魔法少女リリカルなのはS.G.   作:月想

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当初の予定よりがっつりvivid要素が絡んじゃいました。
真の戦闘スタイル的にどうしても避けられなくて...。
でもすみません、vivid好きなんです、私。←


第14話『鮮烈な一撃』

◼️□放課後◼️□

 

『学校が終わったらここに訪ねてきてください。みんなでお待ちしとります。』

 

...みんな?

とか何とか不思議に思いつつ、着いてしまった。

ナカジマジム。

 

はて?どこかで聞いたことがあるような?

立派な建物ですな。

師匠もプロって言ってたし、かなりちゃんとしたジムなのだろう。

...会費とか大丈夫だろうか?

 

しかし弓美ちゃんたちには心配かけちゃったな。

あの後連絡するのも忘れてて、登校した瞬間泣きながら怒りながらの質問責めだった。

フェイトさんに助けて貰えたから大丈夫、とは伝えて、一応納得したみたいだったけど。

友達を巻き込んじゃうなら、学校に通えるかすら危ういな...。

まあ、今日のところはイズナちゃんたちは襲って来ないみたいだし。

今はりーちゃんとのことに集中しないと。

三日前はテストの心配ばかりしていたのに。

今や心配なのは自分と友達の命なんて、急転直下なんてもんじゃないよ。

 

「はぁ...。切り換えなきゃ。今は強くならなきゃ何にもならないんだし。」

 

ジムの門(自動扉)をくぐる。

やっぱりなかなかの広さだと見渡すと、受付に今朝会ったばかりの師匠がいるのが見えた。

 

「押忍。いらっしゃい、真さん。」

「お、押忍!お邪魔します、師匠!」

「その師匠呼びはやめて欲しい...。ハルさんに何言われるか分からんし...。」

 

師匠は恥ずかしいような、気まずいような顔になってしまう。

年上の弟子ってやっぱり変かな?

 

「とにかく。みんな待っとります。運動着はありますか?」

「は、はい。学校のジャージが。...それで、みんなというのは?」

 

フーカ師匠は少し笑って。

 

「小さくて大きい、尊敬する先輩方です。」

 

誇らしげにそう答えた。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

「ヴィヴィオ、今日は誰のお家だっけ?」

「今日からミウラさんのお家!たくさんお料理作って待っててくれてるんだって!」

「いいな~。私もお泊まりしたーい!」

「えへへ、リオさんならいつでも歓迎ですよ。」

「ではお腹を空かせる為にも、しっかり練習しなければなりませんね。」

「はい!フーカさんのお知り合いもいらっしゃいますし、張り切ってがんばっちゃいます!」

 

...何だかすごく元気な声が聞こえる。

 

「みなさん、お連れしました。」

「お、来たな。」

 

赤髪の唯一大人の女性が歩み出る。

 

「ナカジマジム代表で、こいつらのコーチをしてる。ノーヴェ・ナカジマだ。よろしくな。」

 

気さくに挨拶してくれたノーヴェさんが、このジムで一番偉い人でフーカ師匠のコーチらしい。

 

「は、初めまして!星宮真ですっ!歳は16で好きなものはごはんで苦手なものは勉強、趣味は映画鑑賞ですっ!」

「お、おう。...話はフーカから一応聞いてるよ。」

 

言いながら、ノーヴェさんが私を観察するようにじっと見つめる。

 

「...うん。悪い奴じゃなさそうだ。安心したよ、フーカが人を連れてくるなんて初めてだからさ。ちょっと警戒してた。」

「急に押し掛けてすみません...。」

 

やっぱり会ったその日に弟子入りなんて怪しいよね。

迷惑だったかな。

 

「いや、いいよ。あいつが連れてきたってことは、何か事情があるんだろうし。フーカが面倒見るって決めたんなら、何も問題ないさ。」

「ありがとうございます、会長。」

 

師匠が頭を下げる。

...よくは知らないけど、フーカ師匠もノーヴェさんも、すごく信頼し合ってるのが分かる。

 

「とりあえずはジムに入るというより、フーカの客人扱いだ。指導は基本フーカに任せるとして」

「ノーヴェ話長ーい!そういうのは、ちゃんとみんな挨拶してからでいいでしょ?」

 

金髪の女の子がノーヴェさんの話を遮る。

あ、瞳がきれい。オッドアイって言うんだよね。

...ん?この子なんだか、見覚えがあるような?

