日本国召喚×アサルトリリィ-World Allied Forces-   作:空社長

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第十一話【煉獄】

_中央暦1642年4月23日_

カルトアルパス湾

 

 グラ・バルカス帝国艦艇が既に8隻沈み、ムー艦隊が半数に減じた今、実質的な主力は日本と神聖ミリシアル帝国のみとなっていた。

 日本艦隊は第3護衛隊の6隻が小破・中破の損害を受けつつも健在であり、神聖ミリシアル帝国艦隊は第零式魔導艦隊と第23魔導戦隊、南方地方隊を合わせた26隻で、その内3隻が沈んだものの23隻が健在だった。*1

 

「主砲命中率76%!」

「まだだ……まだ引きつけろ、全門斉射ぁ!!」

 

 グラ・バルカス帝国艦隊が壊滅することを憂いたバッティスタの指揮の元、ミリシアル最精鋭の第零式魔導艦隊がグラ・バルカス帝国艦隊の眼前に躍り出る。

 ギガント級の周囲に浮遊する小粒群及びラージ級へと照準を向けると、青白い弾道を描く砲弾を撃ちだした。

 魔導戦艦、魔導巡洋艦、小型艦問わず、第零式魔導艦隊の14隻から発射された魔導砲弾は滞空していたスモール・ミドル級群のみならず、ラージ級、ギガント級にも殺到する。

 100㎜クラス以上の砲にスモール級群は粉砕され、魔導戦艦の38.1㎝霊式魔導砲から放たれた砲弾はラージ級のマギ結界に対する魔力干渉で装甲に傷を付け、多数の砲弾が集中したギガント級はマギ結界に魔力が作用することで変容が起きていた。

 

 当然、ギガント級は敵砲弾が装甲に作用する異常に即座に気が付いた。

 となれば、当然目標も変更され、砲口が白く光り充填が完了していた18門の主砲は神聖ミリシアル帝国艦隊に向けられ、光の奔流を撃ちだした。

 その奔流は二つに分けられ、一つはシルバー級2隻を吞み込んで吹き飛ばし、もう一つはゴールド級魔導戦艦「ガラティーン」の前方海面に着弾した。

 誰もがほっとしたのもつかぬ間、大きな割れるような轟音と共に「ガラティーン」の船体が真っ二つに割れる。

 

「が、『ガラティーン』轟沈!!」

「ば、ばかな!!」

 

 攻撃をよけた筈の艦が沈んだことに艦橋要員は動揺し、平静を保っていたバッティスタも焦りを隠せていなかった。

 

「……水蒸気爆発」

 

 ふと、クロムウェルが口を開く。

 

「水が膨大な熱を急に受けた際に発生するものです。理論上は耐衝撃装甲強化をしていない艦の底面装甲も破れます」

「……クロムウェル君は物理系の技官だったか。……全艦、装甲強化せよ。第二射来るぞ!!」

 

 その命令が急いで伝達されると、「コールブランド」を筆頭とした各艦の船体が淡い光に包まれる。

 直後、幾本もの光線が迸る。

 魔導巡洋艦、小型艦は装甲強化しても尚貫かれ、シルバー級1隻が大破し、リバー級小型艦2隻が葬り去られる。

  

 今回の砲撃は複数方向へと行われており、日本艦隊へと行われた砲撃によってまや型ミサイル護衛艦「まや」が船体を撃ち抜かれて轟沈し、ムー艦隊は艦隊を構成する最後の巡洋艦であるラ・ホトス級が引き裂かれて沈んだ。

 特に日本の()()()が沈んだという衝撃は大きく、焦りは増大していく。

 

『こちら「あしがら」、本艦の誘導弾残弾無し。よって救助活動へと移行する』

 

 だが、直後聞こえてきた連絡に艦隊の兵士達は背中を押された気持ちとなった。

 必ず助けてくれる、そういう思いが生まれた。

 

「小型艦部隊を救助に専念させろ」

「『ジュバ』と『ラサラス』に救助任務に移行せよ、と伝えろ」

 

 その動きを受けて、バッティスタとアルカイドは一部の艦を救助活動に参加させる。

 そして、再び前を向きだした。

 

 わずかな間を経て、ギガント級は三度目の砲撃を繰り出した。

 砲撃を行ったばかりで装甲強化が間に合わなかったミスリル級「エクリプス」が奔流に呑まれ、業火の中で沈みゆく中で、バッティスタはその船に目も向けなかった。

 座乗艦「コールブランド」が主砲発射した直後、バッティスタは大声で命じた。

 

「魔導機関最大出力!!船体に魔力注入、装甲強化ぁ!!手順省略!総員衝撃に備えよ!!」

 

 淡い、だが船体を守るという強い決意の籠った光が船体を覆いつくす。

 その直後、激流が船体を襲う。

 最大強化しても尚、その暴力の前ではわずか数秒しか持たず、船体そのものに奔流が襲い掛かる。

 だが、数秒が運命を分けて生き残ることができた。

 

