ウマ娘 レディパイロ
名古屋地方競馬場2
向こう正面を駆け抜けながらレディパイロは考える。
そもそもがダートで後方一気なんて余程の馬力実力底力がないと出来る訳が無い、ここ名古屋地方競馬では第4コーナー抜けての前残りで勝敗は決する、とレディパイロは考える。
ダートで追い込み差し切りなんて実力上位の奴かどこぞの変態化物URAのウマ娘位しか居ない、あたしはURAのウマ娘か?いんや名古屋地方競馬場所属のウマ娘だがね。
先程からいつもより耳を震わす風切り音が大きい、向かい風?いや違うこりゃあみんなハイペースになってる、体感的にも間違いない?
と言うわけでレディパイロは第3コーナーの右回り始めから早々に身体を右に大きく傾けて内ラチ沿いに速度を上げて先頭集団尻に位置する。
内ラチに寄った時に更に内にいたウマ娘と軽く接触したが、まぁ許容範囲内でしょう、舌打ちをされたが知るかそんなもん。プレッシャー与えられるのが嫌なら内ラチトロトロ走んな、大外ブン回しとけっての。
ビチバチと先頭集団達の跳ね上げるダート砂がレディパイロの顔面に当たるが少し顔を下向けてグッと我慢する。
だって見て見て、先頭集団の奴ら揃いも揃ってカーブ下手くそばかり、しかもハイペース、間違いなく第4コーナーで膨らんでくれる。
先頭集団最後尾最内、この面子でこの位置ぜってーに譲らん。
ぬはははは。
レディパイロはにやけそうになる口許をキュッと引き結び第4コーナーに突入する。
ほーらやっぱり膨らんだ。うひひひ。と言うわけでレディパイロは最内ラチを更に身体を右に傾けて第4コーナーを曲がっていく。
ふふふ、先頭集団共めもっと膨らんでしまうがよい、あたしは転倒ギリギリ(イメージ)の身体の傾斜でスピードを上げていく、スピードスケートでのカーブのイメージ!・・・いや本当にスピードスケート程傾斜したらスッ転んでダートゴロゴロで後続に踏まれまくりなんでイメージねイメージ。
「と言うわけでラストスパートじゃーい!たっわけーっ!!だっがねー!!」
トレ「・・・卑怯くさいコーナリングだったね、おめでとう」
レディ「え?!なんで辛辣?!」
トレ「普通、差すなら大外からじゃない?」
レディ「えー・・・良いじゃん内差し、格好いいじゃん」
トレ「いや、まぁ、展開次第ってのは分かってるよ?今回は無事勝てたから良いけど・・・内差しはコースが荒れてるから転倒の危険性も増すしさぁ、出来たら外差ししてくれたら心臓が安心」
レディ「だってみんな外に膨らんでスピードダウンしてるし、そこは内からスルスルと抜くしかないでしょ」
トレ「なんであのスピード維持で最内回れんの?」
レディ「最終目標形態はスピードスケートのカーブ」
トレ「絶対転ぶからやめて」
レディ「ドリフトコーナリング」
トレ「それ絶対足滑らしてるよね?」
レディ「ジェットストリームアタックコーナリング」
トレ「おめーにはホバリング機能ねーからな、あとお前は1人だ3人居ない」
レディ「はぁ・・・分かった分かった、分かりました、了解です、なるべく危ないコース取りはしないようにしまーす・・・そうだ、危ないコース取りと言えば」
トレ「うん」
レディ「ちょっち3コーナーで内の子とぶつかっちゃったかも、後で謝りに行こ?」
トレ「何故に疑問系?僕がぶつかったみたいな言い方しないでよ・・・あれはじゃれ合いの範疇だよ、けど、いいよ後で一緒にごめんねしに行こう」
レディ「うんうん」
トレ「・・・それはそうと、ちょっと気になってることがあってさ」
レディ「うん?」
トレ「あの直線ラストスパートの時の「たっわけー」って何?結構スタンドに響いてたよ?」
レディ「だってあたしの単勝10倍台なのよ?何処に目をつけてんの?地方競馬で単勝10倍ってなかなか来ないよ?マジで?うひひあんたらの馬券紙屑になったね、ザマァ、等のあたしの素直な気持ちをスタンドにいるお客様にぶつけてみました」
トレ「やめて、お客様に悪方向の素直な気持ちを伝えないで」
レディ「大丈夫、その後の「だっがねー」でご当地感アップさせたからみんな笑顔よ?」
トレ「たわけも大概ご当地感あるけどな」
レディ「あ、そうだ、んなことより馬券馬券、あたしの馬券買ってた?」
トレ「関係者は馬券買えないよっ!」
レディ「そっかー残念・・・次は、ね?分かってるわね?」
トレ「次も買わねーよ」