未来と古来と異界のポケモン   作:クロマ・グロ

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第299話

 

 

ライズ視点

 

 

〜ゼロラボ(タイムマシンの間)〜

 

 

ヴィオとレティが相手のミライドンとコライドンを倒した。

流石にもうコレで終わりだよな?

 

「やった……!」

「暴走止まったん!?」

 

見た所フトゥー博士とオーリム博士の様子は戻っており、まるで信じられない物を見るような目をしていた。

 

「なんと……なんと素晴らしい!」

「まさかオリジナルの博士達の最終手段さえ退けてしまうとは!」

「戻った……のか!?」

「ああ……この結果は最高の科学力を持つAIにも計算出来なかった。」

「キミたちは絶望のふちにいても自分の頭で考え、友達を信じる勇気を持ち決断出来る人間なのだな。」

 

AI博士達は身体から火花を出しながらも俺達に余程伝えたい事があるのか話を続けていく。

 

「どれ程苦しい未来が待っていたとしてもキミたちなら……!」

「自分が選んだ道を胸をはって進んでいけるだろう!」

「「ありがとう、子供たち。」」

 

AI博士達は俺達に感謝を伝えるとタイムマシンへと向き始める。

 

「どうやら我々がいる限りタイムマシンは止まらないらしい……。」

「我々自身がマシンを復旧するシステムの一部となっているようだ。」

「なっ!?」

「な、なんだよ……それ!?」

 

成る程……随分と厄介だな。

そうなるとマシンを止めるという事はAI博士達の機能を停止させるということになる。

 

「すまないな。」

「君達の冒険をここから見ていて感じた事がある。」

「キミたちのその自由さが"うらやましい"と。」

 

AI博士達はその機能が故にゼロラボの外には出られない。

デたとしても動けるのはかなり限られた時間だけだろう。

 

「仲間を想い徒党を組んだり。」

「強さを求めて戦いの中に身を委ねたり。」

「大事なものを守る為大きな敵に立ち向かったり。」

「捕まえて戦って自分だけの宝物を探したり。」

「捕まえて研究して新しい発見やより仲良くなる方法を模索したり。」

「好きな物に全力を注いだり。」

 

AI博士達は俺達を一人一人見ながら話し続ける。

 

「アギャ!アギャス!」

「ギャース!ギャース!」

「フフ……その翼で大空を翔け回ったりな。」

「我々もキミ達のように何者にも縛られず自分だけの宝物を見つけたい。」

「宝物……。」

 

博士……やっぱり貴方達は例えAIなのだとしても貴方達はやはり人間と何一つ変わらない。

貴方達は誰よりも人間らしい感情を学習していますよ。

 

「タイムマシンの一部である我々がここにいる限りタイムマシンは止まらない。」

「ライズにバックアップして貰ったデータはゼロラボの外にさえ持ち出してしまえば問題は無いだろう。

だが我々は同じように出ることは出来ない。」

「だから我々はタイムマシンで……。」

「「夢にまで見た未来(古来)の世界へと旅立とうと思う。」」

 

バックアップがあるとは皆わかっているのだろうが皆は浮かない表情だ。

 

「そんな!せっかく……会えたのに!」

「タイムマシンを止める為だけではないんだ。」

「我々自身がそれぞれの世界をこの目で見たくてたまらないのだよ。」

「冒険に胸を踊らせると言うのは……こういう気持ちなのかな。」

 

探究心は研究者の性だ。

俺もポケモン博士の端くれだ、博士達の気持ちは理解できる。

 

そしてそれしか手段がないと言うのなら俺も喜んでその道を選ぶだろう。

……仲間たちを置いていかないという選択肢があるのならだが。

 

「ペパー、今まで真実を言えずすまなかった。」

「オリジナルの感情をそのまま受け継いだ我々にはわかる。」

「キミの両親はキミのことを本当に愛していたよ。」

「そんなの……今更ずりいよ……!」

「そうだな、すまない。」

 

ペパーからしてみればAIとはいえ両親である事に変わりはない。

その両親と二度目の別れになるんだ、辛くないはずがない。

 

「ペパー、そして子供たちとミライドンにコライドン。」

「少しさみしいがお別れだ。」

「父ちゃん!母ちゃん!」

 

博士達はタイムマシンを一時的にまた再起動し始めた。

 

「「……さらばだ!自由な冒険者達よ!」」

 

AI博士達の体は宙に浮き始め、タイムマシンへと吸い込まれていく。

 

「「ボン・ボヤージュ!!」」

 

博士達の体が完全に時空の穴の中へと消えていくとタイムマシンは完全に停止し、部屋のテラスタル結晶が、輝きを失い元の状態へと戻っていった。

 

「……消えちまった。

父ちゃん……母ちゃん……。」

「……ライズ、博士達のバックアップだけど。」

「あぁ、後で最適化してペパーのスマホロトムにインストール出来るようにしておく。

ただ今は俺が動けないのもあるがゼロラボ内部で起動させようものならまたタイムマシンが再起動しかねないから外でだな。」

「…………ありがとう。」

 

ペパーは俺に向かって頭を下げる。

あくまでも俺がやったのはバックアップ、博士達のコピーを作る事だ。

これは先程までの博士達と同一のデータではあっても厳密には別人だ。

 

「なんとなくさ……わかってた。

アイツら……偽物だったけどあの顔で、声で……俺の名前を呼んでた。

偽物でもその気持ちは本物で……だからオレさ……なんか……悪い、よくわかんねぇ。」

「…………うん。」

「ギャス……!」

「アギャギャ……!」

「ミライドンにコライドンも悲しいよね。」

 

 

 

 

 

俺達はしばらくの間ペパーの心を休ませることにし、その後エリアゼロを脱出していった。

 

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