しばらくはオオナズチの回想が続きます
オオナズチ視点
~過去の回想~
私があの子を見つけたのは今から十何年も前……ちょうどあの子が生まれた日に直ぐ様直感で感じ取った。
私はオオナズチという種の古龍の中でも特に長く生きている個体であり当時は
あの方はおそらく最初からこの周辺にあの子が生まれるというのを知っていたのだろう。
生まれてからしばらくした後に様子を見に行くと遠目から見た限りでは普通の家庭に生まれた普通の人間の子供に見える。
だけど彼の中にほんの少しだけ竜人の血が流れているのを私はすぐに見抜いていた。
だけど彼の竜人としての要素はほんの少しだけ耳が尖っているように見えなくもない程度であり、実際人間とほぼ変わらない程度。
両親は完全に人間のようなので恐らく先祖返りに近いのだろう。
なんの変哲もない普通の人間の子供……でも何故かあの子を見ていたいと思ってしまうのだ。
「だぅあ……あぁい!」
無邪気に笑みを浮かべながら家族と接しているあの子を見て私はこれ以上近づいて下手に騒ぎになられても不味いと判断したのでその日は森へと帰る事にしたのだった。
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数日後の夕方、私は妙に森が騒がしいのに森のモンスター達が特に狩猟などを行うような音や気配も無いことに違和感を感じた私は姿を消してバレないようにして森の異変の原因へと向かっていくことにした。
森と平原との境目付近、そこが騒ぎの中心だった。
それと同時に様々なに鳴き声が聞こえてくる。
ただ私はその鳴き声の中に明らかおかしいのが混ざっていることに気付く。
ランポスやアオアシラ、ケルビ等といったモンスター達の鳴き声に加えてイビルジョーの鳴き声までするのに全く戦闘が起きていない。
あまりにも不自然に思った私はその場所に向かうと驚くべき光景を目の当たりにする。
「きゃっきゃっ!」
「ぐぉう!」
「グルル……。」
「ギャァァ!」
そこにはランポスの背にのった見覚えのある人間の子供がアオアシラの幼体と笑顔で遊びながらイビルジョー、親のアオアシラ等に見守られているという明らかに異常な光景だった。
イビルジョーにいたっては見る限り満腹によって飢餓から解放されているようには見えず、明らかに異常な光景だった。
そして私はこの光景を見て数百年前に聞いたことがあるとある存在を思い出した。
『龍の愛し子……。』
これはこの世界においてごくごく稀に生まれる存在であり、自然やモンスター達に愛されるという特性を生まれもつ特殊な存在だ。
確か私が聞いたことがある例ではとあるライダーの集落で生まれた龍の愛し子はその村で御子として崇められた程にモンスターとの意志疎通や狂暴な個体の襲撃を押さえるなどをしたらしい。
だが人間の赤子だけがここにいるのもおかしいと思った私は周囲を見渡してこの子の関係者が居ないか探し回ったが見つからない。
それどころかあの赤子が入りそうな籠がモンスター達のすぐそこに捨ててあるのを見つけてしまった。
『捨てられた……?人間に害を及ぼすどころか利益しかもたらさないような龍の愛し子を……?』
この時の私には全く理解出来なかった。
だけど後にあの方からの話を聞いて納得したくはないが理由は分かってしまった。
人間という種族は異端を嫌う。
モンスターが攻撃性を失いあまつさえ人間の赤子に庇護欲を感じている姿など人間からすれば異常にも程がある光景である。
そしてあの村……いや、この世界ではまだ乗り手たる"ライダー"の存在は世に知れ渡っていない上にモンスターは基本的には危険な存在という扱いだ。
だからこそこの子はこの森に捨てられたのだそうだ。
そして捨てられた赤子を哀れに思った私は自分自身でも何を思ったのか巣まで赤子を連れて帰り世話をすることにした。
イビルジョー達が着いてきたのには驚いたがまずはこの子の食事をどうするかで最初に悩む。
人間の赤子……それも生まれて間もないこの子にはまだ普通の食事をするような力はない。
そうなると乳を飲ませるしか無いのだがこの森にはまだ繁殖期を向かえて乳が出るモンスターは居なかった。
居たのならこの子を見せてやれば庇護欲を刺激されて協力してくれたのだろうが仕方ない。
私はあの方から教わった古龍の血の力を使った竜人への変化を用いて竜人の女性の姿へとその身を変える。
「あまり変化した肉体を作り替えるのは身体の負担になるのだがこの子を死なせるよりはマシか……。」
私は竜人化した肉体の構造を作り替える事で乳が出るようにしてこの赤子に与える事に成功する。
これでひとまず最低限育てることが出来るわけか……。
「人間の赤子を育てる……か。
あの方に一度お会いして話をしてみた方が良いかも知れないな。」