麦わら一味の日常   作:HIRANOKORO

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別編はない


断捨離大会 ファッション編

 二年の歳月は一味を成長させた。強くなったとか逞しくなったとかはもちろん、身体的に。

「サニー号に置いておいた服って、もう着れないのよね」

「ああ、なんか育ってんな。オレサマがいくらスーパーでも、パンツのサイズまでは変わらなかったが」

「逆に何でよ?!」

「漢としてソコを改造するのは……」

「聞いてないわ!!」

「この二年でワタクシも衣装やらが増えましたし、ちょっと整理した方がヨロシイのかもしれませんね」

「なんかスッゲー舞台衣装とかあったもんな」

「ブルック!! それでライブしてくれよ!!」

「構いませんよ」

「あ・と・で!!」

「イタイイタイ。ゴムなのに」

「覇気か?」

「さっすぅがナミすぅあん♡」

「一緒にすんな!! バケモノども!!」

「オレもか?!」

「アンタ、アレに並ぶつもり?」

 三馬鹿を見る。

「そうだな。オレが間違ってた。オレはただのトナカイだ」

「ええ、一味の優秀な船医よ」

「コノヤロー♡」

「タヌッ」

「今はやめてやれ」

 剣士が口を塞ぐ。

「非常食だもんな?」

「違ァァァぁぁぁぁうぅゥ!!!!」

「グラップ!!」

「ホデュア――――――――――――っ」

「……」

「いや、アレは止められねェよ」

「そうだぜ。オマエのせいじゃない。むしろ、オレが悪かったんだ」

 船長のフォローを頑張る剣士を全力でフォローする一味の絆。

「とりあえず、収納を増やすなら生活空間を削ることになるぜ? その価値があるか?」

「実際、服で倉庫を圧迫するのもな。ウチは船長の食事だけですぐ、漂流の危機だからな」

「鍵付き冷蔵庫とオレがいればそんなことはさせない。とは、言い切れないのがな」

「グランドラインを航海してる自覚が足りねェんじゃねェか?」

「一味の危機の原因が船長の食い意地って」

「自分の船から略奪するのか、この船長」

「オレは……」

「ルフィのバカっ!! ヴワァぁん!!」

「ヨホホホホ!! いえ、失礼。ヨホホ!! ヨホホホホっ!!」

 船長がいじけたので、クルーは踏みつけにした。

「じゃあ、捨てましょう! 各自、荷物を整理すること!」

「え〜? コレ気に入ってんだよ」

「もう、前閉まんないじゃねェか。あちこち繕ってあるし」

「ハンコックがやってくれた」

「アタシもやってあげたわよね?」

「そうだな。あっちこっちボロボロだ」

「ヨシ、殺そう。この船長」

「落ち着け」

「そもそもそんな荷物もねェしな」

「それよ!! ちょっと聞いて?! ホント信じられないんだけど!! コイツら二人で海に出たのに、水ぐらいしか船に積んでなかったのよ?! せっかく盗みに入ったのに!! おかげで逃げそこねたじゃない!!」

「なんで一緒にウチの村に来たんだ?」

「なんでだっけ?」

「知らねぇよ……。ただ、そういえばあの頃は腹減っても、ワリとなんとかなってたな」

「そういや、腹減ってるのが普通だったな」

「常に漂流してたしな」

「自慢することじゃねェよ、オイ」

「真剣に生きてることが不思議なんだが」

「この骨身を差し置いてですか?!」

「所属する海賊間違ったかしら?」

「今更遅え。とにかく、荷物の整理だ」

「ウソップ!! 行こうぜ!! オレが選んでやるよ!!」

「バカ!! ヤメロ!! オマエが触るとメチャクチャになっちまう!!」

「サンジ!! 終わったらメシ!! な?!」

「任せとけ! ったく、どうしてこんな手のかかる船長に付いてきちまったんだか」

「アナタ……」

「オマエ……」

「ウソでしょう?」

「? なんだよ?」

 一同、オマエが結局一番甘やかしてんだろうが、という顔。

「さあ、サッサと動くぞ。オレはパンツとアロハだけだ。他の廃材なんかをまとめとくぜ」

「オレも捨てるもんなんてねェよ」

「ダメよ。色々買ってあげたでしょ?」

「アレ、捨てていいのか?」

「いいに決まってんじゃない。どうせ戦いでボロボロになるし、ワタシの楽しみも増えるもの♪」

「じゃあ、借金に数えるのはズルくねェか?」

「お金は払ってるんだし、自分で選べるの?」

「お? あのクソダセェシャツがまた見れるのか?」

「アレは師匠の餞別で……」

「どうせ何にも持たずに旅に出ようとして、せめて着換えだけでもって押し付けられたんでしょう?」

「ああ、腹巻きってそういう。ヨホホ」

「いい師匠じゃねぇか」

「図星か?」

「うるせぇな」

「じゃあ、こうしましょう。捨てるのに迷った服があったら、みんなの前で着てみるの。その気になれないモノは全部捨ててしまいましょう」

「げ?! ちょっと厳しいかも?」

「一番捨てられないのはアナタじゃない?」

「へっ。世話ねェな」

「臨時のファッションショーか。楽しみだな♡」

「スーパーだぜ!!」

「いつ終わりますかねぇ。ヨホホ」

「もー! コイツらがイジメる!!」

「ハイハイ、じゃあ行きましょうか?」

 

