日本国召喚×アサルトリリィ-World Allied Forces-   作:空社長

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唐突にこの展開を思いついてしまったので、投稿しました。


第1章-League of World in Cultalpas-
第一話【兆候】


 その世界は激乱の1640年、静寂の1641年を終え、中央暦1642年を迎えていた。

 

 近未来の地球──。

 「ヒュージ」と呼ばれる謎の生命体の出現で破滅の危機に瀕していた。

 

 全世界が団結し、科学と魔法の力を結集した「CHARM(チャーム)」と呼ばれる決戦兵器の開発に成功する。

 CHARMに高いシンクロを示した、その使用者となる少女たちは「リリィ」と呼ばれ、時には儚く命を落とすこともある戦いと仲間と親交を深め合う日常の狭間で生きる日々を過ごしていた。

 そして、様々な陰謀もまた渦巻いていた。

 そんな狂詩曲(ラプソディー)を繰り広げていた最中の日本は、突如として異世界に転移した。

 異世界時間中央暦1639年を刻んでいた頃であった──。

 

 日本は近隣にあったクワ・トイネ公国、クイラ王国といち早く国交を結び、食糧と原油の安定供給を実現させると、活動域をさらに伸ばしていく。

 食糧供給の要であったクワ・トイネ公国が隣国ロウリア王国の侵略に脅かされると、ロウリア王国を降伏に追い込み、ロデ二ウス大陸を安定化させた。

 その後、第二文明圏列強でかつての同郷であったムー、周辺の大東洋諸国と国交を結び、アルタラス王国、フェン王国といった国々にも手を伸ばす。

 その渦中で第三文明圏列強パーパルディア皇国とも接触して諍いにより戦端を開くこととなり、殲滅戦を宣言されるも陸海空防衛軍によってあらゆる侵攻部隊を壊滅させ、国力を消耗させた後、全属領の独立、カイオス第3外務局局長によるクーデターによって講和を結んだことで戦争は終結する。

 

 第一文明圏列強第一位の神聖ミリシアル帝国が日本へと使節団を派遣することで、遂に強国と認められることとなり、日本へと訪れた使節団は今まで日本に訪れた国々と同様に、日本の繰り広げていたヒュージ戦争の歴史に驚愕する。

 同時に日本国へ先進11ヵ国会議への参加を要請、日本はこれを承諾する。

 時を同じくして第二文明圏の西にある転移国家、グラ・バルカス帝国でも先進11ヵ国会議への参加が受諾される。

 だが、その意図は別の目的を企んでいた。

 

 不穏な空気が流れつつも、事態は中央暦1642年となる。

 

_中央暦1642年3月4日午前11時_

日本国東京都市ヶ谷

防衛省

 

 年が明けてから日本政府では先進11ヵ国会議の話題で持ちきりだった。

 先進11ヵ国会議とは、神聖ミリシアル帝国の港町カルトアルパスにおいて、世界に多大な影響力を持つと認められた大国が参加し、今後の世界の流れを決定する国際会議であり、これに招待されたということは日本がその重要な立場に立たされたことを意味していた。

 日本の顔となる外務省では代表団の人員選出に忙しくなっている中で、防衛省では代表団を護衛する艦隊についての会議が行われていた。

 

 会議はようやく終盤に差し掛かろうとしていると参加者全員が認識し、防衛大臣が結論を出す。

 

「では、代表団の護衛には、第2艦隊の第3護衛隊ということでよろしいですね?」

「ああ、しかし砲艦外交ですか。まあ、甘く見られてまたパーパルディアのような危機を起こすわけにはいきませんが」

 

 一人の防衛省職員がパーパルディア皇国との戦争直前、観光客を拉致されかけたことを暗示する。

 

「ですが、そこは特に問題無いでしょう。ムーでさえ、ラ・カサミ級含む艦隊を派遣するのです。郷に入っては郷に従うしかないでしょう」

「そうですね」

 

 防衛大臣が幕僚の意見に頷く。

 

「だが、一番問題なのは、カルトアルパスに悪性のマギが観測されたことです。さらにケイヴの出現予兆反応も。本当なんですか?」

「事実です。偵察衛星に搭載されているヒュージサーチャーが捉えています。まだ微小ですので、すぐには出現しないはずですが……」

「……もしかしたら、先進11ヵ国会議中に出現する可能性もあるということですか」

 

 会議室に重苦しい空気が蔓延する。

 「ヒュージ」、それは人類の通常兵器では対抗できない謎の生命体。

 唯一の希望は「リリィ」と呼ばれる存在だが、それを政治目的に利用することに彼らは躊躇した。

 

「……あくまで外務大臣という要職の護衛として、レギオンを派遣するべきだろうな。イベントの護衛にも使われているだろう、それを名目にできないか?」

 

