解釈違いコワイ、コワイ...
閑話『星見の姫』
私には二人のヒーローがいる。
一人目は、弱くて泣き虫な私を照らし出してくれた、大切なお星さま。
その子は教室の隅で縮こまっている私に、手を伸ばして友達になりたいと、そう言ってくれた。
あの頃は本当に幸せだった。
お星さま、まーちゃんは私を色々なところに連れ出してくれた。
ちょっとした森や川、駄菓子屋に公園、冒険してゲームセンターとか。
体力も度胸もない私は、いつも追いかけるのに苦労していたけれど。
楽しそうに笑うまーちゃんを見ているだけで私も楽しくて仕方なかった。
悲しいこともあった。
私は端的に言えば、いじめられっ子だった。
今思えば浮いた服装をしていたし、家が裕福なこともあって何か気に入らなかったのかもしれない。
仲間外れにされたり、お気に入りのぬいぐるみを取られたり。
その度にまーちゃんは私を庇って、助けてくれた。
まーちゃんはいじめられっ子に何をされても、手を出したりしなかった。
「かえしてあげて。」
「そんなことしちゃダメだよ。」
自分がどれだけ傷つけられても、最後まで反撃しようとしなかった。
傷だらけになって、いじめっ子が諦めるほど頑固に譲らず。
最後に私を見て笑い、こういうのだ。
「だいじょうぶだよ、りーちゃん!」
星のように輝く笑顔。
私はそれに甘えていた。
まーちゃんがいれば大丈夫だと思っていた。
私の為に傷つくのが堪らなく嫌だったのに。
私はどうしようもなく、弱かった。
そして、まーちゃんは私の前からいなくなった。
ご両親の都合で引っ越すことになったらしい。
私は子どもながらに世界から見捨てられた気分になった。
行かないで欲しい、一緒にいると約束したのに。
そう泣き喚いた。
でもまーちゃんは行ってしまった。
また会えると約束して。
私は悲しくて、辛くて。自分の殻に閉じ籠ってしまった。
そんな私を見かねた両親が、私を連れ旅行に出掛けることにした。
それが、私とまーちゃんの繋がりを完全に断つことになると知らずに。
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轟音が鳴り響く。
かつて華美な意匠で人々の心を高揚させたその船内は、最早見る影もなく
瓦礫と海水で埋め尽くされている。
豪華客船の旅は1つの巨大な氷塊により崩壊寸前だ。
凄惨な事故だった。ぶつかった部分から浸水が始まり、一瞬にして地獄が広がった。
既に犠牲となった乗客も多い。
ただひとつ、不幸中の幸いだったのは
管理局の中でも特に秀でた魔導師が偶々同乗していたことだろうか。
彼女たちの活躍により、被害が最小限に抑えられる。
しかし、それでも全てを救うことはできない。
失ったものは戻らないのだ。
「パパ!パパはどこですか!?」
「リーゼ...!パパは...今は早く逃げないと...!お願い、言うことを聞いて!!」
父親を呼び泣き叫ぶ幼い少女と、気丈に娘を救わんとする母親。
無情にもその親子に、崩壊した瓦礫の雨が降り注ぐ。
その瞬間。
「レイジングハート!」
『了解です、マスター。』
親子の頭上を魔法が包んだ。
瓦礫を物ともせず、障壁は親子を守りきる。
「大丈夫ですか!?ケガはありませんか!?」
降り立った少女は天使のような白いバリアジャケットを着ており、魔導師の証である杖を携えていた。容姿には未だ幼さを残すものの、その瞳には強い意志が宿っていた。
「ありがとうございます...大丈夫、です...」
母親の足から力が抜ける。
「ママ!?」
少女が駆け寄る。
「大丈夫、少し気が抜けてしまって...」
魔導師の少女は少し安心した様子で話を続ける。
「早くここから脱出しないと。掴まってください。」
親子に手を差し伸べる。
「パパ!パパがいないんです、たすけてっ!」
リーゼの言葉に、少女は表情を固くする。
「...お父さん、は?」
分かっていても聞かずにはいられない。
母親は辛さを押し隠して答える。
「私たちを、守って...」
「っ!...」
少女は拳を固く握る。
また、助けられなかったんだ。
悔しさを噛み殺し、少女は母親に告げる。
「お母さんは、その子を絶対に離さないでください!」
「...はい...!」
母親が娘を抱きしめる。
「ママ!パパが...!!」
「っ...安全な場所まで、一直線だから!」
この二人は必ず守る。生きて帰す。
少女の瞳に決意が漲る。
海水が雪崩れ込み、親子も少女も流されてしまいそうなその刹那。
「ディバイン、バスターーーっ!!」
桜色の暖かな光が、瓦礫も海水も、迫る脅威を全て貫いた。
少女は親子を抱き、一直線に飛び上がる。
リーゼは忘れない。
自らを救った星の光を。
決して忘れない。
自らを救った少女の
悔しさに満ちたあの顔を。
高町なのは。
リーゼにとっての、二人目のヒーロー。
それがリーゼとなのはの出会いであった。
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◼️□管理局のとある一室◼️□
『下手人をみすみす逃すとは、笑止千万!』
「申し訳、ございません。」
クレアは跪いて詫びを口にする。
モニター越ですら、放たれる威圧感。
暗い室内に緊張が走る。
『分かっているはずだ。貴様は失敗なぞできぬ立場だと。貴様の願いなど儂からすれば取るに足らない道楽に過ぎぬ。意味は分かるな?』
「は、はい...!どうかお許しください!もう一度、私にチャンスをお与えください...」
クレアの顔は憔悴し切っている。
それほどまでに会話相手に見捨てられるのが問題なのだろうか。
『ふん。貴様を使ってやっているのも道楽だと言うのに。次は必ず賊を始末しろ。さもなければ、あの娘は助からぬ。貴様の命もだ。』
「っ...はっ!」
再度頭を下げる。
モニター通信は切れてしまったようだ。
「っ...」
私は。
私はどうしたらいいんだ。
どうすれば...
「エレナっ...。」
クレアは吐くように声を漏らす。
涙が滲む。
大切なモノを犠牲にして、大切なモノを守る。
どこまでも残酷な選択に、クレアは押し潰されそうになっていた。
星と星。いつも輝く星を見上げていたお姫様は、何になりたいと思ったのでしょうね。
(決まったぁ!)ドヤァ
っていうか最後の誰なんですかね?何かさきもってそう←