日本国召喚×アサルトリリィ-World Allied Forces-   作:空社長

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筆が少し止まり、投稿に時間がかかってしまった。
ラクスタルの口調が合っているのか少し心配ではあります。
ちなみに、リリィの能力たる「レアスキル」は使ってません。まだ使う段階でもないので。


第五話【脅威】

_中央暦1642年4月22日_

カルトアルパス湾

 

「スモール級、数100、いやそれ以上です!ミドル級も複数確認!!」

 

 護衛艦「あまぎ」のレーダー手が戦闘指揮所にて声を荒上げる。

 三浦は内心忌々しいと思いながらも、第3護衛隊全艦に戦闘用意を命じており、主砲、対空機関砲、ミサイルVLS共にすぐに攻撃できる用意を整えていた。

 各国護衛艦隊にも伝えてはいたが、三浦は戦艦随一の防御力を誇ると思われる戦艦「グレード・アトラスター」以外はそこまで期待していなかった。

 機甲戦列艦や木造船舶等の防御力が貧弱な船舶に対しては尚更であり、脱出を急がさせていた。

 

 円錐形のヒュージ──ペネトレイ種カウダ型が胴体後部から噴射炎を焚き、三体ずつに分かれて編隊を組み、カルトアルパスの上空を亜音速で移動を開始していた。

 それに対し、海上防衛軍が取れる手は幾つもあるが、三浦はその一つを迅速に指示する。

 

「SAM発射始め!」

 

 護衛艦6隻の垂直発射装置が開口した直後、白煙と共に白い筒が次々に撃ちだされていく。

 艦対空ミサイル。ヒュージ戦争前からの多数目標への同時照準を可能とするイージスシステムの真価が発揮され、数十発以上のミサイルがカウダ型の編隊へと向かっていく。

 

「誘導魔光弾だと……!」

 

 日本艦隊を囲う形で配置されていた第23魔導戦隊のミスリル級魔導戦艦「フォーキオン」の艦長はそう言葉を残し、固まってしまう。

 

「なるほどな……火力が貧弱だとは思ったが、あの規模の火力を生み出せるのであれば、主砲は不要だな」

 

 あまぎ型で20㎝連装砲1基、なち型とまや型に至っては127㎜砲1門という主砲火力の貧弱さと、前後甲板の広いスペースに疑問を持っていたラクスタルも驚きを隠せず、納得していた。

 

 数発単位で発射されたミサイルは次々にカウダ型へと着弾し、空中に爆発を起こしていく。

 幾度も直撃するミサイルによってカウダ型は次々に砕かれ、破片が飛び散っていく。

 海上防衛軍以外の誰もが日本が完封してくれることを期待した。

 

 だが、現実はそう簡単に事が運ぶことなどなかった。

 ヒュージの総数自体が多いため、撃墜できているのは微々たる数でしかなかった。

 

「スモール級集団、前進!一部編隊が降下しています!!」

 

 カウダ型が狙ったのは、脱出を終えていない木造船舶群の最後尾、アニュンリール皇国の使節船だった。

 カウダ型の編隊は容赦なく光弾をばら撒き、装甲は粉砕され船体は水中へと引きずり込まれていく。

 神聖ミリシアル帝国並みに発展している本土を秘匿し、文明レベルが低いように見せているという謎の国であったが、それでも撃破されて良い訳ではなかった。

 

「”あしがら”に救助を命じてくれ。各国艦隊にも救助要請!それと、対空射撃開始!!」

「各国へ対空射撃要請は?」

「冷戦期戦闘機並みのヒュージには当たらんだろう!」

 

 三浦は参謀を叱責する。

 半端な迎撃では敵を分散させるだけ。そう判断した三浦は第3護衛隊のみの迎撃に徹した。

 直後、あまぎ型に搭載されている6基の、まや型でも2基搭載されているレーダー複合型の20㎜多銃身機関砲が銃火を吹く。

 加えて、遠隔操作式の12.7㎜機銃が猛烈な連射力で弾幕を撃ち放つ。

 

