日本国召喚×アサルトリリィ-World Allied Forces-   作:空社長

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オリジナルリリィばかりしか出せないかもしれない……


第四話【転機】

_中央暦1642年4月22日_

カルトアルパス港

あまぎ型ミサイル護衛艦「あまぎ」艦橋

 

「そうか……代表団全員が脱出に成功し、現在は駅へと向かってるか」

「ええ、ミリシアルの"皇帝旅団"の援護もあり、安全は確保されているようです」

 

 三浦は参謀より代表団についての報告を受けていた。

 「皇帝旅団」という用語に疑問符を浮かべるも、今は気にすることでは無いとその思考を振り払う。

 

「各国護衛艦隊へ戦闘準備は発令されているか?」

「はい。各国代表団が無線や魔信などで伝達したそうです」

 

 三浦は確認を重ね、方針を決める。

 

「ならば、まずは港湾管理局への連絡だな」

 

 三浦はそう言うと、椅子にあった魔信の送信機をおもむろに掴み、プレストークスイッチを押す。

 

「こちら日本艦隊、聞こえるか?」

 

 そう話し一拍置くと、数秒して返事があった。

 

『こちら港湾管理局長ブロント!長い話は無理だ!奇妙な敵が来ている!何人も同僚が殺された!』

 

 音は遠いが、人が切り裂かれるような音、機械が破壊されるような音、悲鳴が三浦の耳にまで届いていた。

 

「我々に援護させてくれ。その上で港湾部の住民とともに避難してくれ」

『何を言うんだ……ここを離れるわけには行かないだろう……何を、知っているんだ……?』

 

 ブロントは焦る心境の中、日本の言葉を不審に思う。

 

「詳細は後ほど話す。今は信じてほしい。それと出港の許可も頂きたい」

『……う、む。わかった、今は信じよう。だから援護をしてくれ』

 

 ブロントは怪しげに感じていたものの、自分たちの置かれている状況を鑑みて、猫の手も借りたい気持ちで日本に応援を頼んだ。

 三浦はそれを快諾し、魔信を切る。

 そして、各国護衛艦隊へ魔信の波長を合わせると、無線と共に繋げる。

 

「こちら日本艦隊。代表団より話を聞いていると思うが、我々は謎の敵の攻撃を受けている。どういう顛末なのか、あれは前いた世界で我が国が戦争を繰り広げていた敵だ。疑問はあると思うが、指示を聞いてほしい。まず、木造船舶はカルトアルパスより退避して欲しい。その上で各国艦隊には我が艦隊と共に敵の注意を引き付けて欲しい。賛同する者を求む」

 

 各国艦隊の間でざわめき、疑念、混乱が走る。

 だが、それを収めたのはある二通の魔信だった。

 

『こちら、ムー海軍。賛同する』

『本戦隊、帝国海軍第23魔導戦隊も賛同する』

 

 列強第一位と列強第二位の国の賛同によって、方針に迷っていた国々は次々に賛同し始める。

 

「よし。待機中の……都市戦に得意なのは確か『ヘオロットセインツ』だったな。港湾管理局の援護に出撃させろ!」

 

 各国の賛同を聞き、三浦はレギオン出撃を命じた。

 東京御三家ガーデンの1つ、「御台場女学校」に属するLG『ヘオロットセインツ』。

 特殊作戦に参加することもある特務レギオンでは無い私立学校の通常レギオン部隊は初めて異世界の地を踏む。

 

同港

グラ・バルカス帝国海軍戦艦「グレード・アトラスター」

 

 会議参加国のほとんどが賛同に回る中、日本国と同じ転移国家で新規参加国のグラ・バルカス帝国は行動に迷っていた。

 

「敵か……やはり油断ならないな。アルカイド提督には連絡したか?」

 

 艦長のラクスタル・エルヴァット大佐は眉をひそめつつ、日本艦隊の様子を伺っていた。

 

「確かに送りました……しかし、本当でしょうか?拘束されて欺瞞情報を送らされたのでは?」

 

