麦わら一味の日常   作:HIRANOKORO

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それじゃ


麦わら一味の日常

 

 

 いつもの習慣通りにサンジが目覚めた。パジャマ代わりのダルダルTシャツに手を突っ込んでボリボリしつつ、あくびをする。

 半開きのままの目を部屋へ向け、なにをどうやったらそうなるのかという寝相の船長と狙撃手の姿を確認すると、意味が分からなすぎて目が覚めるような気がする。

 ボンクから抜け出し、洗濯はしたが仕舞ってはいない服に鼻を近づけた。適当過ぎて、それがルフィのなのかウソップのなのかは謎である。しかし、ゾロのでなければ気にしない。

 多分、これがオレのだと目星をつけて着替え、手にしたパジャマと共に洗面台へ。

 顔を洗い、ヒゲを整え、歯を磨き終えると、後ろにブルックが立っている。

「おはよう」

「おはようございます」

 まだシャキッとしないあいさつに、いつもの声で返事がある。マジで生命活動そのものが不思議なので、ちゃんと寝ているのかどうなのか。骸骨の顔色がわからないので、声まで普通だと睡眠の残滓が見えない。

 余計なことは言わず、場所を譲れば、いつものドレススーツを整えはじめた。

「先、行くぞ」

「ハイ、お待ち下さい」

 キッチンに入れば、流石にスイッチも入る。夜のうちから寝かせたパン種と生地を出し、米を研ぐ。

 その間に現れた音楽家が、静かにヴァイオリンを奏でる。なんとなく、パンの味が良くなるからだ。

 研いだ米には水を吸わせ、生地を捏ねる。ヴァイオリンのリズムと溶けあわせながら、慣れた手つきでアクロバティックなことをするのは、二人きりなのがもったいないようでもある。

 再び丸めた生地をいくつかにわけて、サウナぐらいに温めたオーブンにぶち込み二次発酵させる。沸いた湯で紅茶を入れて、演奏中のブルックの前に。自分はデッキでタバコの火をつける。朝の爽やかな空気に、紫煙が溶けていった。

「ロビンちゃんのために、サイフォンでも頼むかな」

「どうでしょう? ドリップの方が美味しいのでしょう?」

 傍らに立った音楽家は、仕草だけなら貴族のようでもある。油断すると下品なことをしてぶち壊すが。

「やり方とか好みだが、図書室に設置してあげたら喜ぶかも」

「問題は火種でしょうか? 水は上階から取れますし」

「難しいかな?」

「言ってみるだけならタダですよ」

 朝の時間の静けさを知るのは、二人だけだ。誰かが目を覚ますだけで、船は賑やかになる。寂しいような、暖かいような貴重な時間は、タバコの灰が落ちきれば終わる。

「では」

 音楽家がヴァイオリンを肩に乗せると、料理人も仕事に戻った。優しいメロディに、作業の音がリズムで加わる。

 そんな聴き応えのある音楽で、考古学者が目を覚ます。隣の幸せそうな寝顔をしばらく眺めて、静かに、だがテキパキと準備をする。

 最低限のケアと髪をまとめて部屋を出ると、音楽家と笑顔のあいさつを交わして食堂に入った。

「サンジ、おはよう」

「おはよう、ロビンちゃん。今日はコーヒーだけかい?」

「ええ、いつものように」

 紅茶を淹れたときとは比べものにならないぐらい恭しく、丁寧にドリップする。その大げさなアピールをコロコロ笑いながら、待つ。大仰に見えようが雑に見えようが、腕は変わらないのだ。

 それが女に対して誠実なようで不誠実なのは気づいているのか、いないのか。とても楽しい時間だ。

「さあ、どうぞ」

「いただくわ」

 基本、ブラックで飲むロビンのカップにスプーンが付いているのは、そこに一欠の黒砂糖を乗せてあるから。朝を食べずに過ごす彼女の習慣と、健康を気にする船医と料理人が見つけた小さな妥協点。

 その日はそのまま口に入れた。甘過ぎないが、一気に口の中が活性化して、確かにスッキリと目が覚めた気になる。それをコーヒーの苦味で抑えて、サンジの作業を見守る。

 レタスの玉をバリッと割る音、水を切る音、包丁の音、なにかをかき混ぜる音。外から聞こえるメロディラインを伴奏に、パーカッションが主役の空間は、静かではないが落ち着きがある。

 ロビンはゆったりとくつろぎながら、それを独り占め出来る時間を楽しんだ。

 船尾方面は優雅だが、そろそろ船首側が騒がしくなる。船医が起き出して、寝ているヤツらが大人しいうちに診察をしているのを、剣士がからかったり、逆らったり、適当に返事して怒らせるからだ。

