
「かはっ...!」
何かが折れた音と共にイズナが吹っ飛ぶ。
それを追うように黒い影は高速で移動し、驚くべきことに腕を巨大な剣に変化させる。
「!させない...!」
影が何をしようとしたのか察したミラは、阻止しようと魔力砲撃を行う。
「ガaaァaaぁaッッ!!!」
咆哮と共に腕だった剣で魔力砲を切断。
ミラを目標に定め突撃する。
「はや、い...!?」
あまりのスピードに反応できず、ミラは影に殴り飛ばされ、地面に落下する。
バリアジャケットがあってもなお、凄まじい痛みがミラを襲う。
「ぅぐっ...ハァ...ハァ...」
影はミラを掴み上げ、剣と化した腕を構える。
「イズ、ナ...ごめ」
少女の体に刃が突き立てられる瞬間
『いい加減にしろバカ!!』
真の体からクラレントが分離し、エンゲージが解除される。
「!...っ」
糸の切れた人形のように、真が倒れる。
チェーンソーによる傷は綺麗に治っていて、腕は剣から元の普通の腕に戻っていた。
「み、ミラ...!」
腹部を抑えながら、イズナがミラに駆け寄る。
「イズナ...」
「喋っちゃダメですよ!くそっ...何なんですかこのデタラメは!」
ミラを抱え上げて飛行し、その場を離れる。
二人が離れていくのも気にせず、クラレントは倒れた真を見ていた。
「黒いの、似合わねぇんだよ...!」
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「ぐっ...ハァ...ハァ...」
足を引き摺りながら、リーゼは歩く。
「捕まる、わけには...私は、まだ...!」
頭に先ほどの真の表情が思い浮かぶ。
「っ...!」
傷つけてしまった。
情けない。あんな顔をさせたのは、私の弱さだ!
「守るん、です...わた、し...が...。」
ついに力尽きてしまう。意識が遠くなっていく中、リーゼが最後に見たのは。
「あら。真ちゃんの落とし物、みーけっ。」
車から出てくる、白衣を着た一人の女性だった。
第9話『逆鱗』
こんな稚拙な文章なのに、読んでくれている人がいてくれて本当に感謝してます!
期待を裏切らないように頑張ります!
このキャラの活躍が見たいとかあれば、感想頂けると嬉しいです(^o^)