異世界3Dプリンター転生 ~伝説の聖剣?材料さえあれば量産できますよ~ 作:ARX-787B/55「風籟」
オリジナル:ファンタジー/日常
タグ:神様転生 残酷な描写 転生 3Dプリンター 異世界 製作チート
というコーナーへ私が投稿し、採用されたネタがベースになっています。
その時の投稿内容は以下の通り↓
主人公は、巨大建造物の出力が可能な世界最大級の3Dプリンターの
メンテナンス中に、爆発事故に巻き込まれ死亡した。
気が付くと見知らぬ森の中に立っていた。
そして何故か、自分自身が3Dプリンターになっていたのである。
このままでは埒が明かないと思った主人公は、
人間とモンスターの死体を素材にして獣人型外部端末「アルケラ(狐耳美少女)」を出力した。
そしてアルケラを利用して周囲のモンスターを狩り、安全を確保したうえで
自身の拠点となる建物を出力した。
一方その頃、突如として現れた人工建造物とモンスター激減の原因を調査すべく、
冒険者ギルドが動き出していた。
調査チームを待ち受けていたのは、
「武器・防具、アイテム何でもござれ アルケラ印の工房」だった。
メインキャラクター
「俺」…名前のない「3Dプリンターの姿をしたナニカ」。工房の「真の主」
アルケラ…狐耳ボクっ娘美少女。工房の看板娘
以下三人は今回のゲストキャラ
ルカ…母親の病気を治す薬を求めて工房にやってきた少年。
ハーディ…名前を偽装し、身分を隠して旅をしている王子。ジミーとは前世からの因縁がある
ジミー…ハーディとは前世から因縁のある「村の平凡な道具屋の跡継ぎ息子」
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異世界転生405日目(日誌を書き始めて365日)。
アルケラを出力してもう1年が経とうとしている。
相変わらず開店休業状態が続いているが、俺もアルケラも
食事の必要がないので心配することは無い。
とは言え、時々この「静寂の森」に迷い込んでくる人が居る。
この前迷い込んできた少年、ルカの母親は元気になったのだろうか。
彼は病気になった母親の為に「マルチポーション」の
素材を採集している時にモンスターと遭遇し、この工房に避難してきた。
涙ながらに窮状を話してくれたルカの想いに心を打たれ、俺は
マルチポーションの作成に取り掛かった。
ルカの採集してきた素材があれば100個は余裕で作れるのだが、
彼は1個で良いと言った。
なんて謙虚な子なのだろう。おじさん益々張り切っちゃうぞ。
…って俺はおっさんじゃない。
気を取り直して、人体に悪影響が出ない程度に濃縮したマルチポーション1つと、
それを錠剤サイズに固形化したマルチポーションタブレット20箱(1箱6個入り)を出力した。
翌朝、アルケラを護衛につかせ、ルカを見送った。
近頃、新進気鋭のママさん冒険者が凄い勢いでランクを上げているらしいが
ルカと同じ苗字なのは偶然だろうか。まあ、俺には関係ない話だ。
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おいッス。ここからはアルケラがルカ君を送る時にあった出来事を語るッス。
道中で、モンスターに襲われている二人組に出逢ったッス。
一人は剣士で、もう一人はアイテムを駆使して戦っていたッス。
でも、ずっと戦い続きだったのか、二人とも疲弊していたッス。
「ちくしょう、いくら斬ってもキリがない!」
「こっちも手持ちが尽きそうです!」
このままだと二人とも力尽きてしまいそうッス。
「義を見てせざるは勇無きなり」
ボクの御主人が好んで使う言葉ッス。
「ルカ君、ごめんね。ちょっとここで待っててほしいッス。」
ルカ君に「魔除けの
ボクの加勢で戦況は一気にひっくり返ったッス。
モンスターたちは退散し、一先ず落ち着けたッス。
「いやあ、助かったよ。」
なんか明らかに「ええとこの坊ちゃん」な青年が御礼を言ったッス。
「これくらいどうってことないッス。「義を見てせざるは勇無きなり」ッス。」
「え!?その言葉って…」
なんとなく「引っ込み思案だけど裏方仕事が凄くできそう」なメガネ青年が
反応したッス。
「ボクの御主人が「ざゆうのめい」とか言って好んで使う言葉ッスけど。」
「ねえハーディ、もしかしてこの子のご主人様って…」
「ああ、オレ達と「同じ」かもしれないな、ジミー。」
何か急に二人でひそひそ話を始めたッス。
坊ちゃんがハーディ、メガネがジミーっていうらしいッス。
「改めて名乗らせてくれ。オレはハーディ。で、コイツはジミー」
「本当に助かりました。僕とした事が、旅の途中にアイテムを切らしてしまうなんて…」
