冥「天使共が氏子の魂をかすめ取ってゆく、取られる前に回収しなくては」
カ「それで各地に一時回収場所としての異界作成ですか」
冥「そうすればそこから分霊飛ばして迅速に魂の回収ができるだろう」
カ「予算そんなにかけられないですからね」
冥「今あるものでやりくりするさ」
エピソード8
・・・死後の世界探検・・・
暗い暗い地下深く陽の光など一切入らぬ世界を男は歩いていた、
その顔は下から青白い炎の照らされて、
あてもなく彷徨うゴーストのようであった。
精悍な美青年として乙女の視線を集めていただろう顔は憂鬱そうに染まり、
全身から出る暗い影がその輝きを台無しにしていた。
⦅無意味な役目、無意味な俺⦆
本霊に不要とされた分霊だが、
処分しようにも地上に残された伝承が嫌でも
この冥府に自分がいると語っている為、
消したところでまた新しく発生するゆえに放置されている
嫌いで
滞在するなら働けと
冥府の見回りを行っているが
冥府の奥まで降りてくる者など死霊ばかり、
近年は本来こちらに来るはずの者達すら
天の使いを驕る者達に奪い取られている始末。
冥王は忙しく働き、本霊は来るべき大戦に盾を磨いている、
しかしそんな忙しい悪魔達を後目に自分は
死んで気力の尽きた霊の嘆きと後悔の声を聴きながら
陰鬱な暗い世界を歩き回るだけの空しい日々を過ごしていた。
⦅最も何か事件があっても本霊からも切られ、
まともな霊格の無い俺になにができかって話だが⦆
死ねば
もはや英雄と言えぬであろう。
自分を慕い集まる死霊たちも、煩わしさが先に立ってしまう。
このまま永遠にこの日々を繰り返すのか。
漏れそうになるため息を飲み込み彷徨っている亡霊たちを誘導、
冥王の裁きの間にまだ裁定が下っていない霊達を案内していると
ざわざわとこの冥界には珍しい好奇の気配と動揺する霊の声、
そして生気にあふれた人の声が聞こえる。
「だから一寸だけ、別に永住したいと言ってるんじゃないんだ」
陰鬱な死の世界に場違いな生気に満ち溢れた男、
それに抵抗しこの地にとどまっている。
冥府の王に死者ならば畏れ逆らえないはずなのに、
しっかりと反抗して自身の主張を示している。
「ちょっと英雄が住んでる島の方のエーリュシオンに
行きたいって言ってるだけなんだよ」
少しうんざりした様子の冥王は
「汝の生還は確定した、速やかにこの地より去り現世に帰るがいい」
せっかく苦労して冥府の奥深くまで潜ったのにヤダっと言っている漢
驚くことに、魂一つで一般死者の居住区から冥王のいる中央に
単身悪魔達を退けて潜ってきたらしい
まさか冥界下りを神代も遥か過去に過ぎた後にする者がいるとは
現代の安寧に生きれるようになった世界では、
そんな剛の者は居なくなったと思っていたが・・・
口元に違和感を感じ手で触れてみる、
口角が上に上がっている、
⦅笑っているのか俺は⦆
そう生前でもそうはいない偉業を成した強者と分かる男に
「英雄たちに会ってどうするんだ?」
その背中に声をぶつけた。
その言葉に漢は振り返って
「もちろん、手合わせしてもらうんだよ」
心底楽しみだと満面の笑顔を見せ答える。
「悪いがそこは神々に愛された英雄以外立ち入り禁止だ、
死に切っていない生者ならなおさらだ」
ケチーとブーたれる漢
⦅冥王相手に親戚の親族みたいな口調で⦆
怖いもの知らずめ。
「なあ、エリュシオン住の英雄ではないとダメなのか?」
さび付いてた心に熱が灯って行くのを感じる
「いや、神に愛されてるくらいだからそこの奴らが
選び抜かれた精鋭かなって」
死者達が少しづつ二人の戦士の傍から離れていく、
死んだからこそ焼き付いている
死の恐怖に魂が敏感に反応した、
