魔法少女リリカルなのはS.G.   作:月想

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毎日投稿気味だったのが更新しなくなってエタったと思った?残念仕事が忙しいだけです。(辛い)
必ず最低毎週は更新しますとも。


第8話『流れ星墜ちて。』

居ても立ってもいられなかった。

フェイトさんが待ってることも、落とした端末から聞こえるリーナさんの声も。

何もかも意識から離れてしまった。

 

りーちゃん。

リーゼ。

 

私の親友。

もう会えないって思ってたのに。

会いたい。会わなきゃ。

何で指名手配されてるのかとか、一等空士ってなにとか。

聞かなきゃ、全部。一秒でも早く。会わなくちゃいけない。

 

気づいた時には駆け出してた。

急がなきゃ。早く行かないとまた...。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

「ハァ...ハァ...!」

 

近い位置ではあったけど、本当なら電車で向かう距離だ。

体中が疲れてるのを感じる。

息も、苦しい。

でも着いた。りーちゃんはどこに...

 

『お前...テレビのあれは監視映像だぞ。何時間も前の映像だ。もういるわけねーだろ。』

 

レンちゃん?いつの間に...。

 

『お前の思考も読めてきたからな。走る前に一体化した。端末も拾ってやったんだから、感謝しろよ?』

 

事故(事件?)現場を見回す。

黄色の立ち入り禁止テープ。野次馬の人たちと、止める管理局の人たち。

遠くに見える工場からは煙がまだ見えた。

 

「りーちゃん...。」

『諦めろ。近くにいるわけねーんだ。早く戻ってあの執務官に謝らないとお前』

 

端末を取り出してリーナさんに電話する。

 

『はいはーい。どうしたの真ちゃん。急に電話切っちゃったり、電話してきちゃったり。』

 

「リーナさん!リーナさんは天才なんですよね!?りーちゃんの居場所、分かりませんか!?」

『そうよ、天才だけど。りーちゃんって誰かしら?』

「リーゼ!リーゼ・グレーデンです!」

『リーゼ...。』

 

端末を操作する音が聞こえる。

 

『ああ、最近話題の工場襲撃犯ね。この子がどうしたの?』

「幼なじみなんです!ずっと会えなくて...でもテレビで見て、会えると思って来たんです、けど...。」

 

会えるわけ、ないか。

思考が急速に冷えていくのを感じる。

何をやっているのか。何も言わずフェイトさんから離れ、リーナさんに無理を言って。

おかしいよ、私。

 

『...ふーん。ちょっと待っててね。』

 

電話が切れてしまう。

急にわけわかんないこと言って、嫌われたかもしれない。

 

呆然と現場を見つめる。

 

『...おい。』

 

何であのりーちゃんがこんなこと...。

 

『おいってば。』

「...何、レンちゃん。」

『あいつはお前に待ってろって言ったんだぞ?』

「へ?」

 

端末が鳴動する。

 

『お待たせ真ちゃん♪襲われた工場を分析して、次に狙われる場所を特定していたの。自動車工場は表向き。本当は武器生産工場だったみたいね。それを順番に潰して回っている。次に襲われる可能性がある工場は、そこからかなり近い位置にあるわ。まあ、あくまでも分析からの予想の話だけど。』

 

...て、天才だ...。

すごい、もう位置情報送ってくれてる。

 

『管理局にハッキングしてちゃちゃっとね。後は真ちゃん次第よ。』

「は、はい!ありがとうございます!」

 

...ハッキング?

 

『ふふっ、無茶しないように頑張りなさいな。』

 

通話が切れる。

 

...これで、会えるんだ。

 

「りーちゃん!」

 

私はまた、駆け出す。

約束を果たすんだ。また会えるって!