 

女部屋

「うー! どうしよ? もう着れないけど、ノジコと買った服なのよね」

「あら? 着てくれるの? なかなか可愛らしい服じゃない?」

 バギー編の服。

「無理!! はちきれるわ!! ワタシってこんな胸小さかったのね」

「ええ、とってもキレイになったわ」

「ロビンはソレ、全部捨てるの?」

「二年前のはね? 思い入れもないし、ちょっと趣味も変わったから」

「そうなんだ。確かに見た目も柔らかくなったわね」

「フフ、そうね。また買い物に行きましょう。アナタの服も選んであげるわ」

「ホント?! 楽しみ!! じゃあ、チャッチャッと捨てちゃわないとね!!」

「ええ、頑張って」

 

 

男部屋

「何でルフィとウソップはいねぇんだ?」

「まさか、その山になってるのがそうなんでしょうか?」

「そうだろうな。まあ、ほとんどがウソップのである理由は推して知るべしだが」

「助かる」

「まったく」

「と、言ってもワタクシ、一張羅のスーツだけなんですよね。舞台衣装は場所を取りますが、持ってきたのは数着のみですし」

「まあ、そのうち着飾らせられる」

「まあ、見た目も大事ですね。もはやホネだけですけど」

「関係ねェよ。舐められないためにはファッションも重要だ」

「そういうもんかねぇ。まあ、そういうのはわかるヤツに任せる」

「オレのコーディネートに文句は言わせねェ」

「言ったことねェだろ。しかし、どうしたモンかねぇ」

「迷ったら着ろ」

「そうすっか」

「え? ゾロさん? アナタ、二年前より確実に肉が増えてますよね? ワタクシそういうの敏感なんです。ホネだけに」

「ほっとけ。おもしれーから」

「ヨホホホ! アナタもワルですねェ」

「着ねぇぞ」

「じゃあ、捨てろよ」

「でもよ……」

「言い訳は見苦しいですよ?」

「どうすりゃいいんだ……」

 

 

アクアリウム

「結局、着替えるのはナミとゾロだけかぁ?」

「ほとんど捨てた」

「捨てられた。迷う暇もなかった」

「まあ、この先いくらでも買えるだろうしな」

「この帽子は買えないから、ずっと大事にするんだ!!」

「オレの麦わらもだ!!」

「オウ、そうしとけ。で、誰からだ?」

「オレだ」

 初期衣装。くいなとお揃いのシャツ。

「ピッチピチじゃねぇか」

「よく着れたな、オイ」

「だから、師匠の餞別なんだ。おんなじのばっかだが、勝手に捨てらんないだろう?」

「バカ義理固いな。バカだが」

「バカだな」

「バカですねぇ」

「ゾロ。力コブだ」

「は? こうか?」

 ビリッ、ッパン!!

「ヨシ、捨てろ」

「容赦ねぇな」

「次だ、次。こんなもんに時間かけてらんねぇよ」

「腹巻きもあるし、一枚だけ大事に仕舞っとけ」

「オウ……」

「じゃあ、次はワタシね! これ、掘り出し物なんだけど、着る機会もないし、迷ってるのよね」

「どこで買ったんだ?」

「幾らで買ったんだ?」

「ナミ、無駄遣いはダメだぞ。船長として言うけどな……」

「そういう一品物は、結局他に合わせたり出来なくてタンスの奥で腐るだけだぜ。思いきって捨てちまいな」

「カワイイわ」

「ちょっと奇抜なナミさんもステキだ♡」

「……もう、捨てる」

「アレ、布切れにして使えないかな?」

「切り刻むの?!」

「ありゃ吸水性の低い生地だからやめときな、チョッパー。オレサマのヤツを分けてやるから」

「そういや、オレも欲しい。吸水性とか気にしねぇ」

「わかったわよ!! 全部捨てる!!」

 大歓声。

「ヤレヤレ、やっと落ち着いたか」

「サンジー。メシー」

「待ってろ。すぐ作るから」

「面白かったナ!! パンってなったゾ! パンって」

「喜んで頂けるなら、ワタクシも挑戦してみましょうか。筋肉ないんデスケドー!!」

「アレ、なんかじいちゃん思い出してヤダ」

「はい、解散!! 解サーン!!」

「もう!! 覚えときなさいよ!!」

「恨まれる覚えはねェ」




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