 その上では、やはり目を覚ました航海士が、髪にブラシをしながら悪態をついている。

 部屋を出たゾロは芝生の上で体を解す。

「おはよ、ゾロ」

「おあよう」

 背伸びしたままの中途半端な返事を早足でやり過ごし、展望室へ身軽に登る。

 今日は時間通りにニュースクーがいた。来ない日も遅れる日もあるが、マケてもらえたことはない。所詮、鳥。彼女の美貌は通じない。代金を渡してとりあえず、ざっと見る。世界は物騒だ。

 朝の観測結果と予報を記録し、ログポースを確認してマストを降りて行く。なんとなく喧騒の中へ戻っていくような感覚がして、男部屋からルフィが飛び出してきた。

「待て待て待て待て!! そりゃオレのだ!!」

 後ろから転げて出たウソップの言う通り、ポケットを増設した専用のオーバオールをルフィが着ている。いつもはまとめているモジャモジャがそのままなぐらい慌てていた。

 経緯はわからないが、仲のいいことだ。どいつもこいつも似たようなシャツを着回しているので、頭の色とかで見分けている。

 仲良すぎて気持ち悪いとか、怪しいとか失礼なことを考えているが、シリーズものをまとめて買い与えたのはナミだ。そして、それに素直に従う男たち。不本意だろう。

「おはよう」

 あいさつとともに食堂へ入ると、思い思いの返事が返ってくる。ウソップに連続チョップを叩き込まれている船長は、返事の前に飲み込んでほしい。汚い。

 バケットに積んである数種類のパンやサンドイッチ。茹でたり、焼いたりした卵。サラダにウィンナーにベーコン。牛乳からフレッシュジュースまで。

 どこかの高級ホテルと見紛うが、海賊船の朝食である。しかも、ほとんど残らないことを考えると、ため息が出る。

 机に新聞を置いて、適当にとりわける。いくつもある目玉焼きだけは、好みのものを慎重に選び出した。男たちは細かいくせに、気遣いがないのでそれだけで多様な目玉焼きに気づいていないか、気にしていない疑惑がある。

 文句を言ったら「変わらねぇじゃねぇか」だそうで、殴っておいた。変わるから好みである。

「それとって」

「コイツか? ほらよ」

 一人、偉そうに机で食べる剣士からオレンジソースを受け取る。本来はドレッシングだろうが、好みなのだ。心の広い自分は、デリカシーのない言動でも許してあげるが、この件に関して嘲笑ったことは許してないので一応、睨みつける。剣士も覚えているのか、視線をそらした。握った弱みは機能している。

「どうだった?」

「いい天気よ。風だけはわかんない。今日は忙しいわよ」

 狙撃手の疑問に答えると、早速、段取りを話しはじめた。フォアをルフィとウソップ。メインをゾロとサンジとチョッパー。ナミは屋上デッキか展望室で指示。ブルックはクルー間の伝達を音楽などでサポートする。ロビンは操舵側でフォロー。

 当然、かけ声もあげるが、右舷のメロディが続く限り引っ張るとか、そうした、どれぐらいどうするのかがわかりやすい。

 普通の海賊船なら太鼓や笛を使うが、麦わらの一味ではヴァイオリンなのだ。なんだか力も湧くし、楽しい。それだけに海の生物が寄って来たりもして、腹まで膨れる。いいことずくめだ。

「それでいいか、ルフィ?」

「いいぞ」

「昼飯は弁当か?」

「多分だけど、途中でメインの横帆は畳むことになると思うわ。ウソップが風を読んで、推進力を確保して。フォアでの調整はワタシが指示する」

「じゃあ、そのときはそれで」

「オレサマに任せな。どんな風も捉えてみせるぜ」

「なら、オレは手早く食えるものを用意する」

「頼んだぞ、サンジ」

「寝るなよ、ゾロ」

「起きてるよ」

 今、まさに寝ていたようだ。

 やがて、フランキーの「スゥ~パー!!」のかけ声と、ザブンとジンベエが水浴びに出かけた音がする。わかりやすい。

「アウ!! オマエらおはよう!!」

「おはようさん」

 二人が揃うと、流石に迫力がある。だが、部屋が狭いとは感じない。フランキーが新聞を手に取り、コーヒーを注ぐ。目は新聞に向けたまま、器用に取り分けてソファに座った。皿を電伝虫台に置くと、バサッと新聞を広げる。サラダは電伝虫のエサになった。

「毎回、目移りするのう」

「なんか好みがあれば遠慮なく言えよ。その方が助かる」

 一般的にはそうなのだが、本当にそうだろうか。もっとも、何度もフライパンを振ることになる目玉焼きなんかは、完全にサンジの楽しみである。均一でなく、色々なやり方で焼いても誰かの好みだし、外れていたからと食べないわけでもないのだ。飽きが来なくていい。

 逆に言えば、サンジが飽きるぐらい焼く。

「これがウマいぞ!!」

「オレはこいつが好みだ!!」

「こっち!! これが健康にイイ!!」

 迷う隙を見せたジンベエに群がり、あれやこれやとオススメする。皿は山盛り。ジンベエはニコニコとそれに手を付けた。なぜか横から船長も手を出しているが、気にしない。一応、ナミとウソップで叩いておいた。