 

「はぁ。そういうところは子どものまんまだよな、お前たち。」

「そうだよ♪だって」

「「「子どもだもーん!」」」

「はぁ。はいはい。じゃあさっさと済ませろ。」

 

さっきの金髪の子が前に出る。

 

「サンクト・ヒルデ魔法学院中等科1年、高町ヴィヴィオです!よろしくお願いします!」

 

元気な挨拶の後、ペコリと頭を下げる。可愛い。

 

「これはご丁寧にどうもどうも...って、高町?」

 

高町ヴィヴィオ。...あれ。

 

「高町なのはさんの...!?」

「え?ママとお知り合いなんですか?」

 

雑誌で見たことある!なのはさんの娘さんだ確か!

仲良く手を繋いでる写真が昔載ってた気がする!

 

「え、えと...知り合いじゃなくて、雑誌で見ただけというか...。」

「ああ、昔そんな広報誌も確か出てたな。」

「なのはさんも大概有名人だよねー。」

「えへへ。自慢の母です!」

 

世界は狭いというか。

ここ最近有名人にばかり会うなぁ。

...というか、完全にやってしまった。

ヴィヴィオちゃんに知られてしまった以上、なのはさんからフェイトさんに私がここに通っていることがバレてしまうかも。

まずい。フェイトさんに問い詰められたら全部話さなきゃいけなくなるし、そしたらフェイトさんを巻き込んじゃうし。

ど、どうしよう...。

 

「その自慢のママに会えなくて寂しくなってきたんじゃないか?」

「全然平気だよ!なのはママの方こそ、私と会いたくて泣いちゃってるかも...。」

「え、会えない...?」

 

ヴィヴィオちゃんが私に振り返って説明してくれる。

 

「なのはママ、今お仕事でずっとお泊まりなんです。最近また忙しくなったみたいで。

こういうことはかなり珍しいんですけど...。でもせっかくですから、私はジムのみんなのお家を順番にお泊まりしてる最中なんです!」

「な、なるほど。」

 

エース・オブ・エースだし、やっぱり忙しいんだろうな。

ヴィヴィオちゃんには悪いけど、二週間バレない可能性もありそう。

ちょっと安心した。

 

「ヴィヴィオも有名人なんですよ!」

「U15のランカーですもん!」

「ランカー...?」

「簡単に言えば、登録選手の中でもかなり強いってことだな。」

 

はえー。こんな可愛いのに?

 

「ま、ヴィヴィオたちの実力は後で見せるとして。」

「同じく中等科1年、リオ・ウェズリーです!」

「同じく、コロナ・ティミルです。」

 

先ほどヴィヴィオちゃんと息の合ったやり取りをしていた二人だ。

リオちゃんは活発そうな瞳と八重歯が、コロナちゃんはふんわりとした雰囲気と利発そうな瞳が印象的だ。可愛い。

 

続いて後ろに控えていた、桃色髪の少しボーイッシュな女の子が。

 

「ミウラ・リナルディです!この中では一応最年長になりますね。」

 

元気なようで丁寧な物腰だ。

私よりしっかりしてそう。後可愛い。

 

「そしてこちらが。」

 

フーカ師匠が最後の一人を指す。

ヴィヴィオちゃんと同じオッドアイ。

碧銀の髪がきれいで、何だか浮き世離れした雰囲気。

一歩前に出て、軽く会釈をしてくれる。

 

「サンクト・ヒルデ魔法学院中等科3年。覇王流、アインハルト・ストラトスです。よろしくお願いします。一応フーカの師匠、ということになりますね。」

「フーカ師匠の師匠!?」

「フーカ師匠?」

「あぁ!?違っ、ハルさん違うんです!ワシは別に!」

 

フーカ師匠が慌てふためいてる。

アインハルトさんはそんな師匠を見てクスッと笑った後、悪戯っぽい顔をした。

 

「そうですか。私の知らない所で、フーカは勝手に弟子を取っていたのですね。」

「ち、違うんです!弟子にした覚えはないというかワシに師匠なんて早いし不釣り合いと言いますか!」

「...ふふっ。冗談です。フーカは強くなりました。弟子を取るのに私の許可は必要ありませんよ。」

「ハルさん...ありがとうござ、って!だから弟子ではないと言うとるではないですか!?」

 

こちらもこちらで仲良し師弟な模様。

クールな感じかと思ったけど、意外と気さくな感じなんだな、アインハルトさん。

 

「よし。これで全員自己紹介は済んだな。」

 

ノーヴェさんは手をパンと叩くと、フーカ師匠に目を見遣る。

 

「あ...こほん。...真さん。今朝ワシに言っとった覚悟に、嘘はないですね?」

「は、はい。よろしくお願いします!」

 

