エタったと思った?残念、サボり気味なだけです←
仕事が忙しいのです。
今年中に二部完結出来るといいなぁ。
どこかの一室。
まるで城の内装のような、豪奢な飾り付けの部屋で、それとは不釣り合いなシンプルな洋服の少女が椅子にポツンと座っている。
「カイリ、出来たぞ。」
器用に足で扉を開き、燃えるような赤色の髪の少女が入って来る。
手には出来立ての料理を持っている。
「今日はオムライス?」
「ああ、卵が安かったんだ。」
黄色い玉子に赤いケチャップが映えるシンプルなオムライスに、彩り豊かなサラダ。
豪奢な部屋にはやや不釣り合いだが、カイリは彼女が作る料理が好きだった。
「いつもありがとう、ラン。」
「いいって。あたしが好きでやってんだからさ。」
お盆ごと自分とカイリの前に配膳し、再度扉から出ていく。
カイリは料理に手を出すことなく、『家族』が揃うのを待っている。
そうしていると、今度は勢いよく扉が開く。
「ママ、ごはんごはん!」
「危ないから走っちゃダメよアートちゃん。ご飯は逃げないのよ。」
ゴシックロリータ風の服を着た金髪の少女、かなり幼いその子どもを嗜めつつ、同じく金髪のスタイル抜群の女性が入室してくる。
「お疲れさまです、桜花さん。」
「お疲れさまカイリちゃん。今日はオムライスなのね。家庭的で素敵!」
カイリと向き合う位置に座り、はしゃぐアートを抱き上げ隣に座らせる。
「ママ、わたしのまだ...?」
「安心してアートちゃん。もうすぐランちゃんが運んで来てくれるわ。」
タイミングよくランが二人分の食事を運んで来る。
「お待たせしましたお客様。なんつって。」
「あら、ありがとう可愛いシェフさん。」
「オムライスー!やさい、いらない!」
「好き嫌いはダメよアートちゃん。おっきくなれないわよ!」
いつも通りのやり取りに心が温かくなる。
幸せだ、とカイリは感じていた。
仮初めでも、これが今の自分の家族なのだ。
「それじゃあ、みんなで手を合わせて。」
「「「「いただきまーす!」」」」
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「そう、カイリちゃんたちも目標に会っていたのね。」
「はい。それに、始末も付けられませんでした。」
食事を終え、情報交換を行うマスターの二人。
ランは食器の片付け、アートはうたた寝をしてしまっていた。
「それは私も同じよ。もしご機嫌斜めだったら、その時は一緒に怒られましょ?」
「はい...。」
落ち込むカイリを優しく励ます桜花。
「それに作戦も考えてあるの。」
「作戦?」
「ええ。あの子たちの素性、簡単に分かっちゃったから。」
眠るアートを抱き抱え、桜花は薄く笑う。
「今度はちゃんと、挨拶しないとね。」
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「...おいしそう。」
「ご、ご馳走です...。」
朝目覚めると同じように治療を終え、意識を取り戻したミラと再会した。
お互いもう会えないのを覚悟していたから、また会えた喜びで涙が止まらなかった。
そこにあの、リーゼとかいう管理局が来て。
「朝ごはん、貴女たちの分もありますので。」
恥ずかしいことに、ミラと一緒にかなり大きな空腹音を響かせてしまった。
仕方なく。勿体ないので仕方なくリビングに向かうと、そこには信じられない光景が広がっていた。
「あ、おはよう!イズナちゃん、ミラちゃん。...?どうしたの?」
ホカホカの白いご飯に、いい匂いと湯気が立ち昇る味噌汁。