「さぁ、帆を張るわよ!!」

「オー!!」

 号令一下、仕事が始まる。

「面白いのう」

「あれで覇王色だぜ?」

「男なら尻に敷かれるものさ」

 ロビンが微笑んだ。

 

 

 

 

 

「ヨシ!! 変な風は抜けた!!」

「抜けたー!!」

 船長が両手を挙げて倒れ込む。予報通り、忙しい航海だった。クルーはヘトヘトだ。

 追い風を捕まえたと思えば、なぜか横波が襲ってきて、慌てて舵を切るから、帆もそれに合わせなければいけない。

 そんなことを繰り返すのがグランドラインの航海である。舵を間違えれば波に飲まれるし、推進力を失えば越えられない。

 強固な連携と信頼がなければ成り立たないからこそ、海賊船の絆は深く、仁義は重い。陸にいると忘れてしまったり、数が揃って戦闘員が多くなると薄れてしまう。

 ジンベエでさえ、波と海流を目を皿のようにして読んでいた疲れから座り込んでいる。ベテランにも緊張と集中が求められる。海と風に翻弄されてしまえば、命はないのだから。

 振り返れば、他所ならちょっと慣れた年頃のクルーたちが、危機を乗り越えた達成感に笑みを浮かべている。

 序列を語るつもりはないが、あれがこの一味の中心メンバーであり、この海を越えて来た猛者たちだ。どんなとんでもない敵や、事件を乗り越えることよりも誇らしい。

 魚人だからこそわかる。世界を隔てているのはレッドラインではなく、この海なのだと。

 だからこそ、魚人は深海に隠れ住んだ。

 同じようにヘタり込む考古学者の肩を叩き、芝生の甲板に降りる。まったく、嬉しくて仕方がない。

「ようやった!! 難所を越えたのう!!」

「ジンベエも流石だぜ!! かなりスムーズに行けたんじゃないか?!」

「操舵手ってスゴいんだな?! あんまり危なくなかったぞ?! 危なかったけど!!」

「ニシシ、まあ、当然だなぁ」

「コイツ、確かにジンベエだけはなんか能力採用っぽいけど、そりゃオマエの手柄じゃねぇぞ?!」

「オレたち、オモシロ採用だもんな?!」

「違ぇよ!! ジンベエには戦争のときに助けてもらったんだ。オマエらが知らないこと、いっぱい知ってんだ、オレは」

「バカ言うな!! 肩並べて戦ったんだから、知らねぇことなんかあるか?!」

「ジンベエはいいヤツだぞ?! ちゃんと知ってる!!」

「じゃあ、勝負すっか?!」

「望むところだぁ!!」

「負けねぇぞ?!」

「ワッハッハ!!」

 この気軽さがたまらない。なんでもないように、楽しそうに死線を越えていく。冒険とはこのようなものかと、この歳になって初めて知った。

 背後にユラリと影が二つ。

「慕われてるわね」

「うらめしい、違った。羨ましい」

 怖い。

「ハイハイ!! 油断しないの?!」

 疲れも見せず、航海士が手を叩く。無神経なブーイングに拳で反撃して、空を指す。

「風はいいけど、今度は天気が怪しいわ!! 午後からも、気合い入れなさい?! じゃないと夜寝れないわよ!!」

 美容のため、猫の額のようなグランドラインの安定海域に停泊しようとする航海士が無茶を言う。だいたい、それがどこにあるのかという話だが、カンで行ける。

 そのせいか、この船はとんでもなく船足が早い。逆なような気もするが、そうとしか考えられない。運さえよければおかしくない範囲だが、実際に体験すると常識が崩壊する。

 それに応える才能もクルーも常識外れだ。間違いなく、世界一の船に乗っている確信がある。

「あんまり、頼られなくて寂しいんですよねー」

「老いたのでなければ、働けばええ。役に立てることなどいくらでもある」

「元気ですね~」

 その辺りを共感出来るのは、この音楽家だけだろう。経験のなさが、逆に偉業を意識させない。

 若さは意味も知らずに走り抜ければよい。それを支えるのがこの身の使命。気負いがあるかないかだけで、似たような匂いを感じた。酒でも飲めばわかるだろう。クイッと仕草をすると、骸骨が綻んだ。

