「ほれ、30達成おめでとう」
修行場異界からでた直後、
セツニキ*1から祝の字が書かれた紙で束ねられたTシャツを渡される。
「あ、ありがとうございます」
修羅の字が入った、ネタかつガチ装備を大切にしまい込む。
圧倒的な格上にほいとプレゼントされるのはいつもながらなんか戸惑う。*2
なまじ術式勉強して少しは理解できるようになると、軽いプレゼントがどれほど非常識か否でも理解するので
こんな扱いで手渡していいもんじゃないだろ。
大変恐縮して目上の方の好意に感謝したいのを我慢し、
飽くまで仕事仲間に缶コーヒーを奢って貰った程度のお礼を返していく。
少しぎこちなくなったのは仕方ない。
霊感が促す上位者への相応しき対応と、社会人として培ってきたその場で望まれる
平社員に対して会社の重役が趣味仲間だとオフの趣味の場で気楽に話しかけてくると言えばいいだろうか。
「というか、俺セツニキの目に留まってたんですね」
普通に名前が載らないモノローグモブと思われてるのかと。
「普通に修行場で起きた
「あの頃はホントご迷惑かけました」
即座に頭を下げる、自分が悪い時はすぐさま謝罪する、社会人スキルだ。
「まあ、新人のやらかしなんて可愛いものなんだがウィキニキが事故事例集がまた分厚くなったと愚痴ってたぞ」
今度なんか奢るか
「それが無くても普通に目を向けるけどな」
「はあ」
「普通にレベル上げる気のあるアイテム作成部なんて古参程注目するだろ」*3
「まあお前はネタ枠で掲示板有名人になり始めてるが」
『棺桶背負いの式紙の主人はマミーのデビルシフターか?』
そんな掲示板のスレを携帯で見せられる。
寝息が聞える棺桶を背負いながら夜中に修行場に向かっていく式紙の話が、
怪談のノリで話題になっていた。
「うわ、まあもうやらないので噂も忘れられるでしょう」
自分他の
⦅真面目に馬鹿やらかすから陰でネタキャラとして話されてるタイプだがな⦆
「もう、回避戦法は終わりか?」
立ち話も何だし茶でも飲むか
中途半端な時間の為食堂には人は疎らにしかいない、
セルフサービスのチャクラポット(希釈)で修行場で消費したMPを補充した駄犬ニキは一息ついて話し始める。
「エドニキあたりが心配して様子見と忠告を頼んだんですか?」
「いや30LVまで行けて、医者達からも完治を告げられたことをとっても喜んでいたと近頃の話でちらりと触れただけさ」
「そうですか」
少しの間沈黙が入る。
「それでどうだった、初めての
30になり遅れに遅れて、一方的な狩りではなく戦いの舞台に乗り込んだ
駄犬ニキはため息をついて
「相手にしたのは格下のはずなんですけどね」
レベル差からしたら苦戦する方が難しい相手にすらグダグダになった結果にテンションが下がる。
「まあ、修羅勢達も初めての試しの時はグダグダになったもんさ」
少し前に教訓として耐性変更したガキをけしかけた事を思い出すセツニキ。
「だからと言って今までの装備頼りの回避戦法続けたら
それは仲間に犠牲を減らすための先輩たちの
「中層でやったら只の処刑待ちだからな、親切心だ」
【SLEEP】の状態異常?なら状態異常を悪化OR即死で仕留めるね♡や
回避?じゃあ必中で必ず当たるようにします。(権能発動)
寝てる?じゃあ夢操って洗脳しよう。(夢魔)
何処に逃げようと視界に入ってるなら石化だよ♪
「やりたいならせめて権能化しないとな」
霊能戦闘ド素人の駄犬ニキは素直に質問した
「中層試験今のままだと絶対落ちますよね」
「当り前だ」
血を流しながらたどり着いた奴らを舐めるな。
「現場にではしたが本質的には式紙遠征組とお前は同じなんだぞ」
戦闘が苦手でも式紙任せでレベルを上げていくことは可能だからこそ、
レベルだけで悪魔相手に慢心させないための物でもあるんだからな。
「素直にショタオジの仲魔たちに悪魔の悪辣さを勉強させてもらえ」
霊器に傷をつけないタイプのトラウマなら最悪記憶洗浄でアフターフォローもバッチシだ。
「ついでにまったく育っていない戦闘用スキルも修行しろ」
使わなけりゃ練度は上がらん。
「30ならもう自分の方向性を自覚して極めていく段階なんだからな」