綺麗な黄色に輝く玉子焼きに、色彩を豊かにする緑のほうれん草のおひたし。
そして真ん中でてらてらと美味しそうな油を纏っている焼き鮭。
見事な。
本当に見事な朝食がそこにはあった。
「わ、罠です。こんなのあり得ないです!騙されちゃダメですよミラ!」
「で、でも。しゃけ。しゃけが私を呼んでるから...。」
「何を言っているんですか貴女たちは。いいんですよ?いらないのなら真が食べます。」
「「いただきます!」」
急いで手近な席に座る。
悔しい。でも抗えない。
美味しいごはんはプライドにも勝るのです。
「りーちゃんのごはん本当においしいんだよ?きっと二人も気に入るよ!」
「...。」
「ふ、ふん!仕方なくいただいてやるです!別にお前たちと仲良しになるつもりはないですよ!」
「いらないのなら」
「いりますっ!」
ぐっ。助けられた上に施しまで。完全に上下関係を築かれてしまったのです。
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「もぐもぐ!」
「おいしい...おいしい...。」
「あはは、本当にお腹空いてたんだね。」
美味しそうに食べる二人を見てりーちゃんも満更でもなさそうだ。
今なら切り出しても大丈夫かな。
「あのね、イズナちゃん、ミラちゃん。」
「むぐ...気安く呼ぶな、です。」
「これからのことなんだけど。」
「スルーするなですよ!」
「二人のこと、私たちに守らせてくれないかな?」
「守る...?」
私の言葉に二人の箸が止まる。
「うん。解決するまで、ここにいていいから。今の状態で二人を外に出すの、危険で心配だからさ。」
「心配...私たちは敵ですよ?」
敵。確かに出会いは敵だった。
だけど、今の私は二人の境遇も、大事なものも知っている。
もうただただ敵だと考えることは出来ない。
「依頼を出してたあの子たちから追われてるなら、今更レンちゃんを連れ去っても何の得もないでしょ?二人には私たちと争う理由がなくて、私たちは争う気なんてない。仲間じゃないかもしれないけど、私たちは敵ではないんじゃないかな?」
「っ...。それは...。」
言い淀むイズナちゃん。
じっと黙っていたミラちゃんが私を真っ直ぐに見て、重い口を開く。
「...それで。それで一体あなたに何の得があるの。」
「得...どうなんだろ。私はただ、二人を見捨てたらごはんがおいしくなくなるなって。」
「...?」
「だからさ。ごはんって、みんなで食べるからおいしいし、何か悲しいことがあったらあんまりおいしく感じなかったりするでしょ?今二人を見捨てると、気持ちよくごはんを食べられなくなっちゃう。だから、私は私の為に二人を守りたいんだ。」
「...それもまた、偽善。」
「偽善でいいよ。私は私の為に、私がしたいことをする。欲張りのままじゃなきゃ、全部掬い上げるなんて出来ないんだから。」
「...。」
ミラちゃんは手元のごはんを見て、次にイズナちゃんの顔を見る。
「...あなた、思ったより悪い人。」
「えぇ...。」
「でも、その方が信用出来そう。」
少し口元を弛めてミラちゃんが笑ったように見えた。
「...ミラが許すなら、仕方ありません。」
「じゃあ!」
「仕方なく、お世話になってやるですよ!」
「嫌なら食べなくて」
「「お世話になります!ありがとうございます!」」
何とか第一段階、突破できたみたい。
「青春ねぇ~。」
「この鮭骨多いぞ...。」
「おかわりを頂けないかしら。」
思い思いの感想を呟く家族たち。
レンちゃんとフェイちゃんに至っては最早こちらを見てすらいない。
...あれ?緊張してたの私だけ?