「ヨホホ、いいですねー」

「付き合うわ」

 なら、なんとしても今日は停泊しなければ。気合を入れ直していると、声がかかった。

「舵に違和感はあるか?」

「ふむ。気づかなんだ」

 船底にこもっていた船大工が顔を出す。あれだけ海を理解する航海士よりも、この変態の方が知っているというのが皮肉な話だ。こんな航海に耐える船を造っただけはある。

「遠慮すんなよ。要望は出来るだけ叶える。オマエ専用でもいいんだ」

「そうなのか?」

「少数精鋭だ。換えが利かなくて当然。なら、存分に腕を振るえ。オレサマはそうしてる」

 もはや、生き様以前の問題で惜しみない技術の化身となった漢が、その白い歯を煌めかせた。

「そうじゃのう。まず、なにが出来る?」

「いいねぇ。ちょいと腰をすえるか。待ってろ」

「なら、アナタも今晩どう?」

「スーパーだ!! なら、そうしよう」

 親指を立て、ワチャワチャしている船長に体を向ける。

「船は問題ないぜ。水漏れも損傷もなしだ」

「ホイよ。ウソップは?」

「ロープもヤードも大丈夫だ。風が安定するなら、ヤードは少し、締めてもいいな」

「じゃ、あとでやろう。とりあえず、腹ごしらえだ」

「時間ないわよ。もう、左舷から積乱雲が伸びて来てる」

「えー?! オレ、腹減ったぞ」

「天気に言え」

「そうだ!! ゾロ、アレやろう、空割るヤツ」

「あ? オマエ、斬っちまうぞ?」

「大丈夫だ。斬られねぇよ」

 ゆらりと戦意を漲らせる。漏れ出る覇王色。チョッパーとブルックが悲鳴をあげ、ウソップがキレる。

「そんなもん、船の上でやんな!!」

「だってよー」

「だってじゃねぇよ!! ゾロも乗んな!!」

「船長命令だ」

「言い訳すんな!! さっきから探してんの酒だろ?! こっち見ろ!!」

 都合が悪いのか、逃げていく。

「とりあえず、頼んでおくから、今は進路だけ修整して」

「ジンベエ、ワリぃけど操舵に戻ってくれ。オレたちも作業に戻る」

「心得た」

「水分は大丈夫か? 水筒は空じゃないか?」

「酒入れてくれ」

「ホントにオマエは!! オマエは!!」

 一周してきたゾロがチョッパーに水筒を差し出す。ウソップがビシバシしているが、気にした素振りはない。

「チョッパー、補充はワタシ行ってくるから、帆は全開にして。それから、順番に休憩しましょ」

「ホラ、酒はそれからだ!」

「よーし!! あとちょっとだ!! 気合入れろ!!」

「オウ!!」

 ゾロだけ鼻息が荒い。一瞬、キョトンとした一味だが、全員ニカッと笑って作業に戻っていった。

「まだ忙しいのかい?」

 ナミが食堂に入ると常に忙しいヤツから心配の言葉を頂いた。

「これから天候が荒れそう。出来るだけ回避するけど、休憩は順番にしてくわ。レインコート準備するから、男部屋入るわよ」

「一杯だけジュースでも飲んで行きな」

「ありがとう。あ、コレの補充もお願い」

 冷蔵庫から数種類のピッチャーを出し、オレンジジュースも氷入りで出す。

 あれこれ指示して乾いたノドに染みる。だが、オレンジ自体の刺激で少し咳込んだ。

「ノド飴だ。オヤツにもどうぞ」

「気がきくわね」

「光栄です、マドモアゼル」

 笑みを交わして、食堂を出る。水筒を投げ渡し、男部屋へ。

 入ると目につく、乱雑とした服の固まりと、雑誌。さっきのやり取りが一瞬でマイナスへ振り切れる。

「えーと、あ、ジンベエはいいのか」

 人数分抱え、二階へ。自分の分を羽織り、ロビンのを持って船首へ登る。

「はい、ロビン」

「ありがとう」

「どう? ジンベエ、変な流れはある?」

「大丈夫じゃ。さっきに比べれば波も素直になってきとる」

「助かるわ。面倒なのよね」

「あの雲を避ければよいか?」

「多分、あれは前線の雲ね。気温と気圧からみて、あれはこれから北に向かって伸びていくわ。風と波が東に変わるから注意して。それまでは全力で進路に進むわ」

「にわかには信じれんが、信じよう」

「ナメないで? 海上なら魚人より航海士よ」

「わかっとるよ。むしろ、楽しみになってきたところじゃ」

 なんのことかと思ったが、ロビンもジンベエもコロコロ笑っている。大したことでもないかと、レインコートを抱え直す。

「じゃ、これ配ってくる」

「ええ、いってらっしゃい」

 さり気なく、張り付いた髪を整えられた。走り出してマストを見上げると、ヤードの調整をしているヤツらに声をかける。

 固くすると遊びはなくなるが、風をロスなく受けて早くなるのだ。

「置いとくから、着なさいよー!!」

「わかったー!!」

「ナミ、ありがとう!!」

「置いといてくれ!!」

 下では、ブルックとゾロでシートを張っている。帆の向きや張り具合を調整するロープだ。ゾロが引っ張り、ブルックが調整して縛る。さり気ないが、手早い。

「ハイ、着なさい」

「すいません。もらいます」

「面倒だ」

「つべこべ言うな!!」

 濡れないことより、体温維持のためである。体がかじかめば、事故も起きる。体力も消耗するし、いいことはない。事前に着ておけるのは、むしろ贅沢だ。

 なんでもなくそよいだ風に、航海士が振り向く。

「あちゃー、やっぱ逃げきれないか」

 ブルックとゾロが顔を見合わせ、そこに航海士が宣言する。

「ま、なるようになるわ!!」

 剣士はしかめっ面で、音楽家は笑っていた。

「そんな気合入れて言うことかよ」

「頼りにしてますよ」

「うん!!」

 戦いはこれからだ。

 