気持ちを込めて頭を下げる。

フーカ師匠は頷き、ヴィヴィオちゃんたちに話を振る。

 

「これから真さんの覚悟が本物か、試させてもらいます。コロさんにリオさん、後はヴィヴィさん。お願いしてもよろしいですか?」

 

仲良し三人組は顔を見合せ、タイミングを合わせて頷く。

 

「「「押忍!フーカ師匠!」」」

「先輩方まで...や、やめてくれんじゃろうか...。」

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

『騒がしいと思って起きてみりゃあ、こりゃ一体どういう状況だ。』

 

あ、レンちゃんが起きた。

どういう状況かと言うと。

今私はリングの上。

目の前にはコロナちゃんがファイティングポーズをとって、軽くシャドーでアップをしている最中だ。

私も腰に痛みを軽減するデバイス?みたいなのを付けて向かい合っている。

つまり、端から見ると完全に試合な状況となっている。

...まあ、試合なんですけどね!

 

フーカ師匠から告げられた条件。

1つ目。三人と連続で対戦。

2つ目。一人につき3ラウンド。

3つ目。私はダウンしてもいいが、何があっても三人と戦い切ること。

そして4つ目。連戦の中で必ず1発、攻撃を当てること。

 

この条件をクリアしなければ教えられない。そう言われた。

年下の女の子と殴り合いなんて、正直気が引けるけど。

強くなる為に、ここで不合格になんてなれない。

三人には悪いけど、本気でやるよ!

 

『随分妙な状況だな。ま、ガキの相手なんかさっさと終わらせ』

 

カーン!

 

「え...。」

 

ゴングが鳴ると同時にコロナちゃんの姿が消え、体から力が抜け倒れる。

遅れてくる、顎辺りの鋭い痛み。

 

「っ...。」

 

何とか体を起こす。

一体何

 

ガスッ!

 

「!?」

 

また衝撃。

今度はちゃんと見えた。

コロナちゃんのパンチが私の顔面を直撃していた。

 

『な!?何なんだこのガキ!?』

 

再度体が倒れ込む。

これ、まずい。もしかしてこの子たち...!

 

「真さん。先に言っておきますけど。私たちは、強いですよ。」

「...!」

 

この迫力。りーちゃんとか、イズナちゃんとか、実戦を経験してる人にも劣らない...!

強い!油断なんてしたら一瞬で...!

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

「ま、こんなもんだろうな。」

「...。」

 

ノーヴェとフーカは冷静に真の実力を見定める。

コロナには手も足も出なかった。

一方的に打撃を入れられ、立ち上がるのがやっと。

攻撃など一度もする余裕がなく、そのまま3ラウンドが終了。

続け様にリオとのスパーリングが開始。

当然疲労とダメージがある中で、流れが変わることもなく。

 

「せいっ!」

「ぐぅっ!?」

 

リオの掌底が真の腹を撃ち抜く。

リング際まで真は吹っ飛び。

そして3ラウンド目終了のゴングが鳴る。

 

「ここまでやられっぱなしか。まあ、素人じゃ仕方ないな。」

「はい。こうなるんは予測済です。」

 

休む間もなく、立ち上がろうとする真に最後の刺客が迫る。

 

「押忍。真さん、よろしくお願いします。」

 

口調こそ礼儀正しいものの、その瞳には挑戦的な意志が炎のように灯る。

 

カーン!

 

ラウンド開始の合図。

リオ、コロナと違いヴィヴィオは静観。

もう後のない真は自棄糞気味に拳を繰り出す。

 

「かはっ...!」

 

上がった悲鳴は真のもの。

真の乱雑な拳より先に、ヴィヴィオの速く的確な拳が顔面を穿つ。

 

『神眼のカウンターヒッター』

 

高町ヴィヴィオの代名詞である。

この一発入れなければいけないというルールにおいて、ともすればアインハルト以上の難易度を誇るのがヴィヴィオであった。

真がいくら拳を放とうと、素人の拳では神眼を持つヴィヴィオを捉えることはできない。

真が拳を振り上げれば、それより速くヴィヴィオの拳が真に届き、脳を揺らす。

何度も何度もそれを繰り返す。

ラウンド1が終わり、ラウンド2も同じことが続く。

 

「これは...。」

 

あまりに一方的。ミウラが思わず声を漏らす。

 

「真さん...。」

「ヴィヴィオに当てるなんて...。」

 

対戦した二人ですら、真のことを心配していた。それくらい無理難題だと思えた。

誰もが真の勝利を諦めたその時。

 

カウンターを食らいながら、真が一歩踏み込んだ。

 

「...!」

 

カーン!

