ライズ視点
~テーブルシティ近辺上空~
俺達はマジボスとの最後の戦いに向けてテーブルシティまで戻っていた。
この調子なら学校に到着する頃にはちょうど良い時間になるだろう。
するとテーブルシティまで移動している途中であきれた様子のヴィオが話しかけてくる。
「それにしても……用意周到すぎないかしら?」
「なにがだ?」
「この荷車……荷車?のことよ。
いつの間にネクロズマに装着出来るように改造してたのよ。」
「ん?あぁそういうことか。
それなら話は簡単だ、最初からだよ。」
レティとヴィオの二人は今俺の荷車に乗っており、その荷車はネクロムの腕に装着されるような形で変形して吊り下げられた状態でテーブルシティまで飛行している。
「元々着想を得たのはそらとぶタクシーだがな。
元々この荷車はネクロムに運んでもらうように作っていたものなんだよ。
幸い姿が変わった後でも軽く微調整して問題なく装着できたから助かったがな。
こっちのアカデミーに入る頃にはまだアローラに置いてきてたんだがガーグァを拾ってからはちょうど良いから送って貰ってたんだよ。」
「あぁ……そういうことね。」
ヴィオは何か納得したような表情をしてからまた呆れたような表情へと戻った。
「へぇ……通りでネクロムはまたライズ君と一緒に旅が出来る事にこんなに喜んでるんだ。」
「クロロマッ♪」
「あぁ、元々旅とかはこいつと一緒に行こうと思ってたからな……俺もまたこんな形で旅できて嬉しいよ。」
こうしてしばらく雑談をしながら時間を潰しているとすぐにテーブルシティが見えてくる。
ちょうど外も暗くなってきたから到着した頃には良い時間帯になるだろう。
すると何かを見つけたのかレティがアカデミーの方を指差した。
「あれ?校長先生が入り口にいるよ!!」
「ん?あの特徴的なリーゼントは確かに校長だな。」
「一体どうしたのかしら……とは言うまでもないわね。」
「ネクロム、あの人の前に一旦下ろしてくれ。」
「シカリ。」
ネクロムは俺の指示を聞いてゆっくりと高度を下げて降下位置を調整していく。
地面へと到着してから俺はネクロムに装着しているパーツを解除して荷車を元の状態へと戻す。
「よう、三人とも。」
「校長先生……?」
「おっと……今の俺はネルケだ。
いや……お芝居はそろそろ閉幕だな。」
何を言っているんだこの校長先生……。
「今こそ三人にオレの正体を明かそう……ハッ!」
すると校長先生は制服に手をかけて放り捨てて変装を解いた。
「今まで身分を偽っていてすみません。
実はネルケはアカデミー校長……クラベルだったのです!」
「「「…………最初からバレてましたよ?」」」
俺達は思わず同じ言葉をハモらせてしまう。
いやまぁ……そりゃな。
「えっ!?校長ショック!完璧な変装だったはず……!」
「色々と細かい所でボロ出しすぎですよ……。」
「ちょいちょい元の校長先生の部分出てたもんね?」
「というか後半もはや隠す気も無かったですよね?」
「…………確かによく考えたらネルケ中何度か校長の素が出てたので仕方ありません。
しかし驚くべき事実はまだ残ってます。
私こそがスター団マジボス……カシオペアだったのです。」
…………。
「いや、物理的に不可能です。」
「最低でも誰か協力者居ないと無理ですね。」
「えっと……その……ごめんなさい。」
何がしたいんだこの校長……。
「いやいや本当ですよ!
カシオペアとの電話もあらかじめ録音した音声をこう……なんか上手いことやっていたのです!」
それでヴィオの意味不明な着信音に反応するのは不可能なんだがな……どのタイミングで何が鳴るかはヴィオ曰く完全ランダムらしいし。
「さぁ三人共!マジボスである私と最後の決闘を始めましょう!!」
そう言ってかなり無理矢理ではあるが校長は勝負を仕掛けてくる。
………が正直付き合う理由がない。
「ヴィオ、ここ任せてもいいか?」
「え?ええ、別にいいけど。」
「へ?いや……あのちょっと……っ!?」
「はぁ……まぁライズから頼まれたしここは私が付き合いますよ校長先生。」
俺はレティを連れて校長先生を無視して校内へと突入する。
止めようとした校長はヴィオが足止めしてくれたから問題はない、だがとりあえず保険はかけとくか……。
「レティ、タイム先生を校長先生とヴィオの所に連れていってくれ。」
「へ?うん、分かった!ライズ君はどうするの?」
「俺はカシオペア……いや、アイツと決着をつけに行くよ。」
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~アカデミー校庭~
俺が校庭へと入り、カシオペアと思われる奴を探していると後ろから声をかけられる。
「ライズ……来てくれたか。」
そこにはフードを被り、イーブイのバッグを背負った俺達のよく知っている人物がいた。
「レティとヴィオはどうしたんだ?」
「ヴィオは何故か喧嘩を売ってきた校長を足止め中、レティにはタイム先生を呼んできて貰ってるよ……ボタン。」
「…………そうか、君はやっぱり分かっていたんだね。」
ボタンはフードを外して素顔を見せる。
「いつから分かってたんだ?」
「シュウメイを倒した辺りでもう予想はついてたよ。
ただ単純に消去法で考えたら当てはまるのがボタンしか居なかったからな。」
「…………お前の考えていた通りわたしこそがマジボス……そしてカシオペアの正体だ。
学校前でしたっぱを倒したライズの強さを見てスターダスト大作戦を思い付いたのだ。
わたしの力さえあればLPなど湯水のごとく増やせる。
報酬があれば乗ってくると思ってな。」
なるほどね……。
とはいえ何故か毎度毎度ヴィオのとこなのかは……まぁ予想は出来るし言わないで置くか。
「補給班としてずっと動向を見張っていたぞ。
あとはわたしを打ち負かせばスター団は完璧に終わる。
……その為に動いて貰った。」
そしてボタンはなにかを惜しんでいるような顔をすると懐からボールを取り出して構える。
「だが同時にスター団を終わらせたくない気持ちもある!
やすやすと負けるわけにはいかない!
最後の勝負……準備は出来ているか?」
「あぁ……その為に俺はここに来たからな。」
「……感謝する。」
俺はスマホロトムを配信モードに切り替えて
「これで準備は整った。
これで勝負を全団員に通達出来るはずだ。」
「そうか……ありがとう。」
配信をオンの状態にしてから俺達はすぐにバトルフィールドのトレーナーのスペースへと向かう。
「……改めて名乗っておこうか。
わたしがスター団マジボス"カシオペア"……ではなくボタン!
……マジボスの力の前に頭を垂れてひれ伏すがいい!!」
「アナザーポケモン研究第一人者……ライズ。
決着をつけるぞ!スター団!!」