ライズ視点
~オージャの湖~
俺とペパーはあれからしばらくそれぞれの相棒の復活を喜んでいた。
どれだけの時間がたったかすらも忘れてただただお互いの相棒とのふれあいに興じていたと思う。
ただ……そういえばヴィオとレティの二人はと思って周囲を見渡した時……。
『WRYYYYYYYYYYYY!!!!WRYYYYYYYYYYYYY!!!!……』
……………まぁいつも通りのヴィオの着信音である。
雰囲気が台無しな事この上ないがおそらくタイミング的にフトゥー博士とオーリム博士だろう。
「はぁ……たぶん博士達だろうから出てくれ。」
「ご……ごめんなさいね?」
「ヴィオ姉…………。」
「そ、そんな目で見ないで頂戴よ!?」
すっげぇ微妙な空気になったな……。
ペパーもこっちと目をあわせて苦笑いしてる。
唯一ミライドン、コライドン、ガーグァのみが首を傾げてるくらいか。
『ハロー子供達、こちらフトゥー。』
『ハロー子供達、こちらオーリム。』
若干ペパーの顔付きが変わる。
何かを疑ってるような表情だ。
『二匹が戦いの力以外全てを取り戻したようだな。』
『ライド状態で壁に捕まれば『がけのぼり』移動も可能になったはずだ。』
「アギャ!ギャ!」
「ギャギャッス!?」
この反応は……何で知ってるの?というよりはそうなの?って感じだな。
なんで自分の事なのによく分かってないんだコイツら……。
『皆に任せて間違いは無かった。』
「ケッ、何様だよ……。」
確か二人はペパーの所に全く帰っていないんだったか……。
『その声は……ペパー。
そこにいるのか?』
「……………。」
『ずっと……ずっと連絡をとりたかった。
……君以外に研究所に入れる人間がいなくてね。』
「……はぁ?」
「博士……そんな言い方は……。」
『確かにすまないとは思っている……だが頼みがある。
全員と共にコサジの小路の灯台にある研究所に行ってくれ。』
『キミ達が目的地に着いたらまた連絡する。』
俺はここで話を切らしてはならないと感じた。
ここで切ってしまったらもっとこの家族の関係が拗れてしまう。
俺はそう思って今まで思っていた疑問を一つぶつける事にした。
「お二人共……一つだけ聞かせてください。」
『なんだね?』
「前々から疑問でした。
お二人は……もしかしたらパルデアの大穴から帰りたくない等ではなくそこから動く手段が無い、もしくは動くわけにはいかなくなった……そういう状況にあるんじゃないですか?」
「ッ!!おい!それは一体……ッ!!」
『…………これに関しては実際に来て見て貰いながら説明したい。』
『本当にすまないと思っている、これの続きは次にさせてくれ。』
そう言って博士達はヴィオのスマホロトムとの通話を切断した。
この反応……やはり当たりか。
「ライズ……前々から疑問だったってどういう事なんだ?」
「そうだよ、確かに私達もずっとペパーに会いに来てないのは何でだろうって思ってたけど……。」
「…………。」
ヴィオだけはなにか思い当たる節があるみたいだな。
「まず一つ目の疑問……なぜ帰らないのかという所だ。
これに関しては消去法で考えれば『帰りたくない』もしくは『帰ることが出来ない』、『帰る訳にはいかない』の三つが選択肢に上がる。」
まぁこれはかなり単純な推理だ、だが今までの旅を考えてみると色々とパルデアの大穴に対する疑問点が出てきたんだ。
「まず一つ目の『帰りたくない』、こっちに関してはまぁあり得ない訳じゃないだろうが可能性は低い方だとは思ってる。
それにこっちは考えれば考えるほど沼に嵌まる話になるから深掘りはする必要がないから除外。
二つ目の可能性である『帰る事が出来ない』、こっちについては色々な原因が考えられる。」
「うーん、帰る手段を失ったとかそういう話?
エレベーターか何かに異常が起きて大穴から出る手段が無くなっちゃったとか。」
「…………確かあそこはテレポーターが設置してあった。
その手の異常が起きたのならたぶん地上の方だ。
エネルギー源とかは大穴の中にあった気がする。」
「でもおかしくない?上の方で異常があるなら他の人が気付くなりするはずだよね?」
そう、そこが俺がこの可能性に対して疑問に思った事だ。
少なくともさっきみたいな形で連絡出来るなら他の人に頼むなりして上を復旧させるなり出来るはずだ。
それにペパーにそれが伝わってないのもおかしい話だ。
「あぁ、だからこそ三つ目の可能性だ。
『帰る訳にはいかない』、俺はこっちの可能性が高いと思ってる。
テツノワダチやイダイナキバのようなパラドックスポケモン、ひでんスパイス。
たったこれらが一つが大穴から出た時点ですでにここまでの騒ぎになってるんだ。
特にパラドックスポケモン……もしかしたら二人はそいつらを大穴から出さないように抑えてるんじゃないか?」
「…………。」
ただ正直俺としてはまだ引っ掛かってる部分が多い……これにしたってチャンピオンなりに伝えて支援して貰うなりやりようはあったはずだ。
「…………どうだろうな。」
ペパーはただその一言だけ言ってピクニックセットの片付けをし始めてしまった。
やはりペパーとしても納得しきれる話じゃないか……。
「…………本当にアンタ達なのか?」