 副艦長のレクト・オーリン大佐は不安げな表情を顔に貼り付ける。

 突然の宣戦布告の撤回、その急な方針転換は動揺を誘うのは当然だった。

 しかし、嘘と断言できる光景でも無かった。

 

「君も見ただろう。議場から煙が上がる様子を。加えて、遠目から爆発が起こるのも見えた。それにシエリア課長からの報告も嘘とは思えない……ん?なんだあれは?」

 

 ラクスタルは理由を並べてレクトの意見に異論を言う。

 海軍特務軍の東征艦隊司令官であるアルカイド提督に作戦中止を告げるなど、確実に賛同への意思に傾いていた。

 そんなラクスタルは唐突に見えた光景に違和感を感じて双眼鏡を覗くと、その顔は驚愕に染まる。

 

「……女学生が……なぜ?」

 

 同じく双眼鏡を覗くレクトも驚きを隠せず、声を漏らした。

 

「件の報告書にあった少女か。シエリア課長からの報告は正しかったようだ」

 

 複数の少女が銃とは比較にならない大きな武器を抱えて、人間離れした跳躍で港湾管理局の施設へと移動していく様子に、ラクスタルは頼もしさすら感じていた。

 それを眺めていく内に、ラクスタルの中で決心が生まれた。

 

「レクト大佐、ここは共闘しよう。同盟国がいなかった我が国初の共闘、何事も経験だ」

 

 ラクスタルの声はわずかに上気していた。

 作戦に乗り気ではなかった証拠であり、国が違う者同士が同じ目的で戦うことに一種の浪漫すら感じていた。

 

「……艦長の指示に従います」

「感謝する。本艦には魔信機はあるが、相手の波長が分からない。まあ……どこか拾ってくれるだろう」

 

 ラクスタルはそう言うと、魔信機、無線機双方のプレストークスイッチを押し、言葉を発する。

 

「こちら、グラ・バルカス帝国海軍、戦艦グレード・アトラスター。出港する。本艦も日本の提案に賛同する。また、敵対的な戦闘行動を中止させ、遅れて到着する東征艦隊と共に行動する。以上だ」

 

 「グレード・アトラクター」から送信された内容は無事に全艦へと受信されていた。

 その内容に疑念を持った者もいたが、多くの者はその巨艦が味方になることに歓喜した。

 

『……感謝する』

 

 三浦は先ほどまで警戒していた戦艦が味方として動いてくれることに、これほど頼もしいことはないと感じ、感謝の言葉を告げた。

 

カルトアルパス港湾管理局

 

 LG『ヘオロットセインツ』3番隊が向かった港湾管理局はあちこちに瓦礫が散乱していた。

 カルトアルパス港湾防衛隊とヒュージが交戦した形跡が見え、撃破された車両や血を流して倒れる兵士や港湾管理局員の姿も見受けられた。

 御台場女学校から既に卒業したリリィがいたならば、大勢の犠牲を出した日の出町の惨劇、新宿エリアディフェンス崩壊事変を思い出させた事だろう。

 

「……行くよ」

 

 黄髪ワンサイドアップの少女──川田(かわた)彩月(さつき)は守れなかった悔しさにCHARMを持ってない手を震わせながらも、2年生の意地を見せて声を絞り出す。

 

「はい!」

 

 薄橙髪の一つ結びした少女──尾竹(おたけ)初音(はつね)が沈んだ雰囲気の中で元気よく声を上げる。

 その声に影響を受けたのか、他三人のリリィはやる気を取り戻した。

 

 建物の中に入ると、様々な機械が損壊した痕跡と、複数体のスモール級ヒュージ──テンタクル種オルビオ型が我が物顔で跋扈していた。

 一体のオルビオ型がリリィの接近に気づいて視線を向けるが、マギの弾丸とレーザーを叩きこまれて、青い体液をまき散らしながら沈黙する。

 

「お前たちは……いや、頼む……上に局長が……」

 