 

夜・大人

 

 

「ツマミはこれでいいか?」

「十分じゃ」

「じゃ、オレはあっち行くぜ」

「ありがとう」

 慰労というのかなんなのか、年上だけで飲むことになった。当然、船長が混ざりたがるが、ノリと勢いで断ってみた。いじけて対抗するかのように、年下組も飲むらしい。

 雨に濡れたのでお風呂大会をして、夕飯も一緒にとって、その場でもそれなりに騒いだ後である。船長の寂しがりは筋金入りだ。

 体格と操舵手がいる関係で、船首甲板に集まり、車座に座る。

 フランキーのおかげかロビンの気遣いか、クッションや椅子もあってなかなか、居心地のよい空間だ。

 視線がジンベエに集まる。

「え? ワシ?」

「他に誰がいるんだ」

「新人なんじゃが」

「だからだろ」

 言いつつ乾杯前にコーラを呷るフランキー。

「まぁよい。待たせたこと、まことあいすまなんだ。海侠のジンベエ、改めて麦わらの一味に加入する!!」

 今さらではあるが、やんややんやと囃し立てたり拍手したりしながら、盃を交わす。意味があるようでない、ちょっとした儀式だ。

「古巣は無事と聞きましたが」

「心配には及ばん。元から奴隷の隠れ蓑。簡単にどうにかなるヤツらではないわい」

「で、自己紹介とかすんのか?」

「面白そうね」

「誰からします?」

「新人からだろ?」

「いじめっ子じゃろ、オマエら」

「否定はしねぇ」

「大変なんですよ、ホントに」

「あら? 他人事?」

「そうでしょう?!」

「まぁまぁ。元七武海、タイヨウの海賊団二代目船長。今は麦わらの一味の操舵手じゃ」

「七武海ってスゴいですね~」

「今や価値はない」

「そう言うな。フィッシャー・タイガーを継いだ男だろ?」

「犯罪者と呼ばれようと偉人に変わりないわ」

「ワシにとっては兄貴分よ。大層な肩書きなんぞ偽りじゃ」

 思うところがあるのか、みなしんみりした。

「オレはフランキー。元、トムズ・ワーカーズ所属。オーロ・ジャクソン号を造船したトムさんの弟子だ。W7でフランキー一家を纏めてた」

 ちょっとジンベエが悪い顔をする。

「劣らぬ肩書きじゃの」

「そうか?」

「師弟で世界を一周する船を造るとか、夢がありますよね」

「一番の抹殺対象ね」

「人のこといえんのか?」

 肩を竦めるしかない。視線を集めたついでに、胸に手を当てる。

「ワタシは考古学者、ニコ・ロビン。オハラの生き残りで、元バロックワークス副社長よ」

「そのバロックワークスというのが?」

「ええ、七武海クロコダイルが設立した秘密結社」

「そして、オハラか。歴史の重みはわかるつもりじゃ」

「魚人も無関係ではないわ」

「一応、この船の目的でもあるんですよね?」

「どうなんじゃろう?」

「たまたま、そうなだけみたいね。ルフィにとっては」

「笑い話なんだろ? ぴったりじゃねぇか」

「楽しみよ」

 それがなんなのか。互いに思いを馳せる。

「オチとしてはお恥ずかしい限りですが、元ルンバー海賊団船長代理、ソウルキング、鼻唄のブルックと申します」

「どっかの国の護衛隊長だったんだろ?」

「まだ秘密がありそうよね」

「ありませんよ!! 肩書きだって代理なんですから!!」

「壊滅した海賊団じゃったか。しかし、時代で言えばロジャーより前じゃろう?」

「世代じゃなくて、ね」

「巨人にも現役いるか? 存在が奇跡っつーか、悪魔の実っつーか」

「手配書を見た?」

「ありゃチラシだぜ」

「ワシは知らなんだが、スゴいことなんじゃろうな」

「生きてると色んなことがあるんです」

「ありすぎじゃ」

 一笑いが起きて、酒が進む。

「みんな組織を率いた経験があるのか」

「チンピラの世話してただけだぜ」

「この前、記事になってたわよ。下請けというより、立派な仲介業者になってるみたいだけど」

 新聞はフランキーも読んでいる。知らないはずがない。実際、目をそらしている。

「どうやら自慢の部下たちなようで」

「早速ね」

「おや? ヨホホ!」

「まあ、今は気楽な船大工だ!! 上の苦労なんざ知らねぇな!!」

「ワシもじゃ。今思うと、性に合わんことをやっとったもんじゃ」

「音楽だけしてればいいんですからね!! いやぁ、楽ですね~」

「ウソつきばっかり」

 若いヤツらのサポートをしてやりたい大人たちである。なんなら、戦後も見据えて余力を残しておきたい。

 直近では軍勢を押しとどめ、幹部や巨人を仕留めた彼らだが、一番に余裕があったのはブルックで、襲撃の段取りでもっとも活躍したのは、控えめに笑う放任主義かつ、裏工作の達人。諜報をさせたらちょっと冷や汗が出るレベルで、いつの間にかポーネグリフまで手に入れていた。

