ライズ視点
〜エリアゼロ(最深部)〜
「ギャスス……。」
「ギャァァ……。」
明らかにミライドンとコライドンがあの二匹に睨まれてからかなり気力を失っている。
「え?なんか……感動の再会?
意外とあっさりだったね。」
「いやどう見ても!違うでしょ!
バチバチカチ込み!一歩手前!だったから!」
「え!そうだったの!?」
「ボタン、ネモにツッコミを入れたい気持ちは十分分かるがそんな大声出してるとパラドックスポケモン達が寄ってくるぞ。」
「あっ、ごめん……。
でも二匹もほら怯えちゃってる……。
仲間じゃ無いのかも?」
まぁどう見ても上下関係が出来ているな。
この怯え方は一度叩きのめされないと基本的にならない。
「アイツらなーんかヤな感じだったな……。
えっと……おい!気にしなくていいぞ!
オマエがバトルフォルムになれればあんなヤツ……!」
「いや、おそらくそのバトルフォルム同士での戦いでこいつらは一度完膚なきまでに叩き潰されてるんだろう。
少しでも拮抗していたならもう少し対抗心が出てもおかしくはないがその様子もないとなると手も足も出なかったんだろう。」
実際あの二体には大きな傷跡らしい傷跡は何一つ残っていなかった。
この世界の傷薬だって完璧じゃない。
完全に傷痕を消し切るなんて事は不可能だ。
「キュウス……。」
「キャウ……。」
「あ、すまん……。」
「博士が言ってた危険なポケモンって。
もう一匹のミライドンとコライドンも含まれるのかな。」
「竜騎兵が飛び抜けてヤバいのは間違いないけどあの二匹からもオストガロアやネモのバルファルク並……つまり古龍クラスの威圧感を持っていたわ。
少なくとも戦力を一時的に三手に別れる必要がありそうね。」
「えーっと?博士は中から出てくるって言ってなかった?」
「中から。」
俺はその瞬間とてつもなく嫌な考えが頭を過った。
よく考えて見ろ、このパラドックスポケモンはそもそも何処から呼び出されているんだ?
このエリアゼロを見て回ったがやはりウルトラホールや似たような類の異界への門等は見受けられなかった。
ならこいつらは何処から現れているのか……そして何故ここの研究を始めてからこれらパラドックスポケモンが現れるようになったのか……。
「まさかパラドックスポケモンが現れている次元の穴はこのゼロラボから開かれている?」
「「「「っ!?!?」」」」
「?」
「…………。」
俺の呟きから俺の考えていた最悪のパターンをヴィオ、レティ、ボタン、ペパーも考えついたのか青い顔をする。
「…………あぁ、思い出した。
そうだよ……アイツらが現れたのはこのラボからだ!」
「ねぇ、ゼロラボが複数のロックで完全に封じられてたのって……。」
「……うん、どう考えてもそうだと思う。」
「それって……。」
俺たちは開かれたゼロラボの入口に視線を向けると内側から凄まじく大量の足音が聞こえてくる。
これは……少なくとも100匹近いな。
「キャシャンキャシャン!」
「ウィル・ドンファァァァア!!」
「ズッ!ズッ!」
「キキキ……。」
「ぶりゅぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!」
「ファァァァァァァァァァンド!!!」
「グルァァァァァァァアアアアア!!!」
中からやはり大量のパラドックスポケモンが現れてくる。
だがその中から飛び抜けてヤバい気配が6つ感じられた。
「オイ……なんの冗談だよ……!」
「テラキオン、コバルオン、ビリジオンの三闘士にエンテイ、ライコウ、スイクンの三犬のパラドックスポケモン!?」
「そいつらって確かイッシュ地方とジョウト地方の伝説の……!?」
テラキオン、コバルオン、ビリジオンに似た三体は明らか機械のような見た目ではあるが研ぎ澄まされた剣のような威圧感を……そしてエンテイ、ライコウ?スイクンの三匹は荒々しい野生のような威圧感を放っている。
「それにしても……ライコウだけ方向性おかしくない?」
見た感じ全身にびっしりと生えた鱗から推察するに……おそらくは三犬はドラゴンタイプだろう。
三闘士に関しては奇怪なような身体のせいで鋼タイプに見えるがこの三匹から感じられる力はどう考えてもサイコパワーのそれだ。
ネクロムと繋がるような感覚を得てからこの手の力は見るだけで分かるようになってきたのが幸いだった。
「ヴィオ!テラキオン、コバルオン、ビリジオンはおそらくエスパータイプ!エンテイ、ライコウ、スイクンはドラゴンタイプだ!」
「つまりタイプはそれぞれ『いわ・エスパー』、『はがね・エスパー』、『くさ・エスパー』、『ほのお・ドラゴン』、『でんき・ドラゴン』、『みず・ドラゴン』って所ね。」
「…………皆、ここは私に任せて中に急いで。」
「ネモ……ん?」
ネモは目をキラッキラさせながらこの6匹を見ている。
「この6匹以外は正直範囲攻撃で蹴散らせそうだし何より私が戦いたい!」
…………。
「行きましょうか。」
「まぁこいつの事だし余程の事が無ければ負けないだろう。」
「ネモ……。」
「うわぁ……。」
「戦闘狂って……。」
アオキさん以外の全員がネモに対してドン引きしているが実際コイツの実力なら少なくとも負けることは無いだろうという謎の確信があった。
俺達は最終的にネモをスルーしてそのままゼロラボへと入っていくのだった。