日本国召喚×アサルトリリィ-World Allied Forces-   作:空社長

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ビームの表現が難しいことを改めて痛感しました。

え?いつまで23日だって?……私にも分からん。


第十話【暴獄】

_中央暦1642年4月23日_

カルトアルパス湾

 

 轟音が響き渡る。

 46cm砲が激しい咆哮を上げ、それに少し劣るものの35.6cm砲も爆音を上げて砲弾を打ち出した。

 巨弾が向かう先はただ1点、ギガント級の装甲表面であり、空に放たれて数十秒後、装甲表面に真っ赤な爆炎が上がる。

 しかし、その装甲には一切の傷が無い。

 だが、それに動じることも無くグラ・バルカス帝国海軍の士官や将兵たちは照準の調整や次弾の装填作業等、自らに課せられた使命を行っていく。

 

「主砲、発射用意!砲弾に魔力注入、属性比率爆72炎26。……砲弾、魔力充填完了!続いて撃発回路に魔力注入開始、属性比率爆63、炎27、風10。魔力充填50%、80%、100%!」

「主砲命中率、68%」

「全艦、主砲発射!!」

 

 ミスリル級魔導戦艦4隻、ゴールド級魔導戦艦1隻の主砲が目標を定め、発射の号令によって魔導砲弾が撃ちだされる。

 「コールブランド」、「クラレント」、「フォーキオン」、「エクリプス」、「ガラティーン」の38.1㎝霊式魔導砲から砲弾が青白い虹の軌跡を描き飛翔していく。

 しばらくしてギガント級の装甲表面に辿り着いた直後、砲弾に刻まれた魔術回路が作動して爆発を起こす。

 だが、ギガント級にはマギ結界に魔力が干渉し歪んだのみで傷が生じなかった。

 数発が盾となったラージ級に直撃し、マギと魔力の近似性によって多少の傷を負わせたものの、打ち倒すには遠く及ばなかった。

 

「全艦、斉射用意!撃てぇ!!」

 

 ムー艦隊もレーザーの砲火に晒されながらも、反撃を繰り出す。

 甲板上で大小様々な煙を曳きながら、4隻の戦艦が30.5㎝砲を撃ち出す。

 

「『キタルファ』、『ジュバ』、『ラサラス』に伝達。順次、魚雷発射せよと」

 

 アルカイド司令の命令により、エクレウス級駆逐艦1隻、スコルピウス級駆逐艦1隻、レオ級巡洋艦1隻が戦列から離れ、艦隊の合間からギガント級に右の横腹を見せつつ、3隻は放てる全ての53㎝魚雷を一斉に放ち、海中を突き進む。

 日本艦隊も127㎜単装速射砲と205㎜連装速射砲を脅威的な連射速度で連射し、ラマ型、カウダ型の群れを砕き、暴力的なまでの対ヒュージ砲弾の雨をラージ級とギガント級に打ち込み続け、同時にありったけのミサイルも白い煙を曳きながら、ギガント級に着弾していく。

 

 様々な艦隊が引き付けるために激しい砲撃を繰り出す中、ギガント級の標的はある1艦隊に絞られていた。

 装甲表面の主砲身が狙いを付けると、ギガント級の体が光で瞬き、ビームの奔流を撃ち出した。

 着弾までの時間はわずか数秒、何もできるはずが無かった。

 

「右舷回頭、急旋回!!」

 

 咄嗟のミニラルの命令に、操舵手はそれに従い艦を回頭させる。

 その直後奔流が着弾し、眼前にある砲塔が消し飛び、衝撃波で窓が割れる。

 

「被害報告!」

「ラ・ホトス級1隻がしょ、消滅!『ラ・マシヤ』は左舷損壊、速力低下!!『ラ・シキマ』は後部砲塔が消滅!」

「ぎりぎりだったな……ミニラルの機転が無ければ艦橋ごとか消し飛んでいたか」

 

 しかし、脅威は去っていなかった。

 ギガント級のエネルギー充填の間で、アーレア型、メリサ型よりレーザーが猛射される。

 その猛攻は炎上して機能を失っていた空母「ラ・コスタ」に集中し、大きな爆炎を上げて海中に沈みこむ。

 

「ムー艦隊が狙い撃ちに!奴の攻撃をこちらに引き付ける!『メローペ』と『シェルタン』にも砲撃に参加させろ!」

『こちらキタルファ!まもなく敵に魚雷到達……は?』

 

 アルカイドはタウルス級重巡洋艦「メローペ」、レオ級巡洋艦「シェルタン」に砲撃に参加させるよう命じる。

 同時に、「キタルファ」からの通信が舞い込むが、「キタルファ」は驚くべき光景を目の当たりにした。

 ギガント級の海面上にある足に到達しようとした数本の魚雷が謎の挙動を見せ、見当違いの方向へと向かったのだった。

 

『キタルファより各艦、魚雷を時限信管に切り替えろ。本艦は……囮となる』

 