 しかも、名指しで救援要請。情けないとは思うが、自分たちとて、好きこのんで手をあげるわけでもなし。むしろ、そこをフォローしてやることこそ、使命というか役目というか。

 隣で鼻をほじっているホネはまだ、年寄りの鷹揚さと流すことも出来るが、その笑みが優越感を表しているように見えた。

 なにがどうとは言わないが、負けた気がする。

 実際はそうした反応をこそ楽しんでいるのだが、二人とも実は気が短い。ちょっと、ピキッときた。

 だからといって意地もある。声を荒げることはせず、臨時で同盟を組んだ。

「と、得意分野を伸ばせばよいんじゃ。ホレ、舵のことを聞いておったろう?」

「そうだ!! 反応やなんかはギア比で変えられっからな!! 話を聞かせてくれ!!」

「と、言ってものう。航海士の指示で角度を決めるもんじゃし」

「今は簡単に失速しねぇようにしてるが」

「なるほど。意図的に起こせると言うなら、面白い挙動が出来そうじゃの」

「やっぱり、オマエならそう言ってくれると思ったぜ!!」

 盛り上がる二つの巨体に、ホネが震え上がる。

「アワワ、ワタシやウソップさんが代わりに入ることだってあるのに」

「ウソップなら大丈夫よ」

 それが信頼なのかスパルタなのか、サラッと名前を外されたブルックにはわからない。

「ドリフトターンじゃ!! 海軍の度肝を抜いてやるわい!!」

「フゥ~!! アダムの強度なら問題ないぜ!! やってやんな!!」

「なんかとんでもない変態機動ですよ?!」

「今でも空を飛ぶでしょう?」

「その上って必要です?!」

「酔ってしまった方がいいみたい」

 一瞬、死んだように呆けたブルックは、ヴァイオリンを手に取った。

「踊りましょう?」

「伴奏はいいけど、リードしてね?」

「お任せ下さい」

 怒鳴りあいに近い白熱した議論をしていた巨漢たちが、それに気づいて振り返る。

 星空の下、痩身長駆の音楽家と、黒髪の考古学者がヒラリ、ヒラリとステップを踏む。

「こりゃいい」

 酒の肴が出来たと、見物に回る。

 まだまだ、夜は長い。

 

 

夜・若者

 

 

 後部デッキは狭いが、ランタンの灯りもあってなかなか雰囲気がいい。食堂や寝室よりも近くにいれて、ちょうどよい距離も保てる塩梅だ。

 たまに夜釣りをするクルーがいたり、ゾロが夜更かししていたりする。一応、座布団は用意してあるが、ツマミもドリンクも床に広げてあった。ナミだけはクッションを自前で抱いている。