 「レギオン」。

 「ガーデン」と呼ばれる「リリィ」の育成機関であり、高校教育の面を持つ軍事養成高校の中で、複数名で組織される1組のチームで、ヒュージとの戦闘ではレギオン単位での戦闘が基本となっている。

 

「もしヒュージが出現した場合の対処は現場指揮官に一任すると総理が明言されています」

「なら、いい。派遣するレギオンは各ガーデン上層部に相談した上で決めよう」

 

_同時刻_

防衛省防衛装備庁

防衛軍対ヒュージ研究本部

 

「まさか……今や閑職と言われるまでもあるここに戻ってくるとはな。小野、分析はどうだ?」

 

 防衛装備庁職員の岡本が口を開く。

 

「カルトアルパスの地形データは既にデータベースから持ってきました」

 

 岡本の部下である小野が言葉を返す。

 二人は旧技術研究本部に在籍していたが、ヒュージ出現の可能性があることを受けて、こちらに引っ張られていた。

 

「海峡か……出口にラージ級以上の個体が出現したら、逃げ道が無いな」

「しかも、ネストの生成には最も合理的な場所でしょう」

 

 「ネスト」。

 ヒュージが海、湖に生成することの多い、いわば巣である。

 一度、生成を許してしまえば、そこからエネルギーのある限りヒュージが出現してくる光景を予想するのは難しくない。

 それを想像した岡本の表情が苦悶に染まる。

 

「俺たちの艦は対ヒュージ対策を施してはいるが、他の艦は無い。しかも戦列艦であればスモール級でも脅威だ」

「どうしますか?」

「……ひとまず、出来る事を探っていくしかないか。現役の教導官も呼んで対策するしかない」

 

神聖ミリシアル帝国駐日大使館

 

 その日、近藤俊介外交官がムー駐日大使ユウヒ・マリーニを伴ってアポイントメント無しで訪問した。

 

「これはどうされた?近藤殿、ユウヒ大使」

 

 それを出迎えたのは、アポイント無しの訪問ということを聞き急遽予定変更をして出迎えた神聖ミリシアル帝国駐日大使のスタルバ・レットマンであった。

 

「突然の訪問失礼致します。実を言うと、御二方にお伝えしたいことがありまして、ヒュージ戦争についてご存知ですよね?」

「……それはもちろん……」

 

 近藤の問いに2人は困惑しながらも答える。

 

「カルトアルパス、しかも先進11ヵ国会議時にヒュージが出現する可能性があることを、先日防衛省より告げられました」

「なんだと……!」

「まだ可能性は高くありません。しかし、その兆候が確認できたのです」

 

 二人の間に沈黙が流れる。

 ヒュージ戦争についての知識を知ってしまった為に、蹂躙される光景を想像した。

 ユウヒ大使が何とか言葉を引き出して質問する。

 

「あと1ヶ月しかありませんので、我が国がリリィの育成することなど出来ません。ですが、何か対策出来ないのでしょうか?」

「そうですね……戦艦の数をできる限り多くしてください。戦艦の装甲であれば、多少の攻撃ならば耐えることは出来ます」

「分かりました、すぐに伝達します」

「我が国も同様に報告致しますが、信じる者は少ないでしょう。悔しい限りですが、努力致します」

 

 スタルバは憔悴する表情を見せ、それを横目に近藤は退出する。

 

_中央暦1642年3月26日午前7時頃_

日本国鎌倉府

海上防衛軍横須賀基地

 

「総理、大役を果たしてきますので」

「そうだな……それにヒュージが出現する可能性もある。では、気を付けてくれ」

 

 埠頭にて佐藤(わたる)外務大臣と武田実成(みつなり)内閣総理大臣が握手を交わす。

 佐藤の傍には随伴する外交官として選ばれた近藤と井上一巳外交官が立っていた。

 

「ええ……それが一番の懸念事項でしょう。グラ・バルカスの動きも気になりますが、ヒュージの前には手も足も出ない軍勢です。おそらくは質問攻めにされるかと思うと……」

「私が心配しているのは佐藤さんの命だ。ヒュージは神出鬼没、どこから襲われるか分かったものではない」

「お気遣い感謝します。一応、私でも扱える携帯式ヒュージサーチャーは持っておりますので」

 

 そこまで言うと、佐藤は近藤に目配せする。

 

「では総理。与太話はここまでとして、行ってまいります」

「うむ」

 

 佐藤率いる代表団はあまぎ型護衛艦「あまぎ」へと乗艦する。

 埠頭から船体が離れていき、タグボートによって港湾から沖合へと牽引されていく。

 あまぎ型ミサイル護衛艦「あまぎ」、なち型ミサイル護衛艦「なち」「たかお」、まや型ミサイル護衛艦「まや」「はぐろ」「あしがら」によって構成される第3護衛隊は横須賀基地より出港する。




■次回予告

第二話【会議】
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