魔法少女リリカルなのはS.G.   作:月想

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見てくれてる人いるんだろうか...
緊張する、してしまう...


第3話『紅色と黄色』

とあるファミリーレストラン。

 

所謂ファミレスというやつだが、基本的にいつも忙しい。

昼間は仕事の休憩に来るサラリーマン、夕方は学生の寄り道、夜は夕食を楽しみに来た家族連れ。

だが深夜だけは違う。

出歩く人がそもそも少なく、治安もそこまで悪くないこの都市では深夜のファミレスは何故開いているのか分からないレベルで閑散としている。

それ故深夜勤務という辛さはあったが、従業員から密かに人気のシフトとなっていた。

...この時までは。

 

がつがつ!がつがつ!

そんな擬音が聞こえて来そうな勢いで、様々な料理が運ばれては消えていく。

店員は思っていた。勘違いしていた。

 

「こんな夜中に女性二人とは珍しい。片方は学生さんみたいだが何かあったのだろうか。深夜のお悩み相談ガールズトーク的な。」

 

などと色めき立っていた自分を殴ってやりたい。

とんでもない勘違いだった。

怪物。

彼は初めてそれが実在したことを知り、戦慄した。

料理を運ぶ手が止まらない辺り彼も存外、プロである。

 

「ぷはぁー!おいしー!空腹は最高のスパイスって、けだし名言だよー!♪」

「あ、あはは...。」

 

カードは使えるよね、大丈夫だよね?

と乾いた笑いが出ている。

 

事件の話を聞くため、女学生が話しやすいであろうファミレスに連れて来たまでは良かった。

が、大人の余裕を出して

 

「好きなものを頼んでいいよ。」

 

などと言ったのがまずかった。

彼女の食いっぷりに圧倒される現状の完成である。

 

「しかも憧れの、あのフェイトさんとお話できるなんて!厄日が一転、逆転満塁ホームランってやつだね!やたーー!!」

「喜んで貰えるのは嬉しいんだけど...。」

 

少し困った顔で、彼女は真を宥めつつ話を続ける。

 

「そろそろ事件のお話、聞いてもいいかな?」

「ゴクン...あ、はい。そ、そうでした。」

 

フェイトの真剣な表情に、流石に背筋を正す真。

 

「何故貴女はあの場で倒れていたの?魔導師が倒れていた側に。」

「それはその。...よく覚えてなくて。」

「覚えてない?」

「は、はい。...アルバイトが終わった後に女の子が走っているのが見えて。」

 

真は今日あったことを説明する。

女の子を追っていた魔導師を見つけ、助けなきゃと思った。

何とか追いつくことはできたが魔導師の攻撃には対応できず、気絶。女の子が逃げるところはギリギリ見えた。

気づいた時には病院にいたと。

 

そう、嘘を吐いた。

 

「...なるほど。貴女は何も知らないんだね。」

 

嘘だと分かった。

自然に考えれば彼女が魔導師を撃退したようにしか見えない。

分かりやすいくらい真は嘘を吐くのが下手だった。

話す度に悪いことをしていると、躊躇うように言葉を紡いでいた。

いい子なんだな、とフェイトは感じた。

執務官である自分に嘘を吐くというのは良いことではない。

だがそれを分かった上で何かを隠している。

この素直で自分に憧れているという少女がそこまでして隠すことが、どうしても気になった。

 

「じゃあ、その女の子を助けて魔導師を倒したのは別の誰かなんだね。」

「そうですそうです。私なんて、フェイトさんに憧れるばっかりで才能もない、普通のなんの変哲もない女の子なんですから...。

ほら、デバイスだって学園から支給されてるやつしか持ってないんですから!」

 

言いつつ携帯型デバイスを見せる。

 

「...確かに。普通のデバイスだね。」

 

軽く確認し首肯する。

 

「その、すみません!せっかくフェイトさんが時間を作ってお話してくれたのに...。私、何の手がかりも渡せない...。」

 

フェイトは真を真っ直ぐ見つめ問う。

 

「...貴女は人を助けるのが好きなんだよね?女の子を助けたのが自分じゃなくて、悔しかったりはしない?」

「え?...そりゃあいつも、私にもフェイトさんみたいな力があったらって、ずっと夢見てたけど...あの子が助かって、私じゃなくても、力を正しく使ってくれる人が他にもいるなら、それはすごくいいことなんじゃないかって。そう、思います。」

 

そう言って遠慮がちに、しかし花のように笑う姿が。

お人好しで、誰よりも頼りになり、誰よりも心配な親友に似ていると、フェイトは思った。

 

「そっか。そうだね。私もそう思うよ。」

 

優しく微笑む憧れの姿に、真はつい見惚れてしまった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

◼️□真の家前◼️□

 

「それじゃあ、また何か思い出したらいつでも連絡してね?」

 

真を送迎した車から顔を出し、フェイトに告げる。

 

「フェイトさんの連絡先...!?い、いいんですか!?私ファンなのに!?一線越えなんてそんな罪を私は...!」

「あはは...。まあ、程々にね?」

 

あくまでも捜査の為の連絡先共有だが、彼女には刺激が強すぎたらしい。

 

「はい!あの、サインもありがとうございます!今日は本当に、ありがとうございましたっ!」

笑顔のまま頭をしっかり下げる。

 

改めていい子だなと思いつつ、手を振り応える。

走り去っていくフェイトの愛車を真はいつまでも見つめていた。

 

...が、手元のサインが視界に入った途端、すぐにだらしない顔になってしまう。

 

「ふふ、えへへ。フェイトさんのサイン...。」

『そんなもんが嬉しいのか?』

「嬉しいに決まってるよ!フェイトさんのサインだよ!?家宝だよ家宝!...ってわぁ!?」

 

驚いた真から光の玉のようなものがが現れ、人の形となる。

 

「いちいちうるせーんだよ。お前騒がしくないと死ぬ生き物か何かか?」

 

それは今日という日を決定付けた、銀髪の少女であった。

 

「何か出てきた!?いったいぜんたいどんな仕組み!?」

「だからうるせー。教えてやるからついてこい。」

 

そう言い、少女は歩き出す。

 

「へ?いや、流石に今日は眠いし明日も学校だし宿題やってないし夜更かしは女の子の敵で」

「い い か ら こ い 。」

「ひゃい...。」

 

小学生の圧じゃないよ...とぼやきつつ、真はしょぼしょぼとその少女についていくことにしたのだった。

 

第3話『紅色と黄色』




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