 最初の仕事は、ぶーたれる船長を宥めることだ。

「みんな一緒でいいじゃねぇかよー」

「いつも一緒じゃなくてもいいでしょ。歳の近い同士で話したいこともあるかも知れないし」

「歳なんか気にしねぇ!!」

「アンタが気にしなくても、気にするの!! あんまり、そういうこと言っちゃダメよ?」

「なんでだ?」

「なんでって」

「ルフィ、オマエ、じいちゃんに年寄り!! って言ったらどうなる?」

「殴られる」

「アイツらは殴らねぇだろうが、怒ったり傷つくかも知れねぇ」

「ワタシが殴る」

「ルフィはデリカシーがないな」

「そのセリフ、オマエもだぞ?」

 驚愕して言葉もない船医。船長と一緒にされるのが、とんでもないショックらしい。

「なんだ、まだやってたのか」

「頑固なのよ、コイツ」

「オマエだって宴のときは、真っ先に食い物へ突撃してくじゃねぇか。どうしてもってんなら、後で合流すりゃいい」

「それもそうか」

「で、足りないものはないか?」

「いいから座れよ」

「仕事は終わりだ! 終わり!!」

 ゾロとウソップに引っ張られて、サンジが腰を下ろす。ジョッキを無理矢理持たされ、ドリンクが注がれた。

「なにに乾杯する?」

「適当でいいだろ」

「ちょっとは待てないの?」

「よ~し! それじゃ、オレサマが一味を代表し、これまでの戦いと航海の無事を祈って」

「カンパ〜イ!!」

 ガコンと樽が打ち鳴らされる。慌てて参加したウソップが、ズッコケて笑われた。

「ついに四皇だぜ」

「長かったな」

「そんなワケないでしょ」

 真面目にワンピースを狙う海賊は、どこも二十年ぐらい雌伏しているし、ロジャーは二周した。麦わらの一味に至っては二年である。

「駆け抜けたが正解だろ」

「順調っていや順調なのか?」

「自覚はないな」

「強くはなれてる」

 ゾロの言葉にそりゃそうだろうな、とは思う。

「オレはもっと、人のいない島を冒険するって思ってた」

 ルフィの言うこともわかる。目指すのは未開の地なのに、色々な人里を巡って旅をしている。

「世界の中心はマリージョアよ」

「そうか。そっから離れないとダメなのか」

「ってことは、これからか?」

「そういや、ドラムより手前はそれこそ未開だったな」

「海賊王の船員が灯台守を出来るぐらいだもんな」

「あそこに海軍がいないってのが、無茶を物語ってるよな」

「話だけは聞いてるけど、信じらんねぇ。レッドラインを駆け上がる運河だろ?」

 ルフィでさえ遠い目をした。チョッパーが震えあがる。

「オマエも見ただろ? アイランドクジラ」

「あれが出口を塞いでてよ」

「なぜかルフィが大砲を」

「意味がわからないぞ?」

 誰もわからない。当人さえ、わかっててやっていない。

「メリーが壊れていったのもあそこからだよな」

「オイ」

 ゾロが止めるのを、さらに手をあげて止める。

「未練がないとは言わないが、忘れらんねぇ。ルフィがメリーのメインマストをラブーンに突き刺したことを」

「そうだったか?」

「自分の船の?!」

「まあ、昔のことだ!!」

 笑って誤魔化す船長に、あのときもうちょっとウソップの味方をしてやればよかったかなぁとか思うクルーたち。

 狙撃手なのに、ずっとそうした無茶を修理してきたのだ。

「まぁ、実際、昔の話だ」

 どれだけ愛着があって、大事にしていても、グランドラインを航海するような船ではなかった。遅いか早いかの違いだと言うなら、造船の島まで運んでくれたことが奇跡だ。それも迎えに来てまで。

「でも、それ。ブルックは知ってるのか?」

 特大の地雷である。

「か、かすり傷だし」

 レッドラインを砕こうと出来た新しい傷を抉ったとも言う。流石のラブーンも悲鳴をあげてキレた。

「捕鯨から守ったし」

 メリー号の大砲すら柳に風の巨大生物である。手持ちバズーカがどこまで有効か。だから体内で暴れようとしていたのだし、脱出のためなら一味もそうしたハズだ。

 どちらも止めたのは灯台守である。

「友達になったし」

 一方的に喧嘩を売って、一方的に打ち切ったとも言う。なんなら、手も足も出なかったのを、うまく丸めこんだとも言えるかも知れない。

「縁ってのは、どう結ばれるかわからねぇ。聞かれりゃ答えるが、いちいち気にしてたら前には進めねぇぞ」

「因縁があるのは、ブルックだけじゃないからな」

 両翼がキリッとした顔で言い含めるが、航海士が耳打ちする。

「騙されちゃダメよ? アイツら揃って考えなしなんだから」

「少なくともメインマストを根元から折る必要はねぇ」

「謝れ、ルフィ」

「そうだ、オマエが悪い」

 裏切りは海賊の性。もっともではあるので、反省してほしい。

 微妙な空気になったので飲み直す。

「ワタシも思ったより、メイン戦力なんだけど?」

「ウソップのせいだな」

「間違いない」

「待て!! オレだって想定外だ!!」

 船長の能力以外に対抗策が見い出せなかった、かつての強敵。なんなら、四皇の一角だったビッグ・マムと似たようなことが出来る航海士というのは、確かになんらかの想定外である。