 「キタルファ」艦長は追随してくる艦にそう言い残すと、艦首を敵へと向けさせる。

 戦艦よりも速力の速く図体の小さい駆逐艦はスモール・ミドル級、そしてラージ級のレーザーをくぐり抜けながらわずかな距離を詰めていき、主砲をギガント級に向け、注意を引き付けつつ回避行動を繰り返す。

 しかし、ギガント級はその煩わしさに全ての主砲を駆逐艦の移動距離範囲内に向けると、一斉に海面に向けてビームを撃ち放つ。

 

「っ……『キタルファ』轟沈!」

 

 爆発音の後、大きな水柱に残骸の一部が揉まれていく様子を「ジュバ」の見張り員が目撃。

 それを受けて艦長は仇討ちに燃えると共に感謝の言葉を告げた。

 そして数十秒後、信管切り替えの報告を受け取ると、魚雷発射の命令を繰り出した。

 

「勇敢なグラ・バルカス小型艦に敬礼。……ムーにこれ以上の損害を許容することはできない、我々ミリシアル艦隊も援護に向かう」

 

 その光景を見たバッティスタもムー艦隊の援護に艦隊を向かわせる。

 そして、ミリシアルとグラ・バルカス両艦隊は主砲の照準を合わせると、小型艦と駆逐艦以外の全ての主砲を撃ち出した。

 

「主砲命中率、62%!発射5秒前、4、3、2、1……発射!!」

「主砲照準合わせ!全主砲、撃てぇ!!」

 

 ミスリル級4隻、ゴールド級1隻の38.1㎝霊式魔導砲、プラチナ級重巡洋魔導装甲艦2隻、シルバー級11隻の霊式20.3センチ連装魔導砲が青白い尾を曳く砲弾を撃ちだす。

 わずか数秒遅れて、グレード・アトラスター級の46㎝3連装主砲、オリオン級2隻の35.6㎝連装主砲、タウルス級とレオ級の20.3㎝連装主砲が放たれる。

 数多くの砲弾が発射されたことによる飛翔音が甲高く響きつつ、ギガント級の装甲表面に着弾し、大小様々の爆炎が覆いつくす。

 特にグラ・バルカス艦隊から放たれた砲弾は周囲に浮いていた小粒共を引き潰しつつ、着弾していた。

 ギガント級はヒュージという生命体の中で親という属性に分類される説があり、それが本当ならば、親が死んだ子の敵を殺すという思考はある意味当然であった。

 

 ムー艦隊へと向いていた全ての砲口は小粒共を引き潰したグラ・バルカス艦隊へと向けられる。

 既にエネルギー充填が完了していた主砲は標的の品定めを終えると、一斉に奔流を撃ち出した。

 

「っ!!」

 

 言葉を発する暇も無く、タウルス級重巡洋艦「メローペ」は奔流に飲み込まれて消滅し、さらにギガント級の本体後部から前へとせり出してきた砲塔からも再び奔流が放たれて「グレード・アトラスター」へ直撃する。

 

「被害報告!」

「っ……第三主砲が破壊されました、幸い即時に注水しましたが……」

「……そこまでとは」

 

 副長のレクトは苦渋の表情を浮かべる。

 敵の圧倒的な暴力によって高まっていた戦意は根底にまで落ちようとしていた、その時。

 

「魚雷攻撃成功!!」

 

 ギガント級の四本足の一つに無数の太い水柱が高く突き上がる。

 さらに、その衝撃がギガント級に加わった直後、一人の少女が持つCHARMが振り降ろされ、マギの力場が崩壊。

 足場を失ってバランスを崩し、足丸ごと本体が海中に浸かる。

 

 絶望的な空気だったところから一転して、足を崩させた戦果に将兵たちは狂喜に震える。

 だが、所詮は力場を失っただけ。

 ギガント級は再び力場を作り出してそこに立ち、且つ激しい怒りをもって暴力を発揮していく。

 全ての砲塔が宙へと浮き、独立砲台となって機能すると、ムー艦隊に対して盾となるように展開する日本、ミリシアル、グラ・バルカスの連合艦隊に対して6基18門の砲口を向ける。

 そして、マギは解き放たれ幾本もの光線が大気を貫くように迸り、船速の遅くなった「プロキオン」にその牙が向けられた。

 いとも簡単に装甲が抉られた後に光線の業火で装甲や人が焼かれ、わずか数秒で弾薬庫にも火の手が周り誘爆。

 「プロキオン」だった船体は激しい劫火とともに消し飛んだ。

 

「プロキオン……轟沈っ……」

「……わかっている!」

 

 オリオン級さえ簡単に消し飛ぶ威力に同級艦の「ベテルギウス」に乗るアルカイドは恐怖を覚える。

 海面にただ浮かび、その艦内では炎でのたうち回る「プロキオン」の光景が目に映り、狼狽する余り参謀を叱責する。

 ヒュージに焼かれかねない恐怖に覚えながら、戦い抜かなければならない『煉獄』は始まりを告げた。




■次回

第十一話【煉獄】
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