未来と古来と異界のポケモン   作:クロマ・グロ

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少年と双子と家族

 

 

 

ライズ視点

 

 

~エリアゼロ『密林地帯』~

 

 

 

俺は母さんが語った話を聞いていくにつれてどんどん過去の記憶が逆流していた。

 

お陰で記憶の半分くらいが戻ってきたがまだ記憶は虫食いだらけの状態だった。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……。」

 

やっぱり記憶を取り戻す際の頭痛がかなり酷いな。

それだけ俺の記憶に関する枷は強力なのか?

 

それとも急激に記憶を取り戻しつつあるせいで身体が持たないのか?

 

すると何かが地面を掘り進むような音と共に懐かしい気配がする。

 

「うぉ!?なんだなんだ!?」

「なんかが下から来る!」

「見たこと無いポケモンかな!?かな!?」

「ネモはなんでそんな興奮してるのよ!?」

 

すると地面からひょっこりとイビルジョーが顔を出した。

 

「グォ。」

「うわぁ!?びっくりしたぁ!?」

「あれ?このポケモンって……。」

「ちょっ!?ネモ!?ステイ!ステイィィ!?!?」

「グフッ……。」

「…………。」

 

ちょうどレティの目の前に現れたイビルジョーは周りを見渡し、俺を視界に納めた途端に全身を地面から出して俺に近付いてくる。

 

ちなみにヴィオは何故か吐血しており、ネモはペパーに羽交い締めにされている。

 

ネモはホントに懲りないな……。

 

「グゥゥウ。」

「久しぶりだな……また会えて嬉しいよ。」

「グァウ。」

「いててて、牙が刺さる刺さる。」

 

イビルジョー……いや、ジョーは俺の身体に自分の顔を擦り付けるように甘えてくる。

顎の部分にびっしりと生えた牙が痛いが俺はそれすらも受け入れる。

あぁ……懐かしい……ホントに懐かしいな。

 

「なぁジョー。」

「グルル?」

「…………俺と一緒に旅をしないか?

この世界だとお前と同じような飢餓とまでは行かないが尋常じゃない食欲をもったポケモンも結構いてな、そのポケモン専用に作られた食べ物なんかがあるからお前の飢餓感をほとんど無視できると思うんだ。

前の世界にいた時はジョーは飢餓感を必死に我慢してたんだろ?」

「…………グルル。」

 

やっぱり……おそらくだがあんまり肉とかも好んで食べなかったんだろうな……主に腐肉や葉などで飢餓をギリギリで押さえてたんだ。

 

「ここならお前を何度も腹一杯にしてずっと暮らせる。

どうだ?」

「…………!グァウ!」

「ハハッそうかそうか。」

 

俺はバッグをあさってこいつに合いそうなポールを探す。

 

こいつをいれるならどのボールするべきか少し迷うな。

 

そんな時ある記憶が俺の中に逆流する。

 

ある日の夜……俺が捨てられた日……。

 

俺を最初に見つけてくれたのはこいつだったんだな……。

 

そしてちょうどその日の夜は綺麗な三日月だった。

 

「これだな。」

 

俺はバッグからムーンボールを取り出してジョーへとスイッチを向ける。

 

「俺と一緒に来るならこのボタンを押してくれ。

また前みたいに……家族みたいに一緒に遊ぼう!」

「グァァアウ!!」

 

ジョーはボタンへと勢い良く頭突きしてボールの中に入っていく。

 

そしてすぐにカチッという音がして俺のポケモンに加わった。

 

とりあえず手持ち数がオーバーしてしまうので一旦第二の故郷ともいえるアローラの牧場にアグナコトルを送った。

 

「出てこい!ジョー!」

「グォォォォォォオオオ!!!」

 

俺はひとまずジョーの飢餓感を押さえるためにカビゴン専用ポケモンフーズ『超超超超超超カロリー大盛りペタマックス』を取り出してジョーへと渡す。

 

「そいつを食べてみてくれ。」

「グォ?…………ッ!グォォオオオ!」

 

どうやら一瞬で満腹になったらしい。

 

なおこのポケモンフーズは一粒でカビゴンのお腹の大半を満たし、食べるフーズの量を一般のポケモンと同じレベルにまで引き下げられる程のとんでもない効果を持っている。

 

基本的に俺のポケモンはみんな身体が大きいからこれを粉末状に砕いて軽くまぶしてるんだよなぁ……そうでもしないと食費がバカにならないし。

 

まぁジョーの場合軽々と10粒行ったからこいつの飢餓がどれだけ恐ろしいのかが良く分かる。

 

ついでに何をどれだけ食べさせたのか理解しているのかペパーが顔を青ざめていた。

 

「お、おい……マジかよ?あれを10粒って……。

どんだけ腹ペコちゃんなんだこのポケモン。」

「とりあえず推定でカビゴン10匹分だな。

これがあるからこのポケモンの種族は常に飢餓感に襲われて狂暴性が高い個体が多いんだ。

それにその代償というべきか恩恵と言うべきか尋常じゃない強さを誇るんだ。

お陰で俺の故郷じゃ生態系がいくつか壊滅した。」

 

俺が思い出した記憶だけでも人間の村だけでも数十、さらにモンスターの群れだけでも数百が消えてたんじゃなかったっけな。

 

「そうね……でもこの子達は過剰に増えすぎた生態系を一度破壊して正常に戻すっていう役割もあるのよ。

 

たまに飢餓に苛まれ過ぎて私達古龍でも相手したくない程の覚醒する子がちょくちょく出るけど。」

 

…………そういえば母さん達古龍ってジョーの持つ龍属性がめちゃくちゃ苦手なんだっけか。

 

 

 

 

 

 

…………それ出てきたらどうやって止めるんだこれ?

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