「まず、フランキーが再現出来てないからな」

「あの不思議杖」

「本当に魔法の杖だ!」

 ウソップに尊敬の眼差しを注ぐ。

「確かに、ワタシの才能は恐ろしいわ。でも、ちゃんと守ってよね」

「それはすまねぇ」

「でも、そのゼウスってヤツ、ナミが誑かしたんだろ?」

「人聞きの悪い」

「四皇の手下だろ? だいたい、逃げりゃいいじゃねぇか」

「そうだ。最近、自分から首突っ込んでないか?」

「だって、子供を見捨てられないじゃない」

「見捨てろとは言ってねぇ。逃げろって言ってんだ」

 不満そうに口を尖らす。

「ワタシもわかってるのよ。結局、海軍に任せたりで、ずっとそばにいるのはワタシじゃないわ。でも、放っとけないの」

「誰かに頼って、それじゃダメなのか?」

 命をかけて頼りきった男の言葉だ。説得力が違う。

「難しく考える必要はねぇさ。出来ることをした。そういうことだろう、ナミさん?」

「そうだぞ。出来ねぇことまで責任を負う必要はねぇ」

 涙と鼻水垂らしながら、パチンコで最強の海賊団から味方を守りきる男の言葉だ。説得力がない。

「うん。ちゃんと考える」

 再び、飲み直しだ。

「なんか、辛気臭ぇぞ?」

「楽しい話題にしよう」

「明日の晩ごはん」

「そりゃオマエだけだ」

「そうだな。気を使ってもらってるのはわかるが、思ったより負担はないんだぜ?」

 サンジが溢すが、返ってきたのは不審の目。

「オメーの言うことは信用ならねぇ」

「一度やらかしてるからな」

「オイオイ、それとは別だろ?」

「また似たようなことをしたら、仕事を取り上げるか?」

 ゾロが嬉しそうだが、チョッパーは真剣だ。

「それ、オレたちに命の危険があるからな」

「ほとんど、ルフィのせいだけど」

「あんなひもじい思いをしたのは久しぶりだったなー」

「それだよ。サニー号になって、キッチンが大幅アップデートしたからな。特大のオーブンもある。手の抜き方だって心得てるさ」

「確かに、逼迫することは減ったよな」

「手抜きとは思えないよなー」

「それを感じさせないのも腕の見せどころさ」

「結局、アンタの盗み食いが悪いんじゃないの?」

「知らねぇ」

 こういうときだけ、潔さがない。バレバレなだけに、とっても見苦しい。あと、口笛が下手。

「ゾロの酒もだぞ。ウチは水の心配はいらないが、だからって無限に積めるワケじゃねぇんだ」

「そうだぞ。控えろ?」

「考えとくよ」

 絶対、控えないつもりなのはわかった。

「聞いたんだけどよ。他の船じゃ酒を自作すんだってよ」

「そりゃ、食い物が悪くなるからだ。腐らせるよりマシだからってんで、ほとんどパンだよ」

「不味いらしいぞ?」

「今度行方をくらましたら、ソイツ食わすか」

「いいわね。一人で突っ込んで迷子になるのが減るかも」

「迷子じゃねぇよ」

 突っ込まないのは慈悲である。

「まぁ、オレがいる限り、食い物を無駄にするのは許さん」

「ねぇ? アンタたちがチョッパーの言うことちゃんと聞いたら解決しない?」

「よく言った、ナミ!!」

 チョッパーが立ち上がる。

「怪我も治すし、病気も防ぐ!! サポートはいくらだってするぞ?! だから、ちゃんと言うこと聞けよ!!」

「かわいそう」

「卑怯な」

「どこがよ?」

 なにげに共通の弱点が女子供な一味である。その弱みが牙をむいた。

「でも、ケガは食ったら治るしなー」

「酒で一発だ」

「一週間も寝込んでたろ?」

「第一声が肉と酒よ?」

「心配はしてねぇけどよー。もうちょい、クルーを思いやれ」

「わがままコンビ」

「ダメコンビ」

「やーい、言われてやんの」

 それぞれのほっぺが好き勝手されるが、流石に享受する。

 航海にかまけ、仕事と夢に向かって走り続ける彼らだが、こうして集まれば話題は尽きない。

 それこそ、夢の話。仕事の話。互いの愚痴。ちょっとした悩み。航海の終わりと、その先の人生まで。

 胸の内も腹の中もさらけ出せる、そんな仲間たち。

 次第に笑い声が大きくなり、芸も飛び出す頃に、音楽が聞こえた。楽しげに跳ねるリズムとメロディ。

 それに誘われて芝生の甲板に出ると、年上組が踊っていた。

 ヴァイオリンを演奏しながら、ロビンとクルクル回るブルック。

 なぜか手を取りあって、コミカルにステップを踏む、フランキーとジンベエ。

 ルフィは顔を輝かせ、ガシっとゾロとウソップの肩を掴んだ。

「ちょっと待て!!」

「行く!! 行くから!!」

「踊ろうぜぃ!!」

 恭しく腰を曲げたサンジは無視され、チョッパーとナミが手を繋いで階段を降りる。めげずにハリケーンが追いかけた。

 立場も歳も種族すら違うそれぞれを、縁と音楽が繋ぐ。いつもはケンカばかりの両翼が、肩を組んで足を振り上げ、フランキーを真似てルフィとジンベエがツイストを踊る。

 ナミとウソップは向き合ってちょっとレベルの違うダンスを披露し、誰かが歌い、それに応え、夜が更けていく。

「たまには夜更かしもいいわね?」

「明日起きられるかなぁ?」

 ブルックがギターに持ち替え、さらに狂乱は続く。チョッパーが鼻に割り箸を刺し、ロビンも体を揺らす。

「た~のしんでるかい?! Baby!!」

 雄叫びが上がる。

 麦わら一味の日常が、幕を閉じる。




またね
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