『ぼさっとすんなっ!!』
咄嗟に横に跳んで避ける。
「いたた...。...何、あれ。物騒なんてもんじゃないド物騒引っ提げてる!?」
黒い少女の手で武器が唸る。
それは剣でも鎌でもなく、
属にチェーンソーと呼ばれるモノに酷似していた。
「今のを避けるとはなかなかのラッキーガールです。でも、次はないのです。さっさとぶちまけてもらうですよ!!」
そう言って少女は得物を再び振るう。
「ひぃっ!?」
避けるというより逃げるように、何とかその凶器が当たらないように必死で動き続ける。
「ちっ!しつこいです!」
痺れを切らしたのか、少女は真の動きに合わせて蹴りを喰らわせる。
「ごふっ...!?」
常人のそれとは違う、圧倒的威力。
真の足は地面を離れ、体ごと吹っ飛ばされてしまった。
「チェックメイトです。お待ちかねのぶちまけタイムですよ。」
チェーンソーを唸らせ真に迫る。
余裕の少女の頭に空き缶がぶつかった。
「ぁいたっ。?」
「ま、真に何すんのよあんた!!アニメじゃないんだから、暴力なんてダメなんだからね!」
「っ...弓美、ちゃん...?」
「逃げて星宮さん!私たちが引き付けておきますから!」
「私たちの友達に近づくな!相手なら私がしてやるよ!」
必死にそう吼える三人の足は、等しく恐怖に震えていた。
「みんな...震えて...っ」
「生まれたての小鹿がよく言うです。...そんなに死にたいのなら、先にお前たちからバラすですよ。」
「ひっ...!?」
「星宮さん逃げて!!」
「投げる前に通報した方が良かったかも...!」
カコン。
またしても空き缶が少女の頭に当たる。
「っ...私の頭は的当てゲームじゃないですよっ!」
振り返り様に放った魔力の弾丸が、真の頬を掠める。
しかし真は動じない。
立ち上がったまま、真っ直ぐ『敵』を見つめる。
「狙いは私なんでしょ!友達に手を出さないで!相手ならしてあげるから!」
「やる気になったですか。安い挑発、ノリのいい私が乗ってやるです!」
真が駆け出すと同時に少女も後を追う。
「あ、真どこ行くの!?」
「もう見えなくなって...」
「私たちを、逃がす為に...。」
―――――――――――――――――――――――――――――
命懸けの鬼ごっこ再び。
真は周囲に漸く人がいなことを確認する。
「レンちゃん!どうすればいいの!?」
『気合いが入りゃ何でもいい!エンゲージだっ!』
「え、エンゲージ!えと...逆剣、クラレントーーっ!!」
真の体が光に包まれ、全身を装甲が覆う。
1秒とかからず変身は完了。
マフラーが棚引いた。
「アイアンメイデン。それが戦闘形態ですか。」
少女と真が対峙する。
「本物...胸糞悪いです。さっさとぶちまけさせるですよ...!」
チェーンソーを振り上げ突撃。
「!」
咄嗟に腕の装甲で受け止める。
ガギャギャ!ギギギン!
鉄同士がけたたましくぶつかり合う。
『バカ!どストレートに受けてどうする!腕がなくなるぞ!?』
「...!?」
急いで飛び退く。
ガントレットには痛々しい傷跡が残っていた。
『武器だ!剣を出せ!』
「剣?でもどうやって...」
「武器もまともに出せないお気楽者ですか!相手にならないです!」
武器もまともにない真に少女の容赦ない攻撃が続く。
『何やってんだマスター!武器がなきゃ戦いになんねーぞ!?』
「分かってる、けど...!」
銃も刃物も、当たったらもしかしたら...!
『殴っても蹴っても、相手を傷つけることに代わりはねぇ!何迷ってんだ!!』
だけど...!
『負けたらお前は死ぬ!お前の友達だってどうなるか分からないんだぞ!いいのかそれでっ!』
「くっ...そぉぉぁーーっ!!!」
拳に雷が宿る。
真はそれをただ乱暴に振り抜いた。
「ぐぅっ!?」
予想外の反撃に反応しきれず、少女の腹に拳が叩き込まれる。
先ほどのお返しとばかりに、少女の体は宙を舞い木を薙ぎ倒しながら吹き飛んだ。
「あっ...!」
『よし!』
砂埃の中で少女がゆっくり身を起こす。
「っ...とんだばか力です...拳ひとつで、ここまで...。」
少女の口に血が滲む。
「っ...。」
真の手が震える。
『お前、まだ...!』
少女が叫ぶ。
「調子に乗るな本物っ!!負けてたまるもんかです...!アイアンメイデンなんて。だったら私たちは、何で...!!」
『何だこの、変な感じ...。』
「レンちゃん...?」
「見せてやるのです...!私たちは、失敗作なんかじゃないっ!!」
突如として少女の身が魔力の奔流に包まれる。
魔力の塊となった少女は、真を目掛け突進する。
しかし。
それは1つのデバイスと、巻き起こる雷に阻まれた。
「な、何なのですか...!」
少女が見上げた先にいたのは
「剣です。」
執務官、フェイト・T・ハラオウン。
管理局最強の魔導師であった。
第6話『閃光』
いっつも翼さんネタしたいだけでフェイト出してない?って思ったでしょう。
正解です。