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

□◼️街外れの工場◼️□

 

黒衣に身を包んだ少女が目標を見据える。

感情はいらない。

ただ目的の為、スコープを覗く。

破壊する。一発で撃ち抜く。

魔力を弾丸に変え、工場に隠れた獲物を狙う。

貫くのだ。己の正義を押し通す。

その為にも止まるわけにはいかない。

引き金が引かれる。

細く、それでいて輝く一撃。

真っ直ぐに放れたその光は工場に届く前に

一振りの剣に阻まれた。

 

「!...。」

「お前を逮捕する。...リーゼ。」

 

血のように赤い髪に鋭い目つき、何よりも彼女の外見に不釣り合いな程大きく、武骨な対艦刀が目を引く。

女性は地上から、空中に佇む黒衣の少女、リーゼを睨み付ける。

 

「クレア先輩...。」

「もう先輩ではない。敵だ。」

 

クレアから放たれるプレッシャー。

それは彼女が本気であり、容赦などしないことをリーゼに伝えていた。

 

「立ち塞がるのならば。誰であろうと倒します。」

 

リーゼも顔を隠していたフードを外し、クレアを見据える。

即座に狙撃モードのデバイスを構え、砲撃を行う。狙い澄ました一撃ではないが、代わりに出力と範囲は広がっている。

飛べないクレアには避けることすら難しい。

 

「!」

 

クレアは対艦刀を振り抜き、乱暴に砲撃を切り潰した。

避ける必要はないと言いたいらしい。

 

放たれる砲撃、振り払う刀。

埒が明かない。

幾度か同じやり取りをした後、先に動いたのはリーゼだった。

砲撃を行いつつ、片手を空ける。

クレアが刀を振り、砲撃を払った瞬間。

刀を持つ腕が空間に固定される。

手首には魔力の鎖が絡み付いている。

 

「バインド...!」

 

リーゼの最も得意な戦法。

相手の動きを止め、確実に高威力砲撃を命中させる。

シンプルだが強力な技術。憧れに教えられた技だ。

 

「ディバイン...。」

 

魔法陣が展開され、魔力が解き放たれる。

 

「バスター!」

 

気合いと共に放れたそれは、無防備なクレアに直撃。爆発を起こす。

 

「よし...。」

 

直撃したのだ。無傷ではすまない。

そう思った矢先

 

「甘い...!」

 

煙からクレアが飛び出し、空中のリーゼに接近。そのまま対艦刀を叩きつける。

 

「あぐっ...!?」

 

野球のボールのように、リーゼは工場の壁を突き抜けていく。

 

空中と地上。明らかなアドバンテージがありながら、クレアの強さは圧倒的だった。

着地したクレアは、ゆっくりとリーゼに近づく。

 

「投降しろ。お前では私に勝てない。」

「まだ、です...。私は...負けるわけには...!」

 

逃亡生活で体も限界に近い。

今のリーゼにはクレアの一撃を受けてなお、立ち上がる力はなかった。

 

「投降しないのならば、始末するだけだ。」

 

対艦刀を振りかぶる。

 

何故こんなことになったのだろうか。

目の前の女性は優しい先輩だった。

自身が管理局に入隊した時は、母親はとても喜んでくれた。

憧れの人に直接教えを受け強くなれた。

私は変わった。

それなのに。

何で私は勝てないのか。守りたいものも守れず、地べたに這いつくばっているのか。

強くなったのにどうして。

辛くて泣きそうな時。自分が酷く情けなく思うそんな時。

いつも思い出してしまう。

あの笑顔と温かい手を。

 

「たす、けて...。」

 

瞬間。リーゼの目の前に、流れ星が閃いた。

不意を付かれたクレアは防ぐこともできず、吹き飛ばされてしまう。

 

煙が晴れた先にリーゼが見たのは、紅と白の鎧を纏った少女だった。

少女はリーゼに近づき、嬉しそうに。だけど少し怯えるように語りかけた。

 

「いた...やっと会えた。私だよ、りーちゃん。覚えてるかな...?」

 

瞬きもせず、その少女をみつめる。

忘れるものか。

その可愛らしいのに、どこか凛々しい顔を。

忘れるものか。

いつも差し出してくれた、温かなその手を。

私の心で、いつまでも輝いていたお星さま。

 

「まー、ちゃん...?」

 

かくして、流星を待つ少女の願いは叶えられた。

少女が願いを捨てた、その直後に。

 

第8話『流れ星墜ちて。』




やっと再会です。
イチャイチャするのはもう少し先ですが←
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