「缶詰用の金属のコストがまた値上がりだー」
食料加工班で働いてる黒札は、
事務机に広げられた報告書を眺め頭を痛めた。
魔界落ちした後の地球は災害だらけ、
食糧輸送も計画道理とはいかない。
万が一に備え保存食もしっかり用意しないといけないのだが。
⦅悪魔の呪いや毒が食物を汚染する事例が多発してる⦆
対策費にコストが跳ね上がっていってしまうのだ。
そんあ頭を痛め、何とか低予算でやりくりするにはと考えていると。
どたどたと足音が聞こえてくる。
「お昼だよ、今日のご飯は?」
元気に声をかけてきたのは腰に鉈を装備した女の子であった。
「ここは食堂ではない、今日は試食もなしだ」
仕事で頭を痛めていたため素気無く追い払おうとする。
「お腹空いてるのに」
「ただ飯は無い」
ぶーぶー
「霊能ご飯は高いんだよ」
霊的感覚が味覚で覚醒してしまった少女は、
普通の食事では満足できなくなってしまった。
「食堂でカレー頼め、もしくはクレイジーソルトやふりかけの自作」
異界に潜って食用可のフォルマや魔界植物を乾燥させてミキサーに掛ければできるぞ。
「いや、そうだよな何も缶詰や容器に悪魔対策しなくても、
食材自体が悪魔の影響をはねのければ良いんだ」
がたり
椅子から立ち上がり、どこかへ電話してアポを取る。
「どこ行くの?」
山梨から地方へと転移屋の予約を始めた男に尋ねる
「ちょっと、干物の保存の専門家に意見を聞きに」
・・・転移中・・・
「それで私に意見を聞きたいと、料理は専門外なんですが」
エジプトのワンコ事アヌビス神は急なアポイントメントにそれでも丁寧に
お茶をだして話を聞く時間を設けてくれた。
このように距離が近いのはもちろんガイアと海外古参であることも関係あるが、
ガイア連合の戦闘班の仲間に犬神が多いいのも理由である。
犬神は順当に悪魔変異すればマカミになるが、サポート役なら良いが
レベルが上がり、天使殺しを目的にしすだと物足りない。
同じ種族神獣でレベルが上、呪殺ブースターや呪殺スキル、破魔ブロック*1や耐性破魔無効ができる
天使戦を想定すると目が行く悪魔なのだ。
変異先を誘導するために、加護や本霊になってもらうようガイア連合員に依頼*2されることも珍しくない。
「ミイラを来る時まで悪魔たちに余計なちょっかいされないよう加工できる貴方の腕を見込んで」
前世と違いメガテン世界ではただミイラが腐ったりカビ生えたりしないよう処置するだけではダメなのだ、
神の化身の王の体は悪魔が現世で活動するために憑りつくには絶好の獲物ため、
悪魔に肉体を狙われないようにする処置も同時にしなければならない。
「そもそもピラミッド自体が霊的防御建造物なんですが、
保存庫自体を強固にするだけではダメってことですよね?」
お茶で少し湿らした後
「大ターミナルから各シェルターに郵送する物でもありますから、
コンテナにも最低限の防護もしてる筈ですけど数が数何で」
安く仕上げないと全世界対応なので
「ふむそれでも最初期はそのようなこと聞きませんでしたが」
「最初期は施餓鬼にも使われるお米を雑に配布で微弱ながらも破魔属性が付与されていましたから」
配布食材バリエーションが増えた悪影響ですね。
「その程度で被害が低減するとなると、そこまで過剰な防護はいりませんか
低レベル悪魔が多少嫌がるくらいで」
必要でも、お金も人手もありません
「はい、意見があります」
いままで黙って男の分までお茶請けを食べていた少女が、
食べつくした後手を挙げた。
「ちょっとの魔除けで良いなら薄めたお酒に付け込めば保存もできて一石二鳥です」
「未成年者が食べられなくなるのは、加工次第として
その発想まさか前から飲んでた?」
ぶんぶんぶん
「奈良漬とか試作品食べてただけだよ」
少女の言い訳に構わず
「漬物、清めの塩も浄化グッズとしか見てなかったけど、
普通に使えるよな」
寧ろ穢れ払いの概念で腐敗も遅らせられるか
「どのみち試して効果あるか比較実験しないといけないか」
立ち上がり
「お手伝いしますよ」
アヌビスが協力を申し出る
「上手くいったらこちらでも独自で作らせてもらえれば」
もちろん利益を引き出して。
塩漬け、みそ漬け、醬油漬け
「大豆製品でも大丈夫か確認と外国の方が受け入れられるか確認必要ですね」
「どれも美味しいよ」
酒ケーキ
「破魔は残ったが普通にアルコールも残ってるから子供と老人の事を考えると没だな」
「こんなにおいしいのに」
ドライフルーツ、干物
「一部のフルーツが寧ろ人食い悪魔系に貪られてるな
囮とかに使えるかもしれないが
保存食としては不採用か」
「干物も破魔加工に地味に霊草使わないといけないしそもそも肉がお高くつく」
「王侯貴族など特別な貴人の為の処置ですからね、大和の自生植物を応用すれば安くつくと」
「研究しないとだから今すぐは難しいな」
「幾らでも食べられるのに」
燻製
「一番成功に近いかな?他の加工品を作ったときの霊木の木片をチップにすればいいから、
コストと保存と食材のバリエーションどれも高水準で」
「渋みが大人の味ー」
量の確保が難しいスパイスや香草系は使わない方向だと燻製か味に癖がない塩漬けが候補だね。
さてと、いい加減無視していた問題にも目を向けるか。
「美味しい物いっぱい幸せー」
霊的味付けがプラスされて暴食している少女と、ガキのフォルマの山
「霊的加工で悪魔にとって美味しくなるとは、
それも死んでも食べたいと思うほど」
食い地の張った悪魔たちがダメージを受けながら食べ続けていたのは
状態異常の魅了を受けた者にも通じた執着を感じたな。
どうしよう
・・・素直に料理長に相談しました・・・
「微量に入れてる霊的素材の配合のバランスを崩して、
霊的に不味いと感じるようになったぞ」
どうにかなった
「しかし、燻製を思いついたんなら容器や包装紙の方を燻せば
味に変化を与えず霊的保護もできただろうに」
「あはは、ちょっと霊的味覚で美味しい物を求める人に引きずられたみたいで」
「あれか」
「あれです」
試作品の補助栄養食*3を齧って慌てて口をゆすいでる少女に、
視線を向けて。
「まあほぼ普通の食材だけで味覚系霊能の俺たちに満足できる料理の作り方としては成功か」
「はは輸送用保存食としては失敗してしまいましたが失敗は成功の基ですね」
「このお人よし」
補助栄養食ができるまでを妄想
最初雑に米の提供だったらしいので開発されたの終末後かな?と