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「気が抜けとるぞ!」
「かはっ!?」
一瞬の隙を突かれ、真の腹に鋭い一撃が突き刺さる。
「そこまで!」
「ま、参りました...。」
ナカジマ会長の終了の掛け声が響く。
いつも通りの師弟スパーリング。
しかしどこか様子がおかしいことを師匠であるフーカは感じていた。
「スパー中に考え事か?」
「すみません...。」
項垂れる真に手を差し伸べ立ち上がらせる。
この感じは2ヶ月前と同じだと、フーカは思う。
この急に押し掛けてきた年上の弟子は、下手すれば死ぬような事件を乗り越え、帰って来てから事情を説明してきた。
なかなか信じられない話だったが、レンを見せられたり、妙に納得した様子のヴィヴィさんたちの様子に自分の知識が狭いだけかと無理矢理納得させたのを覚えている。
それから2ヶ月。
すっかりジムの仲間として受け入れられた真の姿に安心していたわけだが。
「何か、またあるんか?」
「え...それは...その。」
はっきりしない様子の真に思わずため息を吐いてしまう。
恐らくまた巻き込まないようにとか、そんなことを考えているのだろう。
「お疲れさま、フーちゃん、真さん。」
「おう。」
「ありがとうございます...。」
そこにリンネがタオルと水を持って来てくれた。
リンネはたまにこうやってジムに練習に来る。
戦闘スタイルが似ていることと、ワシの弟子であるからか、リンネはよく真のことを気にしてくれている。
「とりあえず一回休憩しようよ。真さんも整理したいだろうし。」
「...そうじゃな。」
リンネも真の様子がおかしいことに気づいているみたいだ。
リングを出て、端の方に座り込む。
「レンちゃん、お家ではどんなことしてるの?」
「レンちゃんは甘党?辛党?」
「レンさんは格闘技にご興味は?」
「お前らうるせー!」
向こうでレンが質問攻めにあっているのが見える。
今ではすっかりマスコット扱いだ。
ヴィヴィさんたちも中学生だし、妹が出来たみたいで嬉しいのだろう。
意識を真に戻し、水を一口飲んで改めて話をしていく。
「何かあったんじゃろ?」
「はい...。」
「それはワシに言えんことか?」
「...はい。」
「巻き込まない為か。」
「はい...。」
予想通りの返答だ。
無理に聞き出すのは違う。
しかし、仲間として心配なのは心配だ。
「前に言ったことは覚えとるか?」
「ちゃんと覚えてます。」
「そうか...。なら、同じじゃ。ヤバい時は頼れ。ワシより弱いうちは、ちゃんと守ってやる。」
「師匠...。」
師匠として掛けられるのはこのくらいの言葉だけだ。
今度は気づいたら終わっていた、では済まないような。
そんな胸騒ぎを感じた。
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学校の後、友達と別れいち早く研究所に帰って来た私に着信があった。
「クレア先輩?」
『久しぶりだな。定時連絡というか、エレナのことで少し、な。』
「エレナさんですか。」
実はエレナさんとはよく連絡を取り合っている。
最初こそ謎に威嚇されてしまったが、今では外の話や恋愛の話なんかで盛り上がれる仲となっている。
そういえば、ついこの間話した時はいつもより上機嫌だった気がする。
『少しずつエレナの体調が良くなっていてな。もしかしたら外出も出来るかもしれない。』
「まあ!それは良かったです。」
『その時は一緒に付き合ってくれるとありがたい。』
二人きりをお邪魔するとまた威嚇されそうな気がするが。
「やはり聖王教会は優秀ですね。」
『ああ。まさかこんなに早く快方に向かえるとはな。もっと早く頼れればと思ってしまうよ。』
「八神二佐には感謝してもし切れませんね。」
『ああ...。リーゼは、まだ管理局には復帰しないんだな。』
「ええ、まあ。...今は真たちの側にいたいので。」
今まさに危惧していたことが起こっている。
尚更戻る暇はない。
『...何かあったか?』
「え?」
『顔に出ているぞ。お前はすぐ抱え込む。私の言えた義理ではないが、頼るべき時は周りに頼るのが正しいと思うぞ?』
「...はい。必要があれば、そうします。」
私の返答に先輩は若干不満そうに続ける。
『お前と星宮には借りがある。命に代えても、この恩は必ず返す所存だ。』
「ありがとうございます、先輩。だけど、命は大切にしましょう。」
『...そうだな。お互いに、な。』
「...はい。」
二度と落とすわけにはいかない。
悲しませる人が私にはいるのだから。
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「何だよ急にしんみりしやがって。似合わねーぞ。」
