山梨の事務所に今回の保健所からの動物回収の報告書を提出すると、
いつもよりこちらを気にした様子で事務員が声をかけてきた。
「ちょっとお耳に入れたいことが」
そういうと声を潜めて本題を告げる
「研究所の事が一般俺たちに漏れたみたいで」
信憑性の無い噂のように語られてますけど
「今からでもガイア連合公認の研究施設として登録しませんか?」
「・・・・いい」
それをやってしまえばライト層がガイア連合に不信感を覚えたり、
離反していくだろう。
唯でさえ登録し恩恵だけ享受して何もせず見ているだけの傍観勢が邪魔になってるのに、
これ以上ガイア連合の拡大の勢いを殺すのは不味い。
「・・・このまま・・・個人研究で」
そういうと女は事務員に背を見せ研究所に戻っていく。
研究所では個人或はグループに分かれて同時進行で研究が進められていく、
各人で散らばって閑散としたフロアを突き進み彼女個人の個室へと入っていく、
彼女のデスクには研究結果の報告書がいくつも確認待ちの状態で置かれていた。
・式紙パーツを移植した生物の経過報告書
・地球生命生存可能環境を再現した異界での哺乳類の健康状況の変化
・加護・祝福の未覚醒生命体の出力許容限界と肉体改造と霊基改造限界報告
・動物の悪魔化による同一性の維持の限界点
・未覚醒対象に対する回復魔術の限界について
・電脳異界内での繁殖サイクルと世代ごとの変質傾向
・悪魔合体技術の生命体への転用結果
・一般動物と悪魔化した動物の交配実験結果
・動物の死骸に悪魔を降霊した場合の式紙化の可能性
多くの研究が進む
しかしその結果には
悪魔化・破裂にて死亡・スライム化・ゾンビ化・凶暴性の増大鎮静不可の為処分・
記憶消滅・霊体の一部の損失・感覚器感に障害発生・生命維持できず死亡・
霊基崩壊治療不可安楽死死亡死亡死亡発狂死亡死亡死亡死亡消失死亡たすけて死亡死亡
死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡
死亡死亡死亡死亡死亡死亡消滅死亡死亡死亡死亡呪詛死亡死亡死亡死亡死亡死亡神罰死亡
死亡死亡死亡何故死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡死亡
読み進める自分の罪を、お前はメシア教と同じだと糾弾する幻聴を聞きながら
それでもガイア連合が進むためには、
悪魔に対抗して終末後にも人類が生き残るためには必要だと
罪を手放さないよう抱え続けることを選ぶ。
ここにいる者たちは誓って命を弄ぶことを望んでいない、
寧ろ命を助けたいから、未来を作りたいから
不平等に命を選んだ。
カリカリカリ ぱら カリカリ
読み終わり、指示書を書いて渡していく
最後の一枚を書き終わると自分の研究を進めるのではなく、
ある場所に向かう。
コツンコツン緩慢な足取りは内実の疲労の表れか。
そこは研究所の地下、
霊安室のように冷たく重い沈黙に満たされた空間には
無数の箱がしまわれていた。
霊安室のようとはある意味言葉道理である、
箱の中には生命活動が止まっている動物たちが眠っている。
死んでいるわけではない、箱の中は凍結封印と時間停滞にて
限りなく肉体と魂の劣化を遅くしているのだ。
彼女はそのフロアの中央の床に膝まづくと
ごめんなさい
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいさよならできなくて
ごめんなさいごめんなさいあなたをりゆうにして
ごめんなさいごめんなさいあなたのなかまにわたしたちは
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいたえられなくて
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいしばりつけて
ごめんなさいごめんなさいたえなきゃいけなかったのに」
箱の中に入ってるのは誰かの
あるものは病気であるものは寿命で箱から出せば一月もしないうちに
儚くなる命である。
彼らが箱に入れられ続けている最大の原因は彼らには霊的才能が無かったことだ
死後犬神という悪魔化/式紙化が実行できないと生前から宣告されてしまったものたち。
最初から死後の道がないなら諦められたのに
奇跡があるなら縋らずにはいられなかった。
だってズルいじゃないか
同じ
赤の他人の腹から出てしまった私たちの家族は
彼らだけが家という檻の中で
私達の家族は
弱くて孤独に耐えられない異邦人は罪を重ねる
どこまでもどこまでもその執着の名に愛の名を被せ
命の天秤はもう片方に無数の命を載せながらも
一切揺らぐことなく一つの命の重さで沈んでいる。
まあガイア連合員なんて究極の選民主義なんですけどね。 台無し感
家族とうまくいっていない転生者はまあ割といるみたい、
本人も転生者であることをコンプレックスというか拗らせてるのはいるでしょう。
ハワイ島移住の彼なんて家族に受け入れられてたのに前世は思い出したくないとか言ってたし。
そこに僕ら違うもの?なにそれそんなことより遊んでと、
無条件で受け入れ愛を向けてくれるて相手がいればまあ依存するよね
本来親に幼少期に貰えるはずだったものに餓えているともいう。