「被害報告!」

「右舷対空魔光砲全滅!各所で高熱による小規模な火災発生!魔力探知レーダーに異常!」

「……ですが、主砲は無事です!『クラレント』も同様!」

 

 次々にもたらされる痛ましい被害報告。

 だが、主砲が無事であることを告げられ、まだ戦うことができると将兵たちは闘志を燃やす。

 

「ならば、良い。装甲強化解除!主砲発射用意!!」

「ですが、主砲命中率が……」

「目測で撃て。ミリシアル海軍の意地を見せてやれ!」

 

 魔力探知レーダーが機能を停止した中で装甲強化が解除され、主砲と砲弾に魔力が充填されていく。

 そして、青白い輝きとともに魔導砲弾が撃ちだされる。

 目視での観測射撃という異例の砲撃方法だったが、その全てが悉くギガント級の装甲に直撃する。

 

「地方隊艦隊全艦前進!!『コールブランド』に目標を向けさせるな!」

 

 第零式魔導艦隊の前方に躍り出た南方地方隊は第零式魔導艦隊の装填時間をカバーするべく、砲撃を行う。

 絶えず無数の砲弾を当ててくる巡洋艦隊にしびれを切らしたのか、ギガント級は砲門の矛先を南方地方隊へ向ける。

 撃ちだされたエネルギーの束によって、元々甚大なダメージを受けていた南方地方隊旗艦の「ゲイシャルグ」が炎に揉まれて転覆して沈没し、さらに不運にも弾薬庫に誘爆した「ゲイブルグ」は轟沈してしまう。

 

「主砲発射!!副砲も撃ち続けろ!」

 

 さらに日本・ミリシアル艦隊に図らずとも守られる形となっていた戦艦「グレード・アトラスター」は魔導戦艦群と肩を並べて戦列をくみ出す。

 破壊された3番砲塔を除き、右舷側に砲塔を向けられる46㎝主砲2基6門、15㎝副砲1基3門が轟音と共に火を吹いた。

 

「やはり戦いとはこういうものでは無くてはな。無辜の人々を守るという正しき使命の下で戦うことがな。我らがやろうとしていたことは、世界を嘲笑い、平和的な会議を壊す蛮行そのもの、パガンダと同じ蛮族になり下がることになる」

 

 「グレード・アトラスター」の艦橋にて指揮を執るラクスタルは心が躍る感覚を感じていた。

 皮肉を込めて、数年前転移直後のグラ・バルカス帝国の皇族を処刑し、帝王グラ・ルークスの逆燐に触れて滅ぼされたパガンダ王国の行為を例える。 

 それは本国の命令に逆らう事になるが、アルカイド司令も承知していた。

 

「はっ、無論です」

 

 副艦長のレクトもラクスタルの発言を肯定する。

 

 場面は変わって、第3護衛隊旗艦「あまぎ」の戦闘指揮所。

 薄暗いCIC内で三浦は戦術モニターを見つめる。

 そこには健在な4隻の護衛艦、LOSTと記された「まや」、戦列を離れた「あしがら」の俯瞰図が描かれていた。

 その状況に三浦は苦悶の表情を浮かべつつ、インカムを使い通信を行う。

 その相手は、LG『鎖日隊』隊長の愛菜だった。

 

「まだか?」

『すみません。ギガント級がこちらの意図に気づいたのか、複数のケイヴを出現させ、その対応に追われています』

(さすがはヒュージを統べる者か……)

 

 三浦は内心舌打ちするとともに、ギガント級の対応を讃える。

 

「やはり、ノインヴェルトで片付けた方が早いか?」

『はい……』

「だ、そうだ」

『り、了解です!』

 

 三浦の言葉に緊張した口調で応えるのはLG『ヘオロットセインツ』の彩月。

 

「予定通り、早めにできるなら開始してくれ」

『了解!』

 

 同じ頃、二人のリリィがギガント級の頭上に飛ぶ。

 

「フェイズトランセンデンス!!……きついけど、いっくよー!!!」

 

 双葉が疲労を蓄積し息を吐きながらも、フェイズトランセンデンスS級を発動。

 

「ファンタズム」

 

 その声に美由希がレアスキルで応える。

 迎撃で飛んでくるレーザーの弾着先を二人で共有して避けつつ、CHARMを振り下ろす。

 ギガント級の周囲はマギ濃度が強く、それに応じて攻撃力の高くなったCHARMがギガント級のマギ結界を突き破る。

 そして、1つの脚に強く叩きつけられ、損壊した脚部は自重に耐えかねて崩壊して体が傾く。

 

 リリィ達の想いの籠った一撃を叩きこむ戦いは始まった。

*1
魔導巡洋艦「ゲイボー」は放棄しており、実質沈没判定




■次回

第十二話【一撃】
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