「とにかく助かって良かったッス。あ、名乗って無かったッスね。
ボクはアルケラ。この森の奥で工房やってるッス。アレなら寄ってみるッスか?」
「有難い。そうさせてもらおう。君のご主人様にも会ってみたいしな。」
「でも、どうやって行けば良いんですか?似たような景色ばかりで迷いそうです。」
「それなら、コイツをあげるッス。」
「これは…?」
「
工房までたどり着けるし、モンスターにも遭わないッス。」
「ここまでして頂けるなんて、有難うございます。では、先に行ってます。」
「了解ッス。あ、御主人なんすけど、なんか角ばってるけど優しいッスから
面食らわないでほしいッス。」
二人と別れたボクは、孤独と恐怖で泣き出しそうだったルカ君の下へ急いで駆け付け
町に着くまでずっと慰め続けながら歩いたッス。
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「…話はアルケラから聞いている。何故笑いをこらえている?」
俺は二人の青年が必死に笑いをこらえているのを眺めていた。
俺はただ、受付の台に鎮座しているだけだ。
なのに二人には珍妙な光景に見えるようだ。
「だって、彼女の言葉通り過ぎて思わず…w」
「異世界に3Dプリンターがあること自体が…おかしいんですよwww」
「俺だって好きでこんな姿になった訳じゃない。超巨大3Dプリンターの
爆発事故に巻き込まれて、気付いたらこの姿で異世界に居たんだ。」
「超巨大3Dプリンター…もしかして「ヴィスヴァカーマ」ですか?」
ヴィスヴァカーマを知っているのか。どうやら同郷のようだ。
「ジミー、何だ、その舌を噛みそうな名前のやつは?」
「日本とインドの共同開発による、世界最大級の3Dプリンターです。
製造は日本の名だたる重工業メーカーが、制御プログラムはインドの
天才エンジニアが担う、現代に人工の創造神を作る国家プロジェクトです。
でもあれは、第三次世界大戦の余波で開発中止になったはずでは…」
「ああ。一度は凍結されたが、俺が生まれる5年前から再び動き出した。
そして俺が25歳の時に初めての大規模メンテナンスがあり、そこで俺は死んだ。」
「そうだったんですね。僕と先輩が事故で亡くなってしまい、
見ることのできなかった未来に貴方は立っていたんですね。」
「…それが幸せな事だったかどうかは分からないがな。」
迂闊な発言だった。二人の顔が急に暗くなった。
彼らには言えない。富裕層が真っ先に日本を脱出し、
逃げられなかった者達が戦火に晒され、この世の地獄を味わった事を。
そして俺が、「見殺しをした側」だったという事実を。
「…話を変えよう。君達は何を目的に旅をしている?」
「魔王討伐だ」
「僕はそれもありますが、将来店を任された時の為に見聞を広めるのと、
取引できるルートと人脈を拡げる事も目的にしています。」
「ほう…ジミー君といったか。中々殊勝な心掛けだな。」
「おいおい、ジミーばかり褒めるなんて不公平じゃないか?」
「勿論君の事も良く知っているよ、ハーディ君。アルケラの眼を通じてね」
「なっ…!?」
「アルケラは俺が外部で活動するための端末だ。俺の眼となり耳となっている」
「それにしてはあざと可愛い姿をしていませんか?」
「ジミー君。だからこそ皆から警戒される事無く情報が集められるのだよ。
…話が逸れてしまったな。ハーディ君、魔王討伐という君の志も、
その為の努力も俺は否定しない。だが、今のままでは無謀な行為でしかない。」
「あの時はたまたま油断して…」
「その油断が命取りになるのだよ!幾ら人界の強者となっても、モンスター達は
それを上回ってくる。ハーディ君、君は1年前にこの近くで起きた
モンスターの大量発生による死者の数を知らぬだろう!?」
ハーディはしばらく黙った後、重い口を開いた。
「…42人。人口が300人程の村で、働き手である屈強な男性を失ったのは
あまりにも悲惨だった。」
「ハーディ、駄目だ!それ以上は…」
ジミーの制止を振り切り、ハーディは怒気を強めて言葉を続けた。
「だからこそ、オレの親父は真っ先に彼らの安全と生活を保障した。そしてオレは
以前よりも剣技を磨き、「百魔殺し」の近衛騎士団長から一本を取れるまで成長した。
…全ては諸悪の根源たる魔王を討ち滅ぼすためだ!」
ハーディの行動原理を聞いた俺は、俺なりの形で彼を助けようと思った。
「なら提案がある。うちのアルケラから1本取れるまで
ここに滞在するというのはどうかな?彼女の強さはよく知っているはずだ。」
「力をつける機会を与えてくれるのか?有難い」
ハーディは俺の提案に乗った。向上心のある若者は素晴らしい。励みたまえ、『ハデナ王子』。
「そしてジミー君、錬金術と鍛冶に興味は無いかね?