俺たちは高性能とはいえ、育てられる霊能には現実的な限界がある、
レベル30ともなれば進路はとっくに決めてる頃だ。
「今のままだと悪魔にとって美味しいマグが詰まった肉まんじゅうにすぎないってことですね」
駄犬ニキと同じ状況に式紙遠征班はなっていくだろうが、彼らは
「式紙遠征班はそもそもショタオジの結界内でぬくぬく過ごしながら生きていく想定なんだよ」
ショタオジの雑事を式紙電池になることで少しだけ解決するのが遠征班の仕事であり、
その代わりショタオジの懐で守られる立場だ。
「30に到達してからいきなり危険地帯に飛び込みますはショタオジも考えてないライフプランなんだが」
大学まで情報工学一本私生活も常にパソコン弄りしてた輩が大卒したら、
外国の傭兵部隊の兵士に就職しますなんて言い出すようなもんだぞ。
「それでもショタオジの山梨外の防衛用式紙を見ちまうと・・」
並みの神ならブチのめしますなシキオウジ。
「あのシキオウジは土着の悪魔達が調子に乗らないようにする為の牽制でもあるからな」
逆に言えばそれ位ないと悪魔の奴隷になり果てると考えてるってことだが。
「あそこまでとか己惚れたことは言わないんで、せめて戦闘支援できるくらいになりたいなと」
なまじレベルが上がってみんな凄いなーから山の高さを比較できるようになり始めてしまった。
といってもなー
「お前確か黒札図鑑に登録してたよな」
【黒札図鑑】それはハイアナライズ系情報収集・整理アイテム、*4
俺たちの成長データを集めてレベルアップで習得できるスキルを予想できるようにしようぜ、
将来ホビー部と呼ばれるようになる俺達が音頭を取って作成した見た目まんまポケモン図鑑である。
肝心の集めた情報を基にした発現するスキル予想は精度が良くなく実用化はお蔵入りになったが、
予算貰ってポケモン図鑑が出来たからよしだそうだ。*5
「はい、ついで表層にデータ違いの悪魔がいないか探して」
「見つかったら、情報提供してくれと」
パーソナルデータ提供した時一つ貰いました。
「データ見せてもらっていいか?」
どうぞと駄犬ニキが黒札図鑑を操作すると、
ピロリとわざわざ拘った電子音を鳴らし駄犬ニキのアナライズデータが開示される
NO。810
駄犬ニキ
社畜人間
たかさ 170,0cm位
おもさ 67,0kg位
ガンバリ屋だけど焦って空回りしやすく、
放置していると騒動起こし始める。
不思議と死人が出るような騒ぎにはならず、
精々本人が吹っ飛ばされて落ちが付くよ。
【耐性】破魔無効 魔法反射(弱)*6 睡眠弱点
特性 逃げ足(方位除け)*7
覚えた技 (レベル習得・修行習得・神話体験習得混合)
レベル1 マカラカーン/テトラカーン(厄除け)
レベル3
レベル8
レベル10
レベル11 悪夢払い*8
レベル12 眠る*9
レベル13 寝言*10
レベル14
レベル15 眠拳*11
レベル16 睡眠時回復向上*12
レベル17 吉夢招き*13
レベル18 イビキ*14
レベル19 幸せな眠り*15
レベル20 アボイドスリーパー(劣)
レベル21
レベル22 マッパー
レベル23 夢売り*16
レベル24
レベル25
レベル26 応援*17
レベル27 笑い話*18
レベル28 バリア・障壁
レベル29 託宣*19
レベル30
習得したスキルのリストを見終わったセツニキは悟りを得た者の微笑みにて
「安全な場所から後方支援しような」
そう駄犬ニキを諭した。
「武術の修行すればきっと物理スキルも一つは身に着けられるから」
力も技もステ伸びてないけどな。
「無理でも武器強化とかでどうにか」
式紙に持たせた方が・・・・
「サポ専が一番戦力として貢献できそうだが」
「SLEEP状態でランダム発動以外だとブレスアイコン2個消費みたいに手間取って」
「おまけに効果も減衰してしまって」
⦅制限が厳しい強効果ってそれって⦆
「おそらく
⦅下手に弄るより、どう納得させるかの問題だなこりゃ⦆
こうして変なレベル上げして変なスキルビルドになっていく駄犬ニキ、
それでも見捨てられずサポートしてくれる仲間に恵まれた彼は、
傍から見れば本人の評価に反して勝ち組なのである。