魔法少女リリカルなのはS.G.   作:月想

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今回の話は完全に「Future Strike」を聴きながら書きました。寒く感じたらすみません...。


第11話『with you』

「私と、戦う...?」

「そうだよ。私と戦って。」

 

りーちゃんは驚いたように少し目を開いた後

 

「...くだらない。時間の無駄です。」

 

あっさり断ってしまった。

...あれ?

 

「うえぇ!?ちょ、ちょっと待って!普通相手してくれる流れじゃなかった!?」

「知りません。私は急ぎますので。」

 

完全に計算外だ。

漫画とかだとこう「面白い。いいだろう!」的な!

 

『はぁ...』

 

そんな残念なものを見るような目で見ないでレンちゃん!

見えてないけど!

 

『しょうがない子ねぇ。』

 

この声はリーナさん?

 

『テステス。こほん。真ちゃんに勝ったら、ここから出してあげる。それなら文句ないでしょう?』

 

な、なるほど。流石リーナさん、よっ!天才!

 

『おめでたいばか。』

 

またばかって言った...

 

「博士を捕らえ脅迫すればいいだけです。」

『あら、できるかしら?流石にそれはあなたのお師匠様に見せられない姿なんじゃないの?』

「っ...面倒な...」

 

りーちゃんは少し悲しそうな顔をして。

 

「...マッチポンプのようで気に入りませんが。仕方ありませんね。」

 

戦いを受けてくれた。

 

「やた!ありがとう、りーちゃん!」

 

私は笑顔でお礼を言うけど、りーちゃんは俯いたまま、笑顔なんて見せてくれなかった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

「ってそうか。外に出られないからこのまま廊下でやるしか...」

 

建物ぐちゃぐちゃになっちゃうよ。

やっぱりりーちゃんを説得して、外で戦った方が。

 

『あら、大丈夫よ。こういう時の為に、防御設備はしっかり準備してるんだから♪』

 

周囲を魔力の壁?のようなものが包む。

 

『廊下とはいえ広さはそこそこ。だが左右は壁で逃げるのも難しい。

殴るしかないあたしらには得な戦場かもな。』

 

確かに。近づけさえすれば、戦いにはなるかも。

 

「...考えていることは分かります。工場での動きから、貴女の戦闘スタイルは武器を持たない徒手空拳。近づきやすいこの狭さは有利だと、そう考えたのでしょう。ですが...」

 

りーちゃんが紫色のバリアジャケットを身に纏う。

その両手には二丁の拳銃握られていた。

 

「貴女は私に勝てません。管理局の魔導師を、嘗めないで下さい。」

 

冷たい目と、潰されそうなプレッシャー。

本当に、これがあのりーちゃんなのか。

...だけど。

 

「負けない。この想いを伝えるためにも。」

 

精一杯のファイティングポーズ。

中身もない、形だけだけど。

信じて握りしめるんだ。

 

「いくよ!!」

「来なさい...!」

 

真が一直線に駆け出す。

それをリーゼは冷静に射撃する。

 

撃たれるのも構わず真は突撃。

搦め手など不要、そもそも出来ない。

下手な策を労したところで、プロには通用しない。

ならば、自分の頑丈さに物を言わせて突っ込むしかない。

真の策と言えない策は正解だった。

魔力弾に大した威力はなく、耐えられないことはない。

 

相手がリーゼでなければ。

 

「っ!?」

 

真の足が止まり、躓いたように倒れる。

 

「いっ...な!?」

 

足には魔力で出来た枷が嵌められていた。

先程の射撃はあくまでも牽制。

紛れ込ませたバインドが本命だ。

 

リーゼは真を侮ってなどいなかった。

ただ確実に、最短で倒す。

たとえ大切な存在でも、目的の為ならば排除する。

その覚悟がリーゼにはあった。

 

「アクセルシューター。」

先程より強力な弾丸を複数展開し、放つ。

アクセルの名にふさわしい速度で弾丸が真に殺到する。

 

『やばい...!?』

 

爆発。

爆風は全て魔力の網に絡み取られる。

そうでなければ建物ごと吹っ飛びそうな程の火力だった。

 

「...」

 

煙が晴れる。

直撃。普通なら立っていられないはずだ。

...普通なら。

 

「セット。」

 

再度シューターを展開し。

 

「ファイア!」

 

煙の先に放つ。

まだだ。きっと彼女なら立ち上がる。

 

「まだだぁ!」

 

真が飛び出す。装甲に傷はあるが、まだ動ける。戦える。

真はシューターを無理矢理殴り飛ばしながら前へ進む。

 

「っ!」

 

やはり。立ち上がってきた。

知っていた。

リーゼは見てきたから。

真が何度も立ち上がり、諦めなかったことを。

弾丸では威力不足だ。

即座に拳銃を合体させ、ライフル形態にする。

 

「バスター!」

 

チャージは短いが、強力な砲撃を放つ。

 

「レンちゃんッ!」

『あいよっ!』

 

真は雷を拳に宿し、砲撃に対し真正面に突き出す。

魔力の波を突き破り、真は突き進む。

 

「なんて無茶苦茶な...!?」

 

出鱈目過ぎる。そう思った時にはもう、すぐ側に拳が迫っていた。

 

「りーちゃん...!!」

 

振り抜かれた拳はリーゼの腹を捉え

後方へ派手に吹っ飛ばす。

 

真の拳に震えはない。

本当は嫌だ、痛くて堪らない。

何故大切なものを傷つけなくてはいけないのか。

しかし、これは真が決めたことだ。

言葉だけでも、力だけでも、出来ないことがある。

これはそれを貫き通す為の、覚悟を示す戦いなのだから。

 

「っ...ぐ...」

 