「なんと……」

 

 それに驚いたのは近接信管砲弾の開発、空母の新規建造や防空艦の開発など、航空戦力の優位性を見出していたグラ・バルカス帝国だった。

 戦艦「グレード・アトラスター」のハリネズミのように配置されている対空設備の全力稼働でも成し遂げられないその弾幕に衝撃が走った。

 

「彼らはあの対空能力を必要とする敵と戦っていたのですね」

「事実、対策された防空火器によって上空の敵は粉砕されている、我々の出番、いや我々が役に立つかどうか……」

 

 ラクスタルの言う通り、カウダ型の大群はその弾幕を突破できず、その骸を水中へと墜とし続けていた。

 しかし、新たな反応がヒュージサーチャーに現れる。

 

「飛行型ヒュージ、更に出現!該当データからリッパ―種ラマ型と判明!」

「くそったれ!」

 

 三浦は自身の経験から愚痴を吐く。

 彼の脳裏に浮かんだのは、リッパー種の装甲を貫くことができず接近を許し、次々に被弾・炎上していく護衛艦の姿。

 その光景を振り払うと、魔信のプレストークスイッチを押した。

 

「敵の別種が現れた。各国の防空援護を要請する」

『グレード・アトラスター、了承した』

 

 三浦の要請に、一足早く答えたのはラクスタルだった。

 それに続き、神聖ミリシアル帝国とムーも要請を承諾する。

 

 新たなヒュージ──真ん中が空洞のリング状をした胴体と鋭いブレード状の四本脚を持つリッパー種ラマ型の集団はヘリ程度のスピードで移動を開始する。

 カウダ型に続き、ラマ型にも鉛玉の雨が叩きつけられていく。

 しかし、カウダ型と比べて抗堪性が高いラマ型は青い体液をまき散らしながらも、護衛艦6隻による弾幕をすり抜ける。

 

 それに対し、戦艦「グレード・アトラスター」、ミリシアル艦隊、ムー統括海軍は迎撃を開始。

 25㎜機銃及び3連装高角砲が、アクタイオン25㎜連装魔光砲が、12㎜機銃の雨が上空に打ち上げられる。

 戦艦「グレード・アトラスター」はハリネズミが如く装備されている機銃や多数の高角砲から多数の銃火が放たれていき、複数のラマ型が絡め取られ、幾多もの高角砲弾の直撃によって粉砕されていく。

 ミスリル級魔導戦艦「フォーキオン」及び「エクリプス」も密度は比較的薄いものの、56門搭載されているアクタイオン25㎜連装魔光砲から曳光弾が如く光の雨を演出し、なかなか墜ちないラマ型に対しても1体ずつ全門を集中させるという過剰な対応で撃墜に成功していく。

 一方で、ムー艦隊はラ・カサミ級が12㎜機銃8丁しか搭載しておらず、前級でも次級でもその違いは数が2基違うだけに過ぎず、他の艦隊に比べ10隻と数は多いが、個艦防空能力が致命的に不足していた。

 12㎜機銃をラマ型へと集中させるが、艦隊の数が多いだけに、ヒュージの標的となりやすく、弾幕をすり抜けていく個体が続出する。

 

「ムーの艦隊に敵が接近しています!」

 

 「グレード・アトラスター」の見張り員の報告で、艦橋に居た誰もがムー艦隊の方へと視線を向ける。

 

「やはり対空砲火の密度が薄い……あの頃の戦艦はあまり航空機が脅威ではなかったから仕方ないか……だが、味方がやられるのは困る、すぐに……!」

 

 ラクスタルは自身が学んだ海軍の歴史を振り返りつつ、指示を出そうとするが、双眼鏡を覗く自身の眼に映る光景に固まる。

 

「また、彼女たちですか」

「ああ……全く何度驚けばいいのだ」

 

