「器用なもんじゃの?」
「取り柄だからな。コイツがオレの戦力さ」
「コイツがこんなに小さくまとまるのか?」
「弾数が命だからな。携帯性は突き詰めてるぜ」
「ほう、ほう。スゴいもんじゃな。コレは?」
「ポップグリーンの種だ。用途ごとに分けてある」
「こんな種類を使いわけるのか?! 一つ触ってみても?」
「いいぜ! 衝撃を与えなきゃ大丈夫だ」
「コイツが瞬時に育つのか」
「ああ、栄養満点だ。生じゃ無理だが、食ったら一粒で腹いっぱいだぜ? オレもそれで太っちまった」
「ワハハ、なら試すのはやめとこう!」
「ルフィにはナイショだぞ? 狙われちまう」
「ソイツはいかんな。約束しよう」
「頼んだぜ。しかし、こんなんに興味があったか?」
「仲間のことを知りたいと思うのは自然じゃろ? 命を預けるんじゃからな」
「オレが出来るのは掩護だけだ。むしろ、預かってもらう立場かもな」
「そんなことありゃせん。海賊の抗争じゃ射手は重要な役割じゃよ」
「そ、そうかな?」
「大砲もピストルも防げはするがの。足はとまる。ならば、ワシら前衛を前線に届けるのは、オマエさんの仕事じゃ」
「まあ、露払いなら任せな!!」
「それよ。オマエさんなら、もっと強い弾なり、それこそ爆弾でも上手く扱えると思うんじゃが?」
「確かにそうだけどよ。オレは別に人殺しになりたいわけじゃねぇ。勇敢なる海の戦士になりたいんだ。海賊の戦いなら、結局、船長同士が決着をつければ終わりだろ?」
「そうじゃな」
「なら、オレはそれをサポートするんだ。横槍を入れられないように、ルフィたちが気兼ねなく戦えるように」
「なるほどのう」
ニッコリ。
「ワシもウソップが後ろにおれば安心じゃな」
「!!」
「おはよう」
「おはよう、ジンベエ」
「毎度感心だのう。今日も読書か」
「あら? イヤミ?」
「まさか! 知り合いにも研究者がおる。どれだけサボっておるように見えても、オマエさんら学者の仕事をバカにしたりはせんよ」
「フフフ、こんな格好でも?」
「フラフラ森を徘徊するアヤツに比べたら、随分マトモに見える。ありゃ子供には見せられん」
「ちょっと興味があるわね。あまり、他の学者を知らないから」
「友人はもちろん、王宮にも何人かおったからな。こうして話しかけられるだけで誇ってよいと思うぞ?」
「そんなに?」
「なんじゃろうな? 人生の全てをそれだけに費やしておるというか。他の全てを投げうっとるというか」
「羨ましいわね」
「やめてくれ。そんな仲間は見とうない」
「フフフ、気をつけるわ」
「しかし、暑くないか?」
「大丈夫よ。パラソルもあるし」
「ワシは魚人だからな。ワシの側は涼しいぞ?」
「お邪魔じゃないかしら?」
「波も天気も穏やかじゃ。ワシはカラダが大きいからな。そのパラソルよりもよっぽど日影になる」
「代わりに、話し相手になればいいのね?」
「おお! 助かる! 忙しいよりいいんじゃろうが、退屈でな」
「ワタシでよければ。じゃあ、移動するわ」
「よいよい。面倒じゃ。ワシが抱えて行こう」
「え? ジンベエ?」
デッキチェアごと抱えられるロビン。
ニッコリ。
「どうじゃ? ワシは力持ちじゃろう?」
「!! え、ええ」
「ジンベエの笑顔に射止められた」
「急にどうした、ウソップ? そんな虚無顔で」
「ときめいてしまったんだ。あんなおっさんに」
「ええ、アレはヤバいわ」
「で、オマエはどっから生えた?」
「ちょうど、聞き耳立ててたの」
「また揃ってわけのわからんこと言い出しやがって」
「ま、ジンベエはいい男だからな! オレもアイツの笑顔は好きだ!!」
「まあ、それはわからんでもないが、わからん」
「いずれオマエもわかるさ」
「ええ、アレには逆らえないわ」
「なんなんだ、一体」
「ジンベエって安心するよな! カラダがデッカいからかな?」
「コワモテには違いないのに、雰囲気から優しいのよ」
「親分の頼りがいがヤベぇ」
「ま、心当たりはあるが」
「なに?」
「吐け。オレが新しい扉を開く前に」
「なんだ? なんか理由があんのか?」
「詰め寄んな。コエーよ」
「教えて」
「この気持ちの正体を知らなきゃマトモに向きあえねぇよ!」
「ケチケチすんなよ」
「くだらねぇ。自分で考えるんだな」
「そんな」
「助けてくれよー! 頼むって!」
「なーなー、気になる」
「知りたきゃテメェで確かめてこい」
「話を聞いてた?」
「それが出来たら苦労はねぇって」
「だからどういうことなんだよ?」
「テメェらがどんな態度だろうとジンベエは気にしねぇよ。だったら、ジンベエと向き合って、テメェで整理をつけるしかねぇだろうが」
「わかった!! 行ってくる!!」
「なんか危ない気もするが、正論だな」
「ルフィを止めた方がいい気はするけど、その通りね」
「じゃあ、さっさと行ってこい」
「そうしようかしら?」
「まあ、助かったよ。砕けたら破片は拾ってくれ!」
「まったく、面倒くせぇな」
父親不在