未来と古来と異界のポケモン   作:クロマ・グロ

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少年と双子と一年半前の真実

 

 

ライズ視点

 

~スター団フェアリー組アジト内部~

 

 

 

しばらく俺達とオルティガが話しているとゲート前で戦ったイヌガヤさんがやってくる。

 

「……オルティガ坊っちゃま。」

「爺や。

ピアノの時間か……お迎えに来たんでしょ。

今ちょうどボス引退したとこだしそろそろ家にも帰るよ……。」

 

オルティガは何処か申し訳なさそうな表情をしている。

とはいえその原因の一つでもある俺達としてもなんとも言えないな。

 

「いえ、坊っちゃまにご紹介したい人がいるのです。

……ワタクシのちょっとした知り合いです。」

 

そうイヌガヤさんが若干目をそらしながらなんとも言えなさそうな顔をして一緒に来ていたのは校長先s……ネルケだった。

 

「ネルケと呼んでくれ。」

 

チラっとレティとヴィオは必死に笑いを堪えている。

お願いだから噴き出すなよ?

 

「ふーん……目的は何?」

 

オルティガはだいぶ校長……もといネルケを怪しんでいるようだな。

いやまぁ明らか怪しいからな……。

 

「アパレル会社の御曹司……そんなあんたが何故スター団に?」

「いきなり質問なんて無礼だね。

そんなの他の団員と同じだよ……オレもいじめられてたから……。」

 

オルティガはそう嫌な顔をして答える。

 

正直スター団のやつらと何度も接してきて少し分かってきたことがある。

どうやらスター団は元々はいじめの被害を受けていた奴らが集まった集団だったということだ。

それがどうして今のような状態になったのか……正直まだ全部分かっている訳ではないがボス連中はみんなある人物の帰りを待ち続けているということだ。

 

正直オレはここに強い違和感を感じている。

そこの部分だけ具体的に誰なのか徹底的なまでに情報が無いからだ。

 

「やはりアカデミーにいじめはあったのか……。」

 

ん?どういうことだ?

現アカデミー校長であるネルケがアカデミーでのスター団発足の原因となるようなレベルのいじめを把握していない?

 

「知らないのも無理ないよ。

今の学校は平和そのものだもん。

いじめっ子はまとめて学校から居なくなったし。」

「……どういうことだ?」

「……それについては前校長のワタクシからお話しましょう。」

「……爺や。」

「およそ一年半前、スター団は自分達をいじめた相手と騒動を起こしました。

大事にはならなかったものの前代未聞の事件です。

それがきっかけでいじめの加害者だった生徒達はアカデミーをやめていきました。」

「そんな記録アカデミーには……!」

 

どういうことだ?アカデミーの記録にそもそも残ってすらないだと?

それだけの騒動が記録から残らないはずは無いが……。

 

「ありませんでしょうね……記録は当時の教頭が消してしまいましたので……。」

 

成る程……隠蔽があったわけか。

 

「記録を消した!?

あぁ……なんということでしょう……。」

 

校長先生……素が出てるぞ。

 

「スター団への対応に悩むワタクシの前にある生徒が現れました。

その生徒は団の責任はすべて自分が取ると言いました。

引き換えに仲間達の処分の免除をお願いしてきたのです。」

 

おいちょっとまて……まさかその生徒が……。

 

「え!?それって……!そんなの聞いてない……!!」

 

するとオルティガの様子が急変して明らかに焦り始めた。

やっぱりスター団のボス達の待ち人はその生徒らしいな。

「ワタクシはその願いを受け入れスター団の処分を見送りました。

そしてその生徒には一年半の留学を言い渡しました。」

「一年半……?留学……?」

 

どうやらネルケには思い当たる節があるみたいだな。

 

「……処分の代わりです。

スター団はいじめの被害者です。

心のお休みを取っていただきたくて留学たいう名目でご実家のガラル地方に帰省してもらいました。

そんな矢先当時の教頭が自身の責任から逃れるため事件に関連する記録をサーバーから消してしまったのです……。」

「なんてことを……!隠蔽されていたのですか……!」

「勿論教頭には然るべき対処を行いました。

しかしその行為を止められなかったワタクシや他の先生も同罪です……。

責任を取ってワタクシは校長という職を引退し当時の先生方も全員一緒に辞めていただきました。」

「それで一年半前、先生達が総入れ換えになったのですね……。」

「ご迷惑お掛けしましたね。」

 

レティとヴィオが堪えきれずに噴き出す声が聞こえる。

 

うん……隠す気があるのだろうか校長先生は……。

 

「爺や!どうして今になってそんな話を?」

 

オルティガは同様しながらもそうイヌガヤさんへと問いかける。

するとイヌガヤさんは若干申し訳なさそうにしながらも答える。

 

「……坊っちゃまもスター団も今のままではよくありません。

何かきっかけになればと……。」

 

確かにな……俺達も宝探ししている時に所々で暴走している新人達が居たのを覚えている。

 

「今更仲間裏切ってオレだけ学校行くなんて考えられないよ。」

 

するとイヌガヤさんはだいぶ優しい表情になってオルティガを見る。

 

「スター団の皆が大事なのですね。」

 

するとオルティガは照れたように答える。

 

「当たり前だろ、オレの……宝物だもん。」

 

 

宝物か……。

オレに取ってはある意味アナザーポケモン達が……仲間達が宝とも言えるが……この宝探しで見つけるオレにとっての宝ってのはなんなんだろうな……。

 

俺はここ最近常に感じる空からの気配に向けて顔を振り向く。

 

そこにはなにも居ないはずなのに何か……大切ななにかがいる気がするんだ。

 

 

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