ライズ視点
ゼロラボ(最深部)
最深部へと到達した俺達の視界には2つの驚くべき物が映っていた。
一つは竜騎兵……その圧倒的な巨体はまるでダイマックスしているかのようだ。
その巨体は活動を停止しているみたいに微動だにしない技近づけば近づく程このポケモンから大量の意思が伝わってくる。
さらに最深部の壁や天井、床の一部に至るまでまるで万華鏡のようなに三角形で鏡面状のテラスタル結晶体がびっしりと敷き詰められている。
「凄い……!」
「綺麗……。」
「こいつが……竜騎兵!」
「で、でけぇ!?」
そしてその竜騎兵の背後にある台座のような二機の装置……恐 らくアレがタイムマシンなのだろう。
「見よ、これが……。」
「テラスタルの力を使い作り上げたタイムマシンだ。」
俺達はAI博士達に付いていき、タイムマシンの直ぐ側に向かう。
「タイムマシンを止めるには博士のIDが登録されたバイオレットブック及びスカーレットブックが必要だ。」
「子供の頃から大好きなその本に最後のキーを入れるとは博士達らしい。」
「バイオレットブックを右の台座に、スカーレットブックを左の台座に置けばタイムマシンを止める事が出来る。」
「だが一つだけ問題があってね……。」
恐らくその問題とやらが博士達があの二冊を届けさせて自分で停止する事が出来ない最大の理由だろう。
「マシンを止めようとすると我々は君達に襲いかかるだろう。」
「なっ!?」
「どういう事……ですか?」
「簡単な話さ、AIである我々の意志はプログラムに乗っ取られてしまうんだ。」
「やっぱりですか……。」
「あぁ、そうなると我々は邪魔者をただ倒すだけの戦闘ロボットに成り下がる。」
「パルデア地方チャンピオンたちの戦闘を分析し作り上げた無敵のAIだ。」
俺達はアオキさん含めて全員ネモが未だ暴れているであろう方向へと身体を向けた。
「つまりネモとトップを足したようなやつに俺達は勝てと……。」
「うわぁ……。」
「あの、博士達……そのAIって今も情報収集してたりします?」
「む?作り上げた時までしかデータは収集していないから思考回路のアップデートはしていないはずだ。」
助かった……いや十分きっついけどヴィオのスタイルまで取り込まれてたら真面目に勝てるかどうか不安しかない。
「ともかく君達とそのポケモン達の絆なら勝利出来ると信じているよ。」
やっぱりAI博士達はかなり感情豊かだな。
だがプログラムに乗っ取られるということは下手したらバックアップがない限りそのまま以前までのデータは削除され、実質博士達が死んでしまうという意味にもなり得る。
俺はAI博士達にある提案をし、スマホロトムに新しいデータをダウンロードする。
そしてポケモン達の準備が出来たところで俺達は台座へと向き合う。
「覚悟を決めたらバイオレットブックとスカーレットブックを台座に置いてくれ。」
ヴィオはバックからスカーレットブックとバイオレットブックの二冊を取り出す。
「レティ、こっちをお願い。」
「分かったよヴィオ姉。」
ヴィオはスカーレットブックをレティへと渡すとそれぞれが対応する台座へと向かう。
「「せーの!」」
ガチャンという固定音と共に各種センサーが起動する音が聞こえてくる。
『フトゥー及びオーリムオリジナルIDのアクセスを確認。
タイムマシン二機を非常停止します。
準備中……準備中……。』
するとエラーが起きる音と共に部屋中のテラスタル結晶体が黄色に染まる。
『アクセスブロック。
非常停止は中断されタイムマシンが再起動しました。』
博士達はそれぞれのタイムマシンの前に立つと覚悟を決めたような表情で俺達を見る。
「「頼む子供達……。」」
そして博士達はその場にしゃがみ込み、動かなくなる。
『フトゥーAI及びオーリムAIをスリープモードへ移行、戦闘プログラムを起動します。』
「ぐっ!?」
「きゃっ!?」
「な、何!?」
「お、おい!アレ!」
「タイムマシンが!」
「…………。」
すると今度は部屋全体が大きく揺れ始め、タイムマシンを中心とした床がどんどんせり上がって天井近くまで向かっていく。
「「どうか我々を倒してくれ。」」
AI博士達のその言葉を皮切りにタイムマシンの真上……天井に設置してある二代の装置が回転を始めて大きく展開され、その中央に特殊なウルトラホール……時空の穴が発生する。
さらに中央からもウルトラホールが発生し始めた。
「「そして我々の夢を……。」」
それぞれの時空の穴から何かが落ちてきて博士達はそれを掴む。
「「阻厶者達ニハ……。」」
博士達が掴んだものの正体は……。
「なっ!?マスターボールだと!?」
カチっという音と共にポケモンがマスターボールの中に完全に収納され、顔を上げた博士達は白目の部分が黒く染まり、瞳が青い光を放っていた。
もうすでにAI博士達は居ない、今ここに居るのはタイムマシンの最終防衛システムだけだ。
さらに背後の竜騎兵に直接繋がれたコードやチューブが次々と外れていき、再起動を始めた。
「「ゴ退室イタダコウ!!」」
博士達はそう答えるとニヤリと嫌な笑みを浮かべた