漏れ出るマグに危険な気配を感じ取ったのだ。
「強いだけでいいならわざわざ行かなくても大丈夫だぞ」
嗤い武器に手が伸びていく、
その喜悦交じりの闘気に
拳を握る事で事で応える相手。
「止めぬか馬鹿者、ここをなんと心得る」
冥王の魔力すら籠った声がいまにも始まりそうな決闘に水を差す
「戦いを望むなら現世でやれ、
試練の相手を召喚する方法は教えてやる」
さっと手元の紙に瞬時に術式を書き投げ渡してやる。
「おお、太っ腹だなおっちゃん」
「さっさといけ、お前の所の噂の盟主の被害をここにまで被りたくない、
ほらいい加減待ちくたびれて蘇生術式にイラつきのマグが混じっておるぞ」
その言葉がが終わらぬうちに
蘇生の出力が上がったのか、
この冥界にとどまる事が出来ずに消えていく問題児
「ああちょっとまって、すまんせっかくの機会に勝負できなくて
縁が有ったらやり合お・・
話している最中に魂は強制送還されていった。
「王よ無粋ですよ」
「馬鹿者冥界を壊す気か」
「すみませんですが我慢などできましょうか」
「ふん腐って見る影も無くなったと思っていたが火が付いたな」
「王よお願いが」
「いうな、お前に新たな仕事を命じる
地上にて仕事を増やす天使共を殲滅せよ
方法は任せる」
単独で殲滅して回るもよし、
人間たちに協力者を募るもよしだ。
「感謝いたします」
・・・冥府の支部異界各地に作成後・・・
「やあこの前は悪かったな」
前は魂だけで来た男が魔界まで生身で来たことに目を疑う
「どうやってここに」
天使討伐の為
死んだわけでもないのにこの地にこれた人間の男に尋ねた。
「最近各地に天使に魂取られないように魔界にまでつながってる異界が増えただろう?」
異界経由で来たという男
「あれは魂を魔界に送るのを助ける一方通行の回廊みたいなものだぞ、
それに川や番犬はどうした」
「ああそれなら、マッカとケーキで解決した帰りも送ってくれるって」
⦅カロン⦆
神話が有名なのを喜べばいいのか、あっさり買収された神を嘆けばいいのか
「どうしてきたんだ、強者と戦いたいなら悪魔召喚できるようになっただろう」
「いや、誘われたのに一人で勝手に帰っちゃたからさ」
前回の続きやろうかと
にやりと笑う
その笑みに自分も同じ笑みを浮かべてることを自覚しながら、
「悪いなここでは王様が切れるんだ・・だから」
手を差し出す
「お前が現世まで引っ張り出してくれ」
それを見て
「オルフェウスの真似しろってか」
「こんなむさくるしい男で悪いがな冥王からどっちみち、
現世に行けと言われてたからちょうどよかったんだ」
異界に降りる手間も省けるしな笑う英雄
手を握り覇王ニキは自分の名を告げる
「じゃあ短い付き合いになるかもしれないがよろしく」
仲魔になるときの契約の繋がりを感じながら
「俺の事はザグレウスとでも呼んでくれ
今の俺には本霊の名は名乗ることはできん」
本霊に恥じない力と矜持を取り戻した時初めて名乗れると
分霊は言う
「そうかならよろしくザグレウス」
ここに契約はなったのちに英雄アキレウスに霊格を取り戻す英雄は
自身を腐らせていた本当の理由、
自身の全力をぶつけあうことのできる相手を見つけ
英雄としての自信を取り戻していくのであった。
・・・おまけ・・・
カ「ふたり乗るんなら運賃は倍だよ」
覇「銭ゲバめ」
英「自分の分ぐらい払う」
魔界の冥府がどんな形になってるか分かりませんが、
無数の分霊で広すぎる冥府の管理を行ってるんだろうなとおもったので、
覇王ニキの話してる冥王も冥府系魔界の一地域管理用高位分霊です
最後に二回目会いに行ったのは、英雄の冥府下りの神話体験【クエスト】で
覚醒チャレンジ、自分の英雄概念の強化をしてます。