 それは少女達──リリィがラ・カサミ級等の戦艦群の艦上に立ち、ヒュージを迎撃している様子だった。

 

「……あの武器、どういう構造なのでしょう?」

 

 レクトがリリィの持つCHARMに関心を向ける。

 グラ・バルカス帝国にも銃剣というのは存在するが、あくまで剣は接近戦時のみ使う補助的な役割であり、身長近くある武器で剣と()を変形させて使い分けるなど、常識には無かった。

 

 ムー艦隊艦上にいるリリィ達──LG『ブルーフロート』。

 LG『鎖日隊』同様、日本政府が自由に動かせるレギオンではあるが、異なる点としては海上防衛軍直轄の海上戦専門のリリィ部隊であることだった。

 旧世界『地球』における日本の立ち位置は、資源産出量が少なく国内供給の大部分を輸入に依存する国家であった。

 ヒュージにも限界はあるとはいえ神出鬼没に出現する以上、コンテナ船を護衛無しで航行させるのは心許なく、対ラージ級を意識して設立されたのがLG『ブルーフロート』であった。

 

 対空砲火の中を戦闘出来るよう専門的に訓練された彼女達はムーの戦艦群の艦上を縦横無尽に走り回りながら戦闘する。

 1人の少女が止まり、分厚い刀身を持つCHARM──『ティルフィング』を構え、接近してきたラマ型を一閃する。

 すかさず飛び退いて青い体液が降りかかるのを回避すると、射撃モードへと切り替えて比較的太い砲身を上空へと向ける。

 

「発射」

 

 その言葉と共に、砲口から連続で弾丸が放たれる。

 その猛烈な連射に、ラマ型やカウダ型複数体が一網打尽にされていく。

 彼女の視界に残ったラマ型が光弾を撃ってくるのが見えるが、射撃を加えて撃墜すると共に、射角外に降下してきた一体のラマ型にジャンプしながら胴体ごと左右に断ち切った。

 

戦艦「グレード・アトラスター」

 

「凄いな……」

 

 少女の戦いぶりを遠目から観察していたラクスタルらは感嘆とした表情を浮かべていた。

 そんな彼らに見張り員からの報告が届く。

 

「敵四体。弾幕を抜けました!」

「副砲にて迎撃しろ!」

 

 直後、艦橋基部前方にある15㎝3連装副砲が火を吹き、ラマ型三体を葬り去る。

 だが、一体のみその爆風から逃れ、光弾を発射してきた。

 

「総員衝撃に備え!」

 

 ラクスタルが叫ぶ。

 「グレード・アトラスター」全体に15㎝砲弾が直撃した程度の揺れが響く。

 その光弾は重要防御区画を貫通する事は一切無かったが、いくつかの機銃や高角砲を吹き飛ばしていた。

 

「日本艦隊に敵が接近!」

 

 第3護衛隊の方を向いていた見張り員の報告が入る。

 高密度の弾幕が奇跡的に向いていなかった方を潜り抜け、ラマ型数体が「なち」に接近し、光弾を発射する。

 ラクスタルは黒煙が上がる光景を幻視したが、光弾は「なち」の装甲壁面にぶつかる寸前で止まり、消失した。

 

「は……どういうことだ!?」

 

 友軍艦ではあるが、その不可解な光景にラクスタルは思わず疑問の声を出す。

 

「……戦争を繰り広げていた敵、被弾した際の対策もしているのでは……?」

「……かもしれないな」

 

 レクトの回答は的を射ていたが、ラクスタルは信じることが出来ず、曖昧な反応を返す。

 その直後、急報が入る。

 

『全艦に通達。敵大型種が出現、各艦は警戒を厳重にせよ』

 

 カルトアルパス湾中央部に先程とは桁違いの大きさもあるどす黒い渦が複数出現する。

 そこから現れたのは全長十数メートルも巨大な個体。

 

 ラージ級──地球人類が現代兵器を持ってしても苦渋を舐めさせられた敵が出現した。




■次回

第六話【共闘】
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