オオナズチ視点
~過去の回想~
"あの子"を拾ってから数ヵ月が過ぎた。
時間の流れとは早いものであの子は既にどこにも捕まらずに普通に立てるくらいには成長していた。
「かーしゃ!かーしゃ!」
「どうしたんだい?」
あの子には私の事を母さんと呼ぶように教えているがまだ単語を覚えて連呼する程度で真似をする程度な為か私への呼び方は母さんではなくかーしゃになっていた。
最後に"ん"がついてたら言うことなしだがこれはこれで可愛いのでよしとしよう。
「あい!」
するとあの子はどこから拾ってきたのかこの森ではあまり見かけないマンドラゴラを拾ってきていた。
割と本気でどうやって見つけたのか気になったが答えは割とすぐ近くにいた。
「プギッ!」
…………あれ?この森ってドスプーギーいたっけ?
何処から来たのか等謎はあるけどあの子の近くでドスプーギーがあの子の事を見守りながら待っており、おそらく見つけて来たのはこのドスプーギーなのだろうというのが分かった。
「それは"マンドラゴラ"よ。」
「まんどら……?」
「そ、マンドラゴラよ。
よく見つけたわね、えらいえらい。」
「えへへ……。」
今思えばこの子は頭脳的な成長が他の人間達に比べるとかなり早かった気がする。
この子に単語をいくつか教えた辺りからこの子の成長の早さを実感した。
この子は分からないものがあるとなんでも拾ってきてはわたしに渡してくる。
ホントにいろんなものに興味を持つ子だったわ。
~さらに数ヵ月後~
あの子を拾ってから早いもので一年の時が過ぎた。
ただ知識に対してあまりにも貪欲なこの子はあっという間に簡単な会話なら普通に出来てしまう程に成長をしていた。
ただ毎回若干不安なのは外に遊びに行かせると毎回変なのが着いてくることだろう。
この間なんか何処で見つけたのか傷ついたリオレイア希少種の子供まで拾ってきた。
流石に傷を負ったリオレイア希少種をそのままにするわけにも行かないので最低限の治療だけ行ってあとは自然治癒に任せた方が良いだろう。
なんだかこの子ってば妙に運が良いとでも言うのかしら?
まぁやさしい子に育ってくれてて私としては嬉しい限りね。
ただちょくちょくイビルジョーの背中に乗って散歩するのだけは控えて欲しい……あれは見ているとどうしても肝が冷える。
それでも……。
「おかーさん!あげりゅ!」
「ふふっ、ありがと。」
こういう何気ない1日っていうのもなかなか悪くないものね。
この子が森に来てからとほんと退屈しなくなったわね。
~更に1年後~
何処から噂を聞き付けたのか知らないけどついち"あの方"があの子を見に人の姿でやってきた。
「この子が噂の子だね。
うん、確かにこの子の魂には覚えがあるよ。」
「おねーちゃん誰?」
「ふぐっ……良いわねおねーちゃんって響き。
私の事はそうね……便宜上シロと呼んで頂戴。」
私としてはロリババアが何言ってるとでも言いたいけど言ったら最後殺されるか良くて8割殺しなのが目に見えてるので言わない。
「分かった!シロおねーちゃん!」
「んんっ!」
この子が可愛いのは分かりますけどホントに自重してくれることを願いたい……この方は思い付きで行動することが多いせいで何度かやらかしてるし。
しばらくシロ様があの子の相手をしてあげてあの子が疲れて眠った辺りでようやく本題に入る。
「さて、今日ここに来た要件なのだけど……この子、今の時代の人間達と関わらせるべきではないわね。」
「それはどういう事でしょうか?普通の人間達やハンター達ならともかくライダーの隠れ里ならそこまで大きな問題にはならないかと思うのですが……。」
するとシロ様を首を振って否定する。
「この子の生まれ持った力はあまりにも強く出過ぎているわ。
自然やモンスターに愛される……確かに私の与えた祝福ではあるけどこの子はそれが強すぎて古龍すらも引き寄せる。
そんなこの子を今の閉鎖的なライダーの里になんか預けたら自由はほぼ無くなるでしょうね。
せいぜい崇められるのがオチよ。
それに今はライダー側にも問題が起こり始めててね。
あと2~3年もすれば黒の狂気が甦るしハコロ島の禁足地で眠りについていた"あの子"ももう目覚めかけてて既に各地に根を伸ばしているわ。」
…………確かにその情勢を聞く限りライダーの里に置いておくのはちょっとどころかかなり難しい。
「まぁでもこの子をずっと私達モンスター達の間で育てるのも少しどうかと思うしやっぱり人間社会での生活は一度くらいは経験させておきたいわ。
少しこっちの方でも方法は検討してみるから今は母親代わりとして頑張りなさい。」
「分かりました。」
古龍である私が人間の親代わり……よくよく考えればこんなのを龍歴院なんかにバレたらちょっと面倒な事になりそうね。
ちょっと窮屈だけどしばらくはもとの姿に戻れそうにないわね。