 

ゴングの音が響く。

ラウンド2、終了。

一瞬のことであったが、ヴィヴィオは勿論他の面々も真の変化に気づいていた。

 

「今のは...。」

 

ノーヴェが呟く。

 

「はい、確かに見えました。真さんの戦い方が。」

 

アインハルトが少し微笑む。

 

そして、最終ラウンドのゴングが鳴る。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

『ダメージ軽減、本当に効いてるんだろうな!?ボロボロだぞ、お前...!』

 

頭にレンちゃんの声が響く。

痛みだけはダイレクトに感じるせいで、何だか感覚がなくなってきた。

最終ラウンド。最後のチャンスなのに、意識を残すのがやっと。

上手く当てようとか、どうやって避けるとか。何にも考えられない。

強いなぁ、ヴィヴィオちゃん。

的確に痛いところを突いてくる。

攻撃しても、避けられて当てられる。

さっきからその繰り返しだ。

どうしたら、どうしたらいいんだ。

分からない。痛い。すごく、痛いよ。

 

でも、諦められない。諦めたくない。

強くならなきゃもっと痛くなる。

何も守れなかったら、心はもっと痛くなる。

師匠は何と言っていた。

覚悟はあるか。そう言っていた。

ならば見せなきゃいけない。私の覚悟が、どんなものでも砕けないことを。

ぶん守る覚悟が、拳にあるんだ。

だから...!

 

「今じゃ!進めっ!!」

「!?」

 

ヴィヴィオの拳がクリーンヒットする。

倒れるはずだった。

しかし真は拳を受けたまま前に踏み込む。

予想外の動きに一瞬ヴィヴィオの動きが淀む。

 

「あぁぁっ!!!」

 

真の我武者羅な一撃がヴィヴィオに迫る。

思わず防御体勢を取るが、防御の上から殴られロープ際まで、今度はヴィヴィオが吹っ飛んでしまう。

 

カーン!

 

最終ラウンド終了の合図。

一瞬の出来事に一同が唖然としている中、ヴィヴィオが呟く。

 

「カウンターを強引に耐えて、ガードの上からの重い一撃。この感じ、まるで...。」

「はい。リンネと同じタイプです。」

 

フーカがヴィヴィオの言葉に続ける。

 

「根性があるお人だとは思っとりましたが、想像以上です。」

「...なるほどね。お前が気に入るわけだ。」

 

この場にいる全員が、真のポテンシャルに驚きを隠せない。

これはまた期待の新人が来た。

アインハルトですら拳を握り、胸が躍るのを隠せていない。

 

「真さんは合格じゃ。その覚悟が嘘じゃないってこと、確かに見せてもらいました。」

「...。リンネ、ってだれ...?」

 

ドサッ。

 

真は倒れ込んでしまう。

素人にはこれが限界である。

とりあえず安心したのか、真は気絶した。

強さを得る取っ掛かりのつもりが、どうやら彼女にもある種の才能があることが分かってしまった。

まあ、ナカジマジム一同の期待など、真には一切届いていないようだが。

期せずして格闘家の道が拓けてしまった真。

彼女がどの道に進むのかは、また別のお話である。

これは『鮮烈な日常』ではなく、『想いを伝える』物語なのだから。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

「はぁ!?娘さん!?何でそう迂闊なのですか!?」

 

愛しの幼なじみからの定時連絡だろう。

...何やらトラブルなようだが。

 

「はぁ。とにかく、バレないように誤魔化してください。...無理なのは承知です。頑張ってください。...はい。では待っていますので。」

 

リーゼが通話を切る。

 

「何かトラブルかしら?♪」

「...何でもありません。それより、どうなのですか。」

「どうって?」

「出来るのですか?出来ないのですか?」

「ああ...。」

 

リーナは勿体ぶってから、髪を撫で。

得意気に答えた。

 

「勿論出来るわ。天才だもの...♪」

「なら、進めてください。あのアーマーは必ずこの手で...この世から消し去ります。」

 

第14話『鮮烈な一撃』




「「「私たち中学生でーす!」」」
「制服だとおチビさんたちが大きく見えますね。」
「そうですね。フーカの分も用意しておきました。」
「いつの間に...。ワシはそういうヒラヒラしたのは...。」
「大丈夫!フーちゃんならきっと似合うよ!」
「何でお前が着とるんじゃ!」
「果たしてリンネさんの出番はあるのか!」
「来週もリリカルマジカル、頑張ります。...出番、ありますよね?」
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