 その近くには負傷し物陰に隠れていた局員がいた。

 左肩を焼かれて血を流して苦しんでいる姿に、思わず少女達は胸を痛める。

 しかし、自分達の使命を思い出し、彩月は指示を出した。

 

「一人、彼についていて。局長を救出したら一緒に脱出する」

「分かりました!」

 

 一人のリリィが返事をして、他三人は2階へと向かう。

 2階でも二人の局員が倒れており、一人は既に亡くなっていたが、もう一人は腹を負傷しながらも生きていた。

 そして、遠くには形状は見えないがミドル級ヒュージとスモール級ヒュージ数体がおり、その奥に人影が見えて拳銃のような発砲音が聞こえていた。

 あれが局長だろうと判断した彩月は初音に指示を出す。

 

「私と二人でスモール級を倒す。初音はその間にミドル級をお願い」

「分かった……!」

 

 その会話の合間、ブロントは必死に魔導拳銃を目の前にヒュージに撃ち込んでいた。

 だがミドル級、それも装甲が厚い部類であるテンタクル種ディアマント型に、マギの恩恵を受けていない拳銃は効くはずも無く、無常にも弾かれる音が鳴る。

 

「来るな……!化け物!どうして効かないんだ……!」

 

 ブロントは恐怖に怯え、その非情な現実に不満を漏らす。

 だが、その時ディアマント型に追随していたスモール級が爆炎を上げて沈黙し、ディアマント型の挙動が一瞬止まる。

 その隙を見逃す筈も無く、初音は自分が持つCHARM──『アステリオン』のブレードモードで三本の脚を確実に破壊すると、ブロントの正面に立ち、硬い装甲で守れた球状の胴体で唯一やわらかい部分、三つの光点が浮かぶ目を貫いた。

 アステリオンを抜くと、青い体液を吹き出してディアマント型は倒れる。

 

「大丈夫ですか?」

「ああ……大丈夫だ」

 

 今の戦闘の光景に呆然としていたブロントの下に、スモール級を全て掃討した彩月が赴いて声をかける。

 ブロントは自分の体に傷がついていないかを確認して、返事をした。

 

「では、脱出し……!!」

 

 彩月がブロントに声を掛けようとした瞬間、初音がブロントと損壊した窓の間に立ちふさがる様に立つと、CHARMを展開して降り注ぐ光線から身を守る。

 だが、面積の少ないアステリオンでは全て防ぐことができず、初音は自分の身にも代えてでもブロントを守った。

 肩や左腕がレーザーに焼かれ、彼女は痛みに声を漏らす。

 

「飛行型……撃て!」

 

 彩月が咄嗟に上空へとCHARMの砲口を向けて弾丸を撃ち放つ。

 次の瞬間、被弾した飛行型ヒュージ──ペネトレイ種カウダ型は地に墜ちる。

 

「大丈夫なのか?」

「こんなのへっちゃらですよっ……さあ脱出しましょう」

 

 ブロントは初音の負傷した体を見て、思わず心を痛ませた。

 彼女の言葉に納得いかないブロントだったが、迷惑をかけるわけにもいかず港湾管理局から無事な職員と共に脱出を果たす。

 ブロントは後に神聖ミリシアル帝国のリリィ育成教官の一人となるが、それはまた別の話である。

 

あまぎ型ミサイル護衛艦「あまぎ」戦闘指揮所

 

「飛行型ヒュージ出現!!数、多数!!」

 

 カルトアルパス湾上空に数多くのどす黒い渦が浮かび、そこからカウダ型等の飛行型ヒュージが這い出るようにして出現した。

 艦隊のヒュージサーチャーでも捉えたその反応に、三浦は内心舌打ちする。

 

「早いな……仕方ない」

 

 三浦はすぐに魔信のプレストークスイッチを押し、全艦に繋げる。

 

「全艦、防空戦闘用意!!」

 

 舞台は第二幕へと移行した。




■次回

第五話【脅威】
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