「お〜、見事だねぇ」
「なんならぁ」
「休みの日に友達の家に来ちゃぁいけないのか〜い?」
「待っちょれ」
「いいよぉ。自前のがあるから」
「ほぉか」
「ずいぶん、立派な幹だね〜」
「よう育った」
「切るとこあるのか〜い?」
「それを見ちょる」
「そうなのかぁい?」
幹を撫でる。
「よう育った」
「枝を払っても、枯れないんだねぇ」
「松は、強い」
「真っ直ぐだね~」
「立ち上がりが、こうじゃった」
「珍しいのかぁい?」
「そうじゃの。滅多に見ん」
「お気に入りだね~」
「そうじゃの」
鋏を置く。
「そうじゃ」
酒を飲む。
「キミもやるかい」
「ワシはええ。昼間からは呑まん」
「厳しいねぇ〜」
「律せねばならん」
「昔は違ったのに〜」
「今は大将じゃ」
「わっしらも歳を取ったよねぇ」
「ワシはまだ衰えとらん」
「でも、月日は流れるのさぁ」
はだけた着物を直す。
「この家、キレ〜イにしてるね~。ウチとは大違いだよ」
「たまにしか帰らん。汚れる暇もなかろうが」
「それでもさぁ。これも律した結果かい?」
「そうじゃ」
盆栽に彩られ、日差しをふんだんに取り込もうとも、拭えぬ寒々しさがある。生活感のなさが。
「ど〜だい? 久しぶりにメシでも食べようよ〜」
「一人で食う」
「そんなこと言わずにさぁ~。サカズキ。たまの休みじゃな〜い?」
「ワシはええ」
「いいから、いいから。ど〜こにしよ〜ねぇ。楽〜しみだねぇ。そうだろぅ?」
「話を聞け」
「聞かな〜い」
「行かんゆうちょろうが」
「光の速度で運ばれたことはあるかい?」
「やめぇ」
「わっしからは逃げられないよぉ」
「行きゃええんじゃろが。わかったわい」
「酒も呑むんだよぉ?」
「わぁった、わぁった」
連れ立ち歩く、大きな影二つ。
「どんだけ煎餅を持ち込むんだ、オマエ」
「あ? なんなら、定期的に補充するよう手配しとるぞ?」
「なんで元帥室の茶菓子に口を出しとるんだ、万年中将」
「最近、忙しくて来とらんかったからずいぶん溜まっとるのう」
「本当に自然と漁るな。オマエの部屋じゃないんだぞ?」
「ワシが居るところがワシの居場所じゃもん」
「どんな理屈だ」
「オマエも食え。ウマいぞ?」
「お~い、ワタシにも茶をくれ!!」
「元帥に茶を出さんとは。怠慢じゃないか?」
「客はキサマだろうが!! 二度と出さんぞ!!」
「勝手に入れるからいいわい」
「勝手をするなと言っとるんだ!!」
「止めてみぃ」
「ヨシ、そこに直れ」
「冗談じゃ、冗談。ホレ? 海苔煎餅じゃぞ?」
「机に置くな。袋ごと寄越せ」
「ホイ」
「ウマいな」
「じゃろ? それも食え」
「机に置いたやつじゃないか。オマエが食え」
「なんじゃ? ワシの煎餅が食えんのか?」
「酔っとるのか、キサマは。いらん」
「せっかく、ワシが譲ってやったのに。ホレ、これでどうじゃ?」
「足すな、バカモノ。いらんと言っとるんだ」
「欲張りじゃな。まだほしいのか」
「いらんっつっとろうが!! 重ねるな!!」
「これ、意外と難しい」
「アホか、オマエは」
「どうじゃ! この高さ!!」
「なんで自慢げなんだ? それ! 崩れてしまえ!」
「ヤメロ!! 新記録を目指すんじゃ!!」
「フーッ!! フーッ!!」
「そ~と、そ~と」
「邪魔は、しないどこうかね。混ざるのもイヤだし」
「すいません、中将」
「いいさ、息抜きも必要さね」
平和