碌に道具がない状態でも出来る簡易合成と簡易錬成を教えてあげよう。」
「是非お願いします。きっとこれから、そういう環境ばかりになりそうですし。
僕のスキル、アイテムブーストとの相乗効果も期待できそうです。」
「ここを離れる時の為に、素材は好きなだけ持って行っていいぞ。
君たちの武器も、うちの素材と合成してより強力にしてあげよう。
その代わりと言っては何だが、君が店を任されたら、俺の工房の商品を
売ってくれないか?」
「はい、喜んで!師匠のためなら多少の無理は受け入れますよ。」
「おいおい、いきなり師匠呼びは恥ずかしいな。」
こうして、人の寄り付かない工房に二人の若き俊英が滞在することとなった。
ついでに俺は二人から「師匠」と呼ばれるようになった。
翌日、ハーディは朝から何度もアルケラに戦いを挑み、
その度に地面に叩きつけられ、大穴を開けて倒れていた。
その様子を、俺とジミーは眺めていた。
「ところでアルケラさんって、どれくらい強いんですか?」
「んー、そうだな。セーブモードだとバロネス級くらいの強さだな」
「じゃあ師匠が介入する本気モードだと…」
「グランプリンセス級だな。瘴気をたっぷり含んだ魔核を合成して
作り上げた人工の悪魔だ。可愛さはクイーン級どころかエンプレス級だがな。」
「親バカならぬご主人様バカになってますよ、師匠。」
アルケラに「高濃度イグゼグスポーション」を頭から掛けられたハーディは、
アルケラに両足を脇で挟むように持ち上げられた。
「これじゃ準備運動にもならないッス。え~~~~いっ☆」グルグルポイー
ドゴーン
アルケラの超高速ジャイアントスイングからの放り投げで、
ハーディは轟音と共に岩へ叩きつけられた。
彼のぶつかった跡が、くっきりと残っていた。
「今日も世界は、少なくともボクたちの周りは平和ッス!」
「平和じゃねぇーーーーーー!」
ハーディのツッコミが、静寂の森に虚しく木霊した。
終
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今回の短編制作にあたり、アイディアを提案して頂いた
アニ魂リスナーの「あぱラッキー」さん、「浪速ファイターズ」さん、そして
「人情派3Dプリンター」というキャラ付けをしていただいたヒビキさん
この場でお礼を述べさせていただきます。
ありがとうございました。
アイテム設定補足
・マルチポーション
生命力回復、病巣除去
・高濃度マルチポーション
生命力全快、病巣除去、能力倍加60日間
・高濃度マルチポーションタブレット
同上、固形なので長期保存可能
・高濃度イグゼグスポーション
生命力全快、超速自然治癒、即死回避
別名「ギャグ補正付与ポーション」
・
目的地を入力すると最適なルートを示す
・魔除けの
モンスターや悪魔が嫌がるにおいを発する袋、弱体化効果あり
人体に影響はない
人間に偽装した悪魔を炙り出すために使われることもある