ライズ視点
~オージャの湖~
カチッ……。
この音を聞いた瞬間俺達は安堵に包まれた。
「ふぅ………危なかった……。」
「ヴァァァァアア……。」
俺と元バサルモスは思わずその場に倒れ込む。
流石に一瞬走馬灯が見えたぞ。
すると向こうからヴィオとレギィから飛び降りたレティがこっちに走ってくる。
「うおっ!?」
「全く……ひやひやしたわよ……本当に心配したんだから……。」
「どれだけオストガロアを攻撃しても全然『ドラゴンブラスター』を反らせなかったんだもん……ホントに良かった。」
よく見ると軽く目頭に涙が浮かんでいるのが見えた。
ってかヴィオの爪が肉に食い込んでるんだが……。
「悪い……オモダカさん、手伝っていただきありがとうございました。」
「いえ、私はほぼ何も出来ませんでした。
有効な攻撃は分かっていても能力が大きく足りていませんでしたから。」
「いえ、有効な攻撃を瞬時に見抜いて貰わなければ確実に消耗戦で負けてました。
オストガロアの骨の鎧は数の有利を簡単に覆すくらいの頑丈さでしたよ。
少なくとも俺達の手持ちが数匹やられてもおかしくありません。
俺だってバサルモスを使い捨てるような戦い方をしてようやく骨を全て壊すのが限界でしたから。
こいつが進化してくれなければかなりキツかったですよ。」
俺がそう言うとヴィオが思い出したかのように「あっ!?」と呟いた。
「そうよバサルモス!いえ、今はグラビモスというべきかしら。
こっちもこっちで驚いたわよ!」
「あぁ、俺もあんな土壇場で進化するなんて想定外だったよ。
瀕死の状態から進化したんだから尚更な。」
「いえ、確かにそれもあるけどそうじゃないわよ!
グラビモスはグラビモスでも新種と言っていい姿よ!」
新種?一体どういうことだ?
「やはりバイオレットさん、貴女はアナザーポケモンについてライズ以上にご存じのようですね……。」
「…………正直俺達としてもヴィオの事情は説明しにくいんです。
普通に話したとしてもあまりにも嘘っぽ過ぎてどう説明すればいいか……とりあえず向こうの世界の事情や情報を詳しく知ってるとだけ覚えて頂ければ。」
「…………納得はしにくいですがそういうことにしておきましょう。
それで新種と言っておりましたが?」
「どういうことなの?ヴィオ姉。」
「こっちを見て頂戴。」
そういってヴィオはバッグからスケッチブックを取り出して俺達にあるページを見せてくる。
こいつは……グラビモスか?
だが俺のグラビモスと見比べて見ると背中の巨大な重殻を持っておらず、細部も所々違う。
「こっちはまぁ通常種のグラビモスね。
普通のバサルモス達が成長することによって鎧竜と言われるこの姿になるの。
だけど鎧竜と言っても実はいくつか派生があるのよ。」
そういってヴィオがページを捲ると今度は先程の姿から黒く変色したようなグラビモスが描かれている。
「こっちは黒鎧竜グラビモス亜種と呼ばれているわ。
まぁこっちは厳密に言えばさっきのグラビモスと同じ種族なんだけど生態の差によってここまで姿が変化するのよ。
そして見てほしいのはこっち。」
すると今度は俺のグラビモスとほぼ同じ姿で俺のグラビモスの各所に見られる特徴的な紅黒い線のような模様がない個体が描かれていた。
「こっちはグラビモスの辿異種と呼ばれる個体よ。
こっちも厳密には同じ種族だけど長い年月を経た事で溜め込むことが出来る熱エネルギーが増えすぎた結果一気に排熱するために胴体や頭部、尻尾とかが異常発達を起こした個体になるわ。」
そういえばさっきまで気が付かなかったが絵で見てみると割と目立つ部位が見つかった。
よく見ると腹部の方にもかなり大きな排熱口が空いているのが分かる。
「まぁ見ての通りこっちもこっちで若干ライズのグラビモスとは変化があるわ。
たた色や能力なんかも亜種や辿異種とは大きく違ってるあたりするから……名付けるとするなりグラビモス希少種の辿異種ってとこかしら?
というかそもそもバサルモス亜種の成体が未発見な訳だから向こうの世界に知られたら大騒ぎになるわよ?」
「ヴァァア?」
グラビモスは話の内容があまり分かってないのか首を傾げている。
こりゃ今度詳しく調べておく必要がありそうだ。