「ガープ中将っておかしくねぇか」
「今さら?」
「いや、そういうことじゃなくて」
とりあえず、この会話で通じるレベルである。
「強さはおかしいよね」
「改めて考えるとな。というか、あの世代おかしいよな」
「今の三大将って全員ロギアの中でもスゴい能力の持ち主で、なんかすんなり納得がいくんだけどさ」
「なんだよ、ウォシュウォシュって。いや、まだ悪魔の実の能力者なだけいいよ。なんでウチの中将は拳骨なの?」
「あの世代の海賊って、能力者なだけじゃなくて、それこそ鷹の目みたいな武器の達人だもんね。素手とかスゴいよね」
オマエもだろ、とは言わない。一応、六式覚えてるし。
「ロジャーとかレイリーとかギャバンとか。白ひげのところもそうだし、マムもそうだよな? タイマン最強のカイドウも棍棒持ってるし」
「シキを忘れちゃダメだよ。二刀流の剣士は多いけど、その筆頭だったんだから」
「なんで拳骨なの?」
答えられるわけがない。
「覇気なの? 覇気が全てを解決するのか?」
「愛があればなんでも出来るって中将はいうね」
「愛でマグマがどうにかなるかよ」
「寒さは、なんとかなりそう?」
「なるわけねェだろ。冬島の支援が一番大変なんだぞ?」
「寒いところで問題が起こると、悲惨だよね」
「物資消費量のケタが違う」
「光は?」
「それこそ、どうすりゃいいんだよ。パシフィスタとか、アレ黄猿大将の能力だろ?」
「なんとかされたら、海軍勝てないよ」
「そうだろ? そうなんだよ。なんで拳骨なんだ?」
答えなんかない。
「ちなみに何したの?」
「な、なんのことかな?」
「誤魔化さない方が傷は浅いと思うよ?」
「浅くて致命傷なんだよ!!」
「死んでないじゃん」
「オマエ、そういうトコあるよな」
「?」
「麦わらに似てる」
「そ、そうかな?」
「照れるな。褒めてねェよ」
「ボガードさんには報告したの?」
「中将に直接説明しろって」
「まあまあ、一緒に行ってあげるから、とにかく探そう。日が暮れちゃうよ」
「中将が常に行方不明なの、おかしいよな?」
「ガープさんを叱れるのって、元帥かおつるさんぐらいだよ」
「おかしいよな?! 大将は?!」
「往生際が悪いよ」
「ヤーダー! 死にたくない〜!」
「死なない、死なない」
「なんでオマエは常に普通にいるんだ?」
「常にはおらんじゃろ?」
「いないときは、勝手に出ていったときだろう?! ここは元帥室だぞ?!」
「金かけとるのう。ソファの座り心地が最高じゃ。最近、腰がな」
「ウソつけ。オマエ、若い頃も同じ言い訳で執務投げたよな?」
「最近歳かのう? 忘れた」
「都合のいいときだけ年寄りになるな!! ワタシと変わらんだろう?!」
「センパ〜イ」
「ムカつくぅ!!」
中将大爆笑。
「頭の痛いことばかりだと言うに、キサマというやつは」
「ワシ、英雄。海軍の模範」
「オマエを模範なんかにされたらたまったモンじゃないわぁ!!」
「もっとみんな自由にやればええんじゃ」
「ダメなの!! 規律があるの!! 守らねばならんのだ!!」
「言い聞かせとるだけじゃろ? ホレ、煎餅食うか?」
「食う」
「あ~、お茶がウマい」
「なんだかんだ居座るな、コイツ」
「愚痴を聞いてやろうというんじゃ。超友達甲斐」
「そうかな~? そうなのかな~?」
「疑うな。ちゅうか、ホントにちょっと大丈夫か?」
「大丈夫じゃないかも」
「おつる呼ぶ?」
「アイツは知っとる」
沈黙。
「そうか」
「ああ」
「そうか」
「そういうことだ」
沈黙。
「血が流れんことが平和じゃ。ワシらは血を流すことを決めたんじゃ。海軍だろうと、海賊だろうとな。なら、それは、覚悟しとったわい」
「本当か?」
「無理じゃもん。ワシの血だ。あやつの血でもある。どうにも出来なんだ。なら、せめて強く、強くあればと。だが、強さだけで渡れる海じゃない。だから、それが、少なくとも、自分で選んだんであれば、もうそれは、ソイツの人生じゃ」
「囲えば利用される、か。だが、利用するぞ。向こうから飛び込んで来たんだ」
「構わん。出来ることはした。全員、飛びたった。逃げ切れなんだは、ソイツの力量じゃ」
「運命か」
「クソくらえじゃわい」
「辛いな」
「辛くはない。きっちり仕込んだ。悔いは残さん」
「だといいな」
「そうに決まっとる」
「ああ」
せんべいをかじり、お茶を飲む。
「誰じゃ?」
「エースだ」
「戦争じゃな」
「頼むぞ?」
「任せい」
ナバロ島の決闘、その前。
頂上決戦でのテレパシー
(任せろって言っただろう?!)
(二人は聞いとらんわ!!)
(覚悟しているとも言ったよなァ!!)
(じゃあ、アレが読めたのか?! 仏のセンゴク!!)
(読めるか!! バーカ!!)
(バカって言ったほうがバカなんじゃ、このバーカ!!)
(変わりゃしないよ、この男どもは)
「なんで海兵なのに陸に揚がっちゃうの? ヒナ憤慨!」
「ヤツラの船には人員を置いたし、連絡もしたろう?」
「そういうこと言ってるんじゃないの。加盟国なのよ? 海軍が勝手に警察活動していいと思ってるの? ヒナ憤慨!」
「海賊を捕まえるためだ」
「それが許されたら、主権とか威信とか、海軍が守るべきものを傷つけることになるのよ?! ヒナ憤慨!」
「もう憤慨しか言わねェじゃねェか」
「それだけ怒ってるのよ!! そんなに手柄が欲しかったワケ?!」
「そうじゃねェ。そうじゃねェが、麦わらのことだけじゃなかったんだ」
「クロコダイルの件ね。疑念があったのはそうだけど。だからって、バカ正直に突っ込む? ヒナ驚愕」
「だから連絡も入れたし、色々探りも入れた」
「甘いのよ。たしぎが泣いてるのは、弱いからじゃなくてアナタが頼りないからなんだからね! ヒナ指摘!!」
「どうすりゃよかったんだ?」
「だからダメなのよ。そういうの仕込んであげるから、たしぎちゃん寄越しなさい」
「……ダメだ」
「あ? 迷った? 迷ったぁ〜!」
「ウゼェな」
「言っとくけど、ガープさん以下だからね。そういう搦手の部分」
「ありゃボガードの手管だろ?」
「彼を育てたのがガープさんでしょう?」
「うーん」
「考えておきなさい。上に上がるつもりなら、必須の能力よ。少なくとも、それが得意な部下は持ちなさい。ヒナ忠告」
「希望は、出しとくよ」
「そうしなさい」
ヴェルゴ来襲