ライズ視点
〜ゼロラボ(エレベーター内)〜
俺達はエレベーターの中に入り、より地下深くにまで進んでいる。
あれだけの量のポケモンがエレベーターを挟んでいても溢れていたというのにかなりの違和感を感じたが恐らくは自動制御なのであろう。
「子供たち、よく来てくれた。」
「なんでも質問に答えよう、聞きたいことはあるかな?」
二人の博士のAIがそう尋ねる。
普通に考えてもAIがここまでの思考をして配慮までするというのはありえないんだがな。
「ねぇ、ライズ君に博士、AIって何?」
「へ?」
「ん?あぁ、そういえば一般には普及してないから知らなくても不思議ではないか。」
この世界では基本的にロトムがAIの変わりになってしまっているからそもそもの需要が少ないからな。
「AIとは人工的に作られた知能のこと。」
「我々の考えや行動は全てオリジナルの博士達の知識、思い出をベースにコンピューターが演算している。」
「その演算が博士達そっくりに作られたこの機械の身体を動かしているのだ。」
「今のこの世界だと技術的に不可能だと思ってたんですけどそれもここの研究成果の一つって事ですか?」
「あぁ、これほど高度なAI技術は今の科学技術では実現不可能だがゼロラボに搭載された結晶体がそれを実現可能にしている。」
「だから我々はこの施設から出ることが出来ないのだ。」
なる程な、色々と不可解な点があったが今の説明でようやく納得がいった。
それにしてもまさかテラスタル結晶体にそんな作用があるとはな。
「俺の……本当の父ちゃんと母ちゃんは……。」
「……先程も説明したがオリジナルの博士たちは存在しない。」
「ユニットの事故で肉体が損傷し生命活動を維持出来なくなったのだ。」
「君にとっては……受け入れがたい事実だろうな。
現在はオリジナルに変わってこのボク、フトゥーAIと彼女、オーリムAIが管理者としてゼロラボを維持している。」
「…………。」
ペパーには確かに受け入れがたい真実だろうな。
だって久しぶりに会ったと思ったらその頃には本当の両親はもうすでに亡くなっていたのだから。
「あの……タイムマシンってなんなん?」
「タイムマシンとはオリジナルの博士と我々四人で開発した装置。」
「モンスターボールを転送し異なる時間軸のポケモンを捕まえて現代へと呼び出す事が出来る。」
「オリジナルの博士達は生前別の時代のポケモン……とりわけ未来と古来のポケモンに熱心だった。」
「今この時も自動的に未来と古来から二機のタイムマシンがポケモンを呼び出し続けているよ。」
要は意図的に複数の時空の歪みを作り出している訳だ。
ただでさえ歪んでいるのにそこのすぐそばにもう一つの歪みなんか作ってしまえば次元が歪んでもおかしくはない。
ウルトラホールがこのパルデアに大量に現れる訳だ……。
「結局博士AI達の目的ってなんなんですか?竜騎兵はともかくタイムマシンを止めてほしいって言ってましたけど。」
「……オリジナルの博士達は未来と古来のポケモンと今のポケモンが仲良く生きる世界を夢見ていた。」
「だがはるか未来と古来の進化と退化の果て、未知なる力は余りにも強大すぎる。」
「彼らの生命力は現代の生態系を壊してしまうのだ。」
「オリジナル達はそれも自然の一つの形だと言っていたがね。」
強ち間違っているとも言いにくいがそれは他者が歪めてしまったから起きている事象だ。
本来自然とは途方もなく長い時間をかけてゆっくりと変化していくものであり、それを急激に歪めてしまえばバランスが崩れてしまうのもなんらおかしくはない。
「今はエリアゼロに張り巡らせているバリアで未来と古来のポケモンがパルデアに出ていかないよう制御しているが……君達の言うアナザーポケモンはパルデア各地に新しく開くウルトラホールを経由して現れる。
現状原因となるタイムマシンを停止する以外に方法がなくてね。
それにテツノワダチにイダイナキバのようにバリアを突破するポケモンも現れた。」
「彼らはいずれエリアゼロという箱庭を飛び出しパルデア各地に蔓延るだろう。
そうなればパルデアの豊かな生態系は破壊されてしまう。
博士達のコピーとして生み出された我々だがそのような惨劇が起きる事を合理的とは思わない。」
「……それを食い止める為には博士達が用意した最強のAI達を倒す必要があるのだ。
子供たち……そのでボクの……。」
「ワタシの……。」
「「我々の夢を破壊してくれ。」」
博士達が用意した最強のAI……博士のAI達がタイムマシンを止められない理由……そんなの一つしかない。
「一つだけ聞かせてください。
貴方達の最終的な役割はタイムマシン二機の最終防衛システムですか?」
「「…………。」」
博士達二人はその場で黙り込む。
するとエレベーターが最下層に到着したのか停止した。
「……最下層に到着した。」
「続きはこの先で話そう。」
二人のAIはそう言ってエレベーターを出ていく。
俺達はその後をついていった。
そして見つけた……俺が果たすべきその使命そのものを……。