「だってまた師匠に気を遣わせちゃったし...。」
珍しく並んで歩くレンちゃんと話ながら帰路に付く。
私だって色々考えることがある。
「強くならないと。りーちゃんも危なかったって言ってたし、昨日のあの子。まだ本気じゃなかったんだろうし。」
「でも昨日は撃退しただろ。」
「それは、あっちが退いてくれたからでは...。」
不安は強くなる一方だ。
守りたいものがまた増えた。
それなのに、私は相変わらず半人前のままだ。
やりたいことに実力が追い付かない。
焦ってしまう。その焦りが成長を妨げる。
「お前なぁ。いいか?似合わないことを...。」
『みーつけた。』
「レンちゃん!!」
視界が光で埋め尽くされる。
響く爆音。
視界も音もなくなりながら、何とかレンちゃんを抱き寄せ体で守る。
30秒、1分。
時間の間隔も分からず、僅かに意識を失う。
気づいた時にはレンちゃんとエンゲージして、装甲を纏っていた。
「っ...!」
『お前...腕が!』
右腕が動かない。
鋭い痛みが走る。
レンちゃんを庇った時に肩をやってしまったらしい。
「一体、何が...。」
周りを見ると綺麗に舗装されていた道がぐちゃぐちゃになっているのが分かる。
停めてあった車はスクラップ同然、木も倒れている。
何かが爆発したのだ。
ふらつく視界に、黄色の鎧が映る。
『ガラディーン...!』
「お日さまなしですが、今日で終わりにします。」
襲撃。
昨日の今日でもう居場所がバレた。
動かない左腕を無視して、何とか構えを取る。
『まずい...このケガであれとタイマンなんて!』
「それだけじゃないのよね。」
ガラディーンの隣に紫の鎧を着た女性が現れる。
手には歪な形をした弓が握られている。
さっきの爆発はあれか。
「初めまして、星宮真ちゃん。アロンダイト、お見知り置きを。」
「アロン、ダイト...!」
二人掛かりで潰しに来たということか。
アロンダイトと名乗る女性は弓を構えると容赦なく私に向かって矢を放つ。
痛みに耐えながら体を動かし初撃を回避する。
「そこ!」
「ぐあぁっ...!? 」
よろめいた隙を突かれガラディーンの横凪が左腕に命中する。
あまりの痛みに意識が飛びかける。
体ごと吹っ飛ばされ、立ち上がることさえ出来ない。
『きゃはは!ボールみたい!』
「そうねアートちゃん。呆気なく試合終了かしら。」
私目掛け矢が放たれる。
避けることも出来ず、矢は腕、足に的確に突き刺さる。
「が、ぅぁ...っ。」
力が抜け、血が流れ出る。
最早痛みすら感じなくなっていく。
これは...あの夜と同じ。
「だ、め...わた、し...まもら、なきゃっ...。」
嫌だ。
死ぬわけにはいかない。
私が、守らないといけないのに。
こんなにあっさり。やられるわけには。
「守る?無理よ、あなたには。」
弓が剣に変化し、女性が私を見下ろす。
「だってあなた。こんなに弱いじゃない。」
女性はそう呟いて、その刃を振り下ろす。
そこで私の意識は途絶えた。
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桜花が剣を振り抜く直前。
彼女と真との間に割って入る影があった。
真を守るように、風の魔力を纏い、両腕で刃を受け止めている。
「何!?」
「やあぁッ!」
動揺する桜花の横から更にもう一つ影が接近、拳を振り抜く。
身を翻し、何とか回避する桜花。
爆発で火が付いたのか、倒れていた木が一気に燃え上がり、二つの影の正体が露になる。
緑のリボンに長いポニーテール。
特徴的な白と黒のバリアジャケット。
もう一方は、美しい銀髪に白を基調とした格闘用ドレス。
フーカ・レヴェントンにリンネ・ベルリネッタ。
真の師匠、その二人であった。
「フーちゃん!早く病院に連れて行かないと!」
「...。」
ボロボロになった弟子の姿を片目で捉え、フーカは拳を強く、強く握り締める。
許さん。
元気だった真の姿が頭に浮かぶ。
弱いくせに、いつも周りばかり気にして。
こんなになるまで、一人で戦って。
そんな、馬鹿で優しい奴を。コイツらは。
「お前ら...!ワシの弟子に何してくれとるんじゃあぁッッ!!!」
第23話『弱き者』
「ついに出番です!」
「ワシらの見せ場これで最後かもしれんぞ。」
「そんな!?まだ私二言しか喋ってないのに!」
「台詞があるだけマシじゃろ。他の皆さんなんて誰が誰だかも...。」
「こうなったら私たちであの二人倒してお話自体を終わりに!」
「あの、少しは私の心配をですね...。聞いてます?」
「次回!魔法少女リリカルなのはS.G.」
「第24話。闘いと戦い。」
「リリカルマジカル頑張ろうねフーちゃん!」
「押忍!」