未来と古来と異界のポケモン   作:クロマ・グロ

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少年と双子と再会

 

 

 

ライズ視点

 

 

~エリアゼロ『濃霧の密林』~

 

 

 

俺達は周囲を警戒しながら密林を進んでいく。

 

霧が濃く、周囲に巨大植物が無数にあるために視界はかなり悪く、正直索敵は完全にポケモン頼りになっているのが若干情けないがあることを試した結果面白いことが分かった。

 

実は先程ヴィオがポケモンボックスアプリで『きりばらい』を覚えたポケモンを出して使ったのだが何も効果が無かったのだ。

 

一瞬だけ晴れはするがすぐに他の場所から補充でもされるように。

 

そして俺自身はこの森に入ってから誰かにずっと見られている気がするが何か懐かしい気配がしていた。

 

「…………やっぱりなにもかもが見覚えがある。」

「旦那さん、旦那さん。

良いものがあったにゃ!」

 

はぐれないように固まりながら歩いているとニャンターが何かを見つけたようで一瞬離れてから何やら青いキノコと葉っぱを取ってくる。

 

だがこれにも見覚えがある。

 

するとまたチクリと頭が痛み記憶が流れてくる。

 

視点がかなり低い……おそらく3~4歳頃の記憶。

俺の視界の前では紫色の鱗のある革から作られた魔女のような姿をした女性が何か俺に見せては磨り潰している。

 

『坊や、これはアオキノコと言ってそれなりの治癒効果を持つ物よ。

でもこれだけだと治癒効果はそんなに高くないからこうやって薬効成分の高い薬草と混ぜて磨り潰して治癒効果を高めてから薬効成分と治癒の成分のみをこうやって抽出する。

 

そうすると森の外にいるハンター達が皆作っている回復薬になるんだ。』

『…………さん、かいふくやくってもっとすごいのとかある?』

『ふふ、良い質問ね。

例えばこの回復薬にこれを混ぜたりなんかすると薬効成分と治癒の成分が強くなるんだ。

ほれ、舐めてみなさい?』

 

彼女は優しい笑みを浮かべながら何かを掬ったスプーンを持って俺に差し出してくる。

 

『あーむ…………あまい、ハチミツ?』

『あらま、知ってたのかい?』

『アオアシラさんがこのあいだもってきてたべさせてくれた。』

『相変わらずだねぇ。』

『ダメだった?』

『いいや、坊やはやっぱり自然に愛されてるんだなぁってね。』

 

彼女は微笑みながら俺の頭を撫でている。

 

アオアシラって確かアオキさんが捕獲していたアナザーポケモンだよな、というか自然に愛されてるってどういうことなのだろうか?

 

『坊や、お前は本当なら人間の世界で暮らす方が……。』

『や、にんげんはオレをきらう。

いみごだっていうもん。』

『人間や竜人の全てがそう言うわけじゃないのよ?

あの村ではモンスターとの意志疎通が出来る坊やが恐れられてたってだけで……。』

『それでもいや、オレのかぞくはこのもりのみんなだもん。

それに…………さんがいないとさみしい。』

 

彼女は困ったような顔をしながら嬉しそうにしている。

 

それにしてもいみご……忌み子か。

だがモンスターとの意志疎通……?どういうことなのだろうか?

 

『困った坊やだね。

でも……ありがとうね。』

 

逆流する記憶はここで途切れた。

 

すると気が付いたら俺の目から涙が流れていた。

 

「ライズ君?」

「旦那さん、大丈夫にゃ?」

「いや、大丈夫だ。

悪いな、少し……大切だったと思う記憶を思い出していた。

先に進もう。」

 

俺は皆の心配を他所に進んでいく。

 

心配してくれている皆には申し訳ないが俺にはそれよりもこの記憶がこの場所と関わっていないとは思えなかった。

 

よく考えればあの記憶で見た景色……家窓から見える景色も霧がかかっていた。

 

もしかしたら記憶にいたあの人本人がいるのかもしれない。

 

そう思いながら進んでいく。

 

するとほんの少しだが目の前の視界に違和感を覚える。

 

「…………?景色が歪んでいる?」

「っ!!」

 

ヴィオが俺の言葉を聞いてから一気に顔を引き締めた。

 

やはり目の前にいると思われるポケモンの正体に気付いているらしい。

 

景色の歪みは少しずつ奥へと進んでいく。

 

どうやらついてこいと言っているようだ。

 

「向かおう。」

「…………気を付けなさいね?」

「あぁ、姿も見えないから何があってもおかしくはない。

…………だが俺にはあの人が急に襲ってくるとは思えない。」

 

あの人……人?俺は何を……?

 

「あの人?ポケモンじゃないの?」

「…………俺は……あの人を知っている……!」

 

俺は自分の衝動に任せて彼女(・・)を追いかけるように走っていく。

 

「ちょっ!?」

「ライズ君!?」

「なにやってんだ!?」

 

後ろから皆が声をかけながら追いかけてくるが今の俺にはそれを気にする余裕が無かった。

 

しばらく彼女を追いかけ続けていくと観測ユニットにたどり着いた。

 

透明化してはいるが目の前にいるのがちゃんと分かる。

 

「居るんだろ?居るなら姿を見せてくれ、義母さん。」

『…………全く、相変わらず困った坊やだ。

もうそこまで思い出すなんてね。』

声がどこからともなく聞こえてくると同時に目の前の歪んだ景色がどんどん色付いていく。

 

紫色の鱗を持った分厚い外皮にカクレオンのような構造を持った瞳、分厚く横に広がるような構造の尻尾。

 

唯一記憶と違うのは角、胸部、翼の一部、尻尾の先端などに傷跡のように白い痕があるくらいだ。

 

だがこれだけで見間違う訳がない。

 

『大きくなったね……ライズ。』

 

彼女は俺を拾って育ててくれた人達の一人……オオナズチだ。

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