リーゼが立ち上がる。

ただの一発だと言うのに、何てダメージなのか。

 

「負け、ません...!!」

 

リーゼは歯を食い縛り、ふらつく足で駆け出す。

今度はリーゼの突撃。

ライフルから魔力弾を射出しながら真と距離を詰めていく。

 

「今度はこっちに!?」

『怯むな迎え撃て!』

 

魔力弾を防ぎながら構えようとする真だったが、リーゼは勢いを止めず至近距離まで近づいていく。

 

「ゼロ距離...!ディバイン」

 

真と重なる瞬間、リーゼが飛び上がる。

完全に失念していた。

狭かろうと、リーゼは空戦魔導師である。

天井があれば飛ぶ利点はないと、その虚を突いた。

真の後ろに回り込み、充填した魔力を炸裂させる。

 

「バスターー!!」

 

魔力の網が弾け飛ぶ。

リーゼの切り札が無防備な真に直撃する。

防壁を打ち砕きながら、真の体が跳ね飛ぶ。

 

「っ...ハァ、ハァ...」

 

魔力を短時間で使い過ぎた。

元々疲れていた体に鞭を打ったのだ、消耗は激しい。

だが、今のは痛烈な一撃だった。

まともに喰らって気絶しない方がおかしい。

 

「え...?」

 

だがリーゼの目に映ったのは、倒れ伏すはずの真が、再び立ち上がろうとする姿だった。

 

何故。

 

「何で、貴女はいつも...そうやって...」

 

立ち上がろうとするのですか。

 

不屈の心。

尊敬する憧れの持つデバイスの名がそうだったが。

なぜ屈しないのか。

私のヒーローたちはいつも、諦めない。

自分ならきっとすぐ音を上げてしまう。

そんな状況でも、彼女たちは必ず立ち上がる。

私もそうなりたかった。

誰かの為に立ち上がる。そういう人になりたかった。

なのに。

私は何で、何より大切なものを傷つけているのだろう。

こんなことを。

 

「こんなことをしたくて、私は...!」

 

手が震える。

迷いなんてなかった。そのはずだった。

だけど貴女と再会できた時。

何もかも投げ出して、貴女と一緒にいたいと思ってしまった。

私は弱いままだ。

だから、強くあろうと貴女を遠ざけた。

なのに。

 

「何で、放っておいてくれないのですか...!!」

 

真はふらつきながら立ち上がる。

装甲は割れ、頭からは流血が見られる。

 

「あはは...強くなったなぁ、りーちゃん。」

 

笑顔。あの日見た笑顔のまま、真は笑う。

 

「ディバインバスターなんて、高町なのはさんの技だよね。りーちゃんはすごいや、私なんてフェイトさんの技、一つも使えないのに。

いっぱい、頑張ったんだね。」

 

やめて。そんなに優しく笑わないで。声をかけないで。

あの日の絆が今もあると、私に教えようとしないで。

 

「放っておくなんてできないよ。

私は...ずっと会いたかったんだよ。りーちゃんが一人ぼっちにならないように...ううん、寂しいのはきっと私か...。

私を、一人ぼっちにしないでよ。

私はここにいるよ。りーちゃんと、いつだって一緒にいたい。」

 

私はもう、昔みたいに笑えない。貴女と語った未来はもう。

 

「大丈夫。私がりーちゃんを守るよ。心から笑えるように、私が側にいるから。」

 

止まっていた時間を溶かすように、真は笑いかける。

 

「私は...!貫かなくてはならないのです...!貴女を、まーちゃんを巻き込みたくない...!」

 

涙がこぼれ、ライフルに今までにない程魔力が注ぎ込まれる。

 

「まーちゃん...!退いてください!私は、私は大切なものを守らないと!その為に強さを、手に入れたんです...!!」

 

「どかないよ。」

 

魔力砲が放たれる。ガス欠も何もない、自棄っぱちの一撃。

凄まじい威力が真に迫る。

 

どかない。逃げない。もう、りーちゃんと離れたりしない。

守りたい。私には今、力がある。レンちゃんがいる。

フェイトさんが教えてくれた強さがある。

 

今度こそ誓う。

 

私は、側にいるんだ。絶対に、離れてなんかやらない!

 

全て込め、撃ち抜く。その胸に、この想いを届かせる為に。

あの日の思い出を、絆を信じて。

 

『ぶちかませ!バカマスターー!!!』

 

「私は...!絆で!!ぶん守るんだあぁぁぁーーーーッッッ!!!!!」

 

全身が紅く発光し、雷が巻き起こる。

雷光一閃。

紅い稲妻と化した真は魔力砲を貫き、そして。

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

「あーあ。室内で派手にやっちゃって。まったくやんちゃなんだから。」

 

危うく廃墟だわ、なんて思いつつぼこぼこの壁を見てため息を吐く。

戦闘自体は短時間なのに何て被害なのだろう。

 

まだまだ改良が必要だろうか、とリーナは頭を抱える。

 

「でもまあ...」

床に寝ている二人を見て呟く。

 

「いい顔してるから、許しちゃう♪」

 

抱き合うように倒れ込んだ二人。

 

その顔はまるで子どものように無邪気で、親が巣に帰った時の雛鳥のような、安心と幸せに満ちた寝顔だった。

 

流れ星は堕ちず、ただ帰るべき場所へ。

宙がある限り、星は星と輝き合う。

 

第11話『with you』

 




二人の関係性はなのはフェイトより、フーカリンネに近いと思ってます。
意識して作ったというより、幼なじみと言うところで勝手に似てしまいました。
それ故にOPが合うんですよねぇ(自己満)
レンちゃんどうしたの?
寝てます、疲れたみたいです←
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