ライズ視点
〜エリアゼロ(ゼロラボ)〜
俺達はゼロラボの内部……というかパイプのような場所を進んでいく。
あれだけの量のポケモンがこの中に入り切っていた為にそこそこの長さなのは予想していたがやはり外から見たゼロラボは施設の極一部に過ぎなかったようで、実際のゼロラボはもっと大きそうだ。
時折背後から大量のポケモン達の悲鳴のような声がめっちゃ聞こえてくるが俺達は全員遠い目をしながらスルーする。
しばらくパイプの中を進み続けていると無理矢理外側から破られたように作られた出口が見えてくる。
「ここは……研究所か?」
「なんかすごいのが沢山ある……。」
「この資料……確かペパーの家にもあったような気がする?」
「ん?あぁ、確かにこんな感じのがあったな。
ってかよく覚えてるなオマエ。」
「あっ!みんな!」
俺達はボタンの呼ぶ声に反応して彼女が指差す方を見る。
するとそこには椅子に座り、目を開いたまま眠りについているようにも見えるフトゥー博士とオーリム博士の二人がいた。
「ゼロラボ内に人体反応を検知。」
「スリーブモードを解除します。」
スリーブモードか……予想はしていたがやはり人じゃなかったか。
そして二人は目を青く光らせ、急に立ち上がり始める。
「ハロー子供たち。」
「よくぞ来てくれた。」
「「グォォォォン!!!」」
すると先にゼロラボに入っていたミライドン、コライドンの別個体達が俺達を見るなり威嚇しながら現れる。
こいつらはやはりこのゼロラボに対して縄張り意識を持っているのか?
すると博士達はマスターボールを取り出した。
「「戻りなさい。」」
博士達がマスターボールを起動するとミライドンはフトゥー博士のボールに、コライドンはオーリム博士のボールに収まった。
どうやらあの二匹は二人のポケモンだったようだ。
「博士があの二匹の……。」
「申し訳ない。」
「キミらが連れている個体より凶暴でね。」
「キミらのミライドン、コライドンがエリアゼロから逃げ出したのは縄張り争いに負けたからなのだ。」
「やっぱりですか。」
「……やはり君はこのエリアゼロに来た当初から気付いていたみたいだね。」
「アギャギャス……。」
「ギャァァ……。」
ここまで場所そのものに怯えを覚えるとなると何かしらトラウマがある場所と考えるのが自然だ。
そして二人から聞いた二匹の状況から争いに負けたのは明白。
この2つの状況から予想出来る事態はそう多くはないからな。
「我々は君達に……特にペパー。」
「君に謝罪しなければいけないことがある。」
「我々は本物のフトゥー博士とオーリム博士ではない。」
「…………やっぱりか。」
「出来るだけ誤魔化したつもりだったがやはり気付かれていたようだね。」
「バレバレなんだよ……。」
まぁ特に第四観測ユニットの辺りになった時があまりにも露骨だったしな。
「我々は博士達が自身の知識と記憶を元に作った人工知能。
……AIで動くロボットなのだ。」
「第四観測ユニットでの事故で本物の博士は居なくなってしまった。」
「ッッッ!?!?」
「一体……何が……。」
博士は淡々と事実を告げていく。
「ポケモンに罪はない。
オリジナルの博士はその力を見誤ったのだ。」
「身を挺して守ったミライドンとコライドンが元気であれば博士も本望だろう。」
「もしかして二人が俺達をこの二匹が回復するようにスパイスを集めさせていたのは……。」
「あぁ、博士が守ったこの子達が弱り続けていくのを我々は許容出来なかった。」
…………人工知能と言うには余りにも感情に溢れすぎている。
この二人はもはや人間と何ら変わらない感情を抱いている。
シンギュラリティ……技術的特異点に達しているレベルだ。
「クラベル校長に頼んでキミらと初めて話した時は既に我々……フトゥーAIとオーリムAIだったよ。」
「……子供たち、キミらにはエリアゼロでの研究最後の手伝いを頼みたくてここまで来てもらった。」
「その内容とは……オリジナルの博士達が作った二機のタイムマシンを止めること。
そしてそのタイムマシンによって呼び出されてしまった人造のポケモンを開放すること。」
「なっ!?」
「タイム……マシン……。」
「そんなSFみたいな……。」
「…………。」
ッ!?!?よりにもよって同じ場所に時空の穴をこじ開けるような装置が2つ隣接してるのか!?
まさかアナザーポケモンが現れる原因はこの2つの時空の穴が干渉しあった事でウルトラホールが開いたからか!
そしてやっぱり竜騎兵はここにいたのか。
「質問はエレベーターで聞こう……付いてきてくれ。」
俺達は博士達に付いていくが……やはりペパーの事が気がかりだった。
……やはりショックだよな。
実際の両親が死んでいてその形見と言える存在がミライドン、コライドンだったんだし。
だが俺はふとホワイトボードを見てみるとそこには子供の頃のペパーがオラチフと一緒に笑顔で写っている写真があった。
博士達はペパーを愛していたのか。
俺はなんとも言えない気分で博